1週間の低ナトリウム食、降圧薬と同程度の降圧効果/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/30

 

 50~75歳の中高年において、低ナトリウム(Na)食(1日のNaが計約500mg)の1週間摂取は高Na食の1週間摂取と比較して血圧を有意に低下させ、その低下は高血圧症の有無や降圧薬の使用とは関係ないことが示された。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのDeepak K. Gupta氏らによる「CARDIA-SSBP試験」の結果で明らかになった。推奨Na摂取量については、食事によるNa摂取に対する血圧反応の個人差が一部で議論されている。また、降圧薬服用者における食事によるNa摂取の血圧への影響は、これまで十分に研究されていなかった。JAMA誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。

クロスオーバー法により高Na食と低Na食を1週間摂取

 研究グループは2021年4月~2023年2月に、CARDIA研究の参加者に加え、2022年からはシカゴとバーミングハムの2都市においてCARDIA研究の参加者以外の地域住民を登録した。CARDIA研究は、心血管疾患の発症に影響を及ぼす若年成人期の因子の同定を目的とし、1985~86年にシカゴ、バーミングハム、ミネアポリス、オークランドで当時18~30歳の地域住民を登録した前向き観察コホート研究で、現在も追跡調査を継続している。

 CARDIA-SSBP試験の主な適格基準は、50~75歳、登録時の収縮期血圧(SBP)90~160mmHgまたは拡張期血圧50~100mmHgであった。高Na食または低Na食が禁忌の場合は除外した。CARDIA-SSBP試験の対象者を高Na食→低Na食の順で摂取する群または低Na食→高Na食の順で摂取する群に割り付け、各食事を1週間ずつ摂取してもらった。高Na食は通常食に1日約2,200mgのNaを追加したもの、低Na食は1日のNaが計約500mgとした。

 主要アウトカムは、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)による各食事週間終了時のSBP/拡張期血圧平均値、平均動脈圧、および脈圧であった。

第1週終了時のSBP平均値、低Na食摂取群で8mmHg有意に低下

 228例が無作為に割り付けられ、このうち213例が高Na食および低Na食の摂取を完了した。213例の年齢中央値は61歳、65%が女性、64%が黒人であった。

 通常食、高Na食、低Na食を摂取時のSBP血圧中央値はそれぞれ125mmHg、126mmHg、119mmHgであった。

 高Na食摂取時と低Na食摂取時の平均動脈圧の個人内変化量は、中央値4mmHg(四分位範囲:0~8mmHg、p<0.001)であり、サブグループ(ベースラインの血圧、降圧薬服用の有無など)で差はなかった。高Na食摂取中と比較し低Na食摂取中に平均動脈圧が低下した参加者は73.4%であった。

 高Na食摂取時より低Na食摂取時に低下する平均動脈圧は5mmHg以上という一般的な閾値を用いた場合、参加者の46%が“食塩感受性あり”に分類された。

 第1週終了時のSBP平均値は、高Na食摂取群に比べ低Na食摂取群で8mmHg(95%信頼区間[CI]:4~11mmHg、p<0.001)有意に低く、年齢、性別、人種、高血圧の有無、ベースラインの血圧、糖尿病の有無、BMI値別のサブグループでもほぼ同様の結果であった。

 有害事象はいずれも軽度で、高Na食摂取時および低Na食摂取時のそれぞれで21例(9.9%)および17例(8.0%)が報告された。

 これらの結果を踏まえて著者は、「本試験では、低Na食の降圧効果は、よく使われる第1選択の降圧薬に匹敵するものだった」と述べている。

(ケアネット)

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コメンテーター : 石川 讓治( いしかわ じょうじ ) 氏

東京都健康長寿医療センター 循環器内科 部長

J-CLEAR推薦コメンテーター