心房細動患者のうつ・不安の改善、アブレーションvs.薬物療法/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/09/25

 

 症候性心房細動(AF)を有する患者において、不安や抑うつなど精神症状の改善はカテーテルアブレーション施行患者では観察されたが、薬物療法のみの患者では認められなかったことを、オーストラリア・Royal Melbourne HospitalのAhmed M. AI-Kaisey氏らが、医師主導の無作為化評価者盲検比較試験「Randomized Evaluation of the Impact of Catheter Ablation on Psychological Distress in Atrial Fibrillation:REMEDIAL試験」の結果、報告した。AFカテーテルアブレーションがメンタルヘルスに及ぼす影響についてはよくわかっていなかった。JAMA誌2023年9月12日号掲載の報告。

AF患者100例を、カテーテルアブレーション群と薬物療法のみ群に無作為化

 研究グループは、2018年6月~2021年3月にオーストラリアのAFセンター2施設において、発作性または持続性AFを有し少なくとも2種類の抗不整脈薬治療の対象となる18~80歳の患者を登録。アブレーション群または薬物療法群に1対1の割合で無作為に割り付け、AFカテーテルアブレーションが薬物療法のみと比較して、精神的苦痛を改善するかどうかを、評価尺度を用いて調べた。

 薬物療法群では洞調律を維持するため最適な抗不整脈薬治療が行われ、アブレーション群では無作為化後1ヵ月以内にカテーテルアブレーションが行われた。

 主要アウトカムは、12ヵ月時の病院不安抑うつ尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale:HADS)スコア、副次アウトカムは重度の精神的苦痛(HADS合計スコア>15)を有する患者の割合、HADS不安スコア、HADSうつ病スコア、うつ病自己評価尺度(Beck Depression Inventory-II:BDI-II)スコアであった。不整脈再発およびAF負荷のデータも解析した。

 計100例(平均[±SD]年齢59±12歳、女性31例[32%]、発作性AF54%)が登録され、アブレーション群(52例)および薬物療法群(48例)に割り付けられた。このうち、4例(それぞれ3例および1例)が追跡不能または脱落となり、96例が試験を完遂した。アブレーション群の全例(49例)で肺静脈隔離に成功した。

アブレーション群で、12ヵ月時の病院不安抑うつ尺度の合計スコアが有意に低下

 12ヵ月時(主要アウトカム)のHADS合計スコア(平均±SD)は、アブレーション群7.6±5.3、薬物療法群11.8±8.6、群間差は-4.17(95%信頼区間[CI]:-7.04~-1.31、p=0.005)であり、アブレーション群が薬物療法群より有意に低かった。なお6ヵ月時もそれぞれ8.2±5.4、11.9±7.2で、有意差が認められた(p=0.006)。

 アブレーション群と薬物療法群において、重度の精神的苦痛を有する患者の割合はそれぞれ6ヵ月時14.2%、34%(p=0.02)、12ヵ月時10.2%、31.9%(p=0.01)であり、HADS不安スコアは6ヵ月時4.7±3.2、6.4±3.9(p=0.02)、12ヵ月時4.5±3.3、6.6±4.8(p=0.02)であった。HADS抑うつスコアは3ヵ月時3.7±2.6、5.2±4.0(p=0.047)、6ヵ月時3.4±2.7、5.5±3.9(p=0.004)、12ヵ月時3.1±2.6、5.2±3.9(p=0.004)。また、BDI-IIスコアは6ヵ月時7.2±6.1、11.5±9.0(p=0.01)、12ヵ月時6.6±7.2、10.9±8.2(p=0.01)であった。

 AF負荷の中央値も、アブレーション群0%(四分位範囲[IQR]:0~3.22)、薬物療法群15.5%(1.0~45.9)であり、アブレーション群が有意に低かった(p<0.001)。

(ケアネット)