特発性重症テント上深部脳内出血患者において、減圧開頭術+最善の内科的治療が最善の内科的治療単独と比べて優れる可能性のエビデンスは弱いことが、スイス・ベルン大学のJurgen Beck氏らSWITCH study investigatorsによる検討で示された。著者は、「今回の結果は、他の部位の脳内出血に当てはまるものではなく一般化はできない。また、生存は、併用群、内科的治療単独群の両者ともに重度の障害を伴った」と述べている。特発性重症深部脳内出血患者において、減圧開頭術がアウトカムを改善するかは不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月15日号掲載の報告。
大脳基底核または視床部にわたる重症脳内出血を呈した成人を対象に評価
SWITCH試験は特発性重症深部脳内出血患者において、減圧開頭術+最善の内科的治療が最善の内科的治療単独と比較して、6ヵ月時点のアウトカムを改善するかどうかを検証した多施設共同無作為化非盲検評価者盲検試験。オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイスの脳卒中センター42施設で行われた。
大脳基底核または視床部にわたる重症脳内出血を呈した成人(18~75歳)を、減圧開頭術+最善の内科的治療群、または最善の内科的治療単独群に無作為に割り付け追跡評価した。
主要アウトカムは、180日時点での修正Rankinスケール(mRS)スコア(7ポイント評価、範囲:0[障害なし]~6[死亡])が5~6とし、ITT解析にて評価した。
併用群でリスク低下、aRRは0.77、aRDは-13%
SWITCH試験は、資金不足のため早期に中止となっている。
2014年10月6日~2023年4月4日に、201例が無作為化され、197例から同意を取得した(併用群96例、単独群101例)。63例(32%)が女性、134例(68%)が男性で、年齢中央値は61歳(四分位範囲[IQR]:51~68)、血腫量中央値は57mL(44~74)であった。
180日時点でmRSスコア5~6であった患者は、併用群が42/95例(44%)、単独群が55/95例(58%)であった(補正後リスク比[aRR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.59~1.01、補正後リスク群間差[aRD]:-13%、95%CI:-26~0、p=0.057)。
per-protocol解析(適格基準に反していた患者、割り付けられた治療を受けなかった患者、事前規定の評価日以外に評価を受けた患者を除外)では、180日時点でmRSスコア5~6であった患者は、併用群36/77例(47%)、単独群44/73例(60%)であった(aRR:0.76、95%CI:0.58~1.00、aRD:-15%、95%CI:-28~0)。
重篤な有害事象は、併用群42/103例(41%)、単独群41/94例(44%)に発現した。
(ケアネット)