長期的な体重管理において、とくに過体重や肥満の人では、摂取する炭水化物の品質と供給源が潜在的に重要であることが、大規模前向きコホート試験で浮き彫りにされたという。米国・ハーバード公衆衛生大学院のYi Wan氏らが報告した。一方で、添加糖、砂糖入り飲料、精製穀物、果物、非でんぷん質の野菜は、体重コントロールへの取り組みを後押しする可能性も示唆された。体重の増加および肥満に果たす炭水化物の役割については議論の的になっている。これまで、炭水化物の摂取量の経時的変化と体重の長期的変化との関連を評価した研究は、ほとんど行われていなかった。BMJ誌2023年9月27日号掲載の報告。
4年ごとの炭水化物摂取量の変化と体重変化との関連を検証
研究グループは、Nurses' Health Study(1986~2010年)、Nurses' Health Study II(1991~2015年)、Health Professionals Follow-Up Study(1986~2014年)を基に、4年ごとの炭水化物摂取量の変化と体重変化との関連を総合的に検証した。
被験者は、ベースラインで糖尿病、がん、心血管疾患、呼吸器疾患、神経変性疾患、消化器症状、慢性腎臓病、全身性エリテマトーデスの認められない、65歳以下の男女13万6,432人だった。
主要アウトカムは、4年ごとの体重変化とした。
でんぷん摂取量100g/日の増加、4年間で1.5kgの体重増
Nurses' Health Studyの女性4万6,722人、Nurses' Health Study IIの女性6万7,186人、Health Professionals Follow-Up Studyの男性2万2,524人を対象に分析を行った。
被験者の4年ごとの体重増加は、平均1.5kg(5~95パーセンタイル:-6.8~10.0)で、24年間では平均8.8kgだった。
男女共に、血糖値上昇指数と血糖負荷の増加は体重増と関連しており、でんぷんや添加糖の摂取量100g/日の増加は、4年間でそれぞれ1.5kg、0.9kgの体重増と関連していた。一方で、食物繊維の摂取量10g/日の増加は、0.8kgの体重減と関連していた。
摂取量の増加と体重減の負の相関関係が認められたのは、全粒穀物からの炭水化物(摂取量100g/日の増加につき体重0.4kg減)、果物(同1.6kg減)、非でんぷん質の野菜(同3.0kg減)だった。
摂取量の増加と体重増の正の相関関係が認められたのは、精製穀物(摂取量100g/日の増加につき体重0.8kg増)、でんぷん質の野菜(同2.6kg増)だった。
代替分析では、精製穀物やでんぷん質の野菜、砂糖入り飲料を、同量の全粒穀物、果物や非でんぷん質の野菜に置き換えることで、体重減となることが認められた。こうした関連性は、過体重や肥満の被験者のほうが標準体重の被験者に比べ強く(相互作用のp<0.001)、ほとんどが女性で強く認められた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)