妊娠高血圧腎症が疑われる妊婦において、胎盤増殖因子(PlGF)に基づく検査を繰り返し行い、結果に基づく管理を行っても、周産期アウトカムは改善しなかった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのAlice Hurrell氏らが、イングランド、スコットランド、ウェールズの22施設で実施した無作為化並行群間比較優越性試験「PARROT-2試験」の結果を報告した。PlGF検査は、妊娠高血圧腎症の予測に関する高い診断精度を有しており、診断までの時間を短縮して母親の重度有害アウトカムを大幅に減少させるが、その反復実施について、臨床上の有益性は不明であった。著者は、「有害アウトカムの発生率が低い高所得国では、妊娠高血圧腎症が疑われるすべての妊婦において一律に繰り返しPlGF検査を行うことは推奨されない」とまとめている。Lancet誌2024年2月17日号掲載の報告。
PlGF反復検査の結果を開示vs.非開示に無作為化
研究グループは、妊娠高血圧腎症が疑われ、PlGF検査の時点で妊娠22週0日~35週6日の18歳以上の単胎妊娠妊婦を登録し、通常ケアを行うとともにPlGF反復検査を行うも結果を知らせない群(対照群)と、反復検査の結果を知らせる群(介入群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。
試験の性質上、被験者またはパートナー、医師またはデータ収集者は、検査の実施について盲検化されなかったが、本試験の統計学者は介入の割り付けに関して盲検化された。
主要アウトカムは、死産、早期新生児死亡または新生児ユニット入室の周産期複合アウトカムとした。主要解析はITT解析とし、割り付けにしたがって管理された被験者を対象としたper-protocol解析も行った。
周産期複合アウトカムの発生に有意差なし
2019年12月17日~2022年9月30日に、妊婦1,253例が無作為化された。1例は無作為化エラーのために除外され、介入群が625例、対照群が627例となった(平均年齢32.3±5.7歳、白人879例[70%])。対照群の1例は追跡不能であった。
周産期複合アウトカムのイベントは、介入群で625例中195例(31.2%)、対照群で626例中174例(27.8%)に発生し、両群間に有意差は確認されなかった(相対リスク:1.21、95%信頼区間[CI]:0.95~1.33、p=0.18)。per-protocol解析結果も同様であった。
重篤な有害事象は介入群で4例、対照群で6例に認められたが、すべての重篤な有害事象は治験責任医師により検査とは関連性なしと判定された。
(医学ライター 吉尾 幸恵)