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CVDの1次予防にバイオマーカー追加は有用か/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/28

 

 心血管イベントの1次予防において、5つの心血管バイオマーカーはいずれもアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発生と有意に関連するものの、その関連性は小さく、心不全と死亡率についてはより強力な関連を認めるが、確立された従来のリスク因子と心血管バイオマーカーを組み合わせてもアテローム性動脈硬化性心血管疾患のリスク予測能の改善はわずかであることが、ドイツ・University Heart and Vascular Center HamburgのJohannes Tobias Neumann氏らの検討で示された。研究の成果はJAMA誌オンライン版2024年5月13日号で報告された。

28件の住民ベースのコホート研究の患者データを解析

 研究グループは、日本を含む12ヵ国で行われた28件の住民ベースのコホート研究から得た個々の患者データを用いて、心血管バイオマーカーおよび従来のリスク因子に心血管バイオマーカーを加えた場合の予後予測能の評価を行った(European Union project euCanSHareの助成を受けた)。

 これらのコホート研究では、心血管バイオマーカーとして、高感度心筋トロポニンI、高感度心筋トロポニンT、N末端プロ脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、高感度C反応性蛋白(hs CRP)を測定した。追跡期間中央値は11.8年だった。

 主要アウトカムは、すべての致死的および非致死的なイベントを含む初発のアテローム性動脈硬化性心血管疾患(冠動脈性心疾患イベント[possibleまたはdefinite]、脳梗塞イベント[同]、冠動脈血行再建、冠動脈性心疾患死、脳梗塞死、分類不能の死亡)の発生とした。

全バイオマーカーで有意な関連、全死因死亡、心不全との関連が強い

 16万4,054例(年齢中央値53.1歳[四分位範囲[IQR]:42.7~62.9]、女性52.4%)を解析の対象とした。アテローム性動脈硬化性心血管疾患イベントは1万7,211件発生した。

 すべてのバイオマーカーで、アテローム性動脈硬化性心血管疾患の発生と有意な関連を認めた。1SDの変化当たりのサブディストリビューション・ハザード比は、高感度心筋トロポニンIが1.13(95%信頼区間[CI]:1.11~1.16)、高感度心筋トロポニンTが1.18(1.12~1.23)、NT-proBNPが1.21(1.18~1.24)、BNPが1.14(1.08~1.22)、hs CRPが1.14(1.12~1.16)であった。

 副次アウトカムである全死因死亡、心不全、脳梗塞、心筋梗塞の発生についても、同様の有意な関連がみられた。バイオマーカーと全死因死亡および心不全との関連は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患との関連よりも強力であった。

バイオマーカーの併用も有望

 確立されたリスク因子を含むモデルに、それぞれ単一のバイオマーカーを加えると、C統計量が改善した。

 また、高感度心筋トロポニンI、NT-proBNP、hs CRPを併用すると、10年間のアテローム性動脈硬化性心血管疾患発生のC統計量が、65歳未満では0.812(95%CI:0.8021~0.8208)から0.8194(0.8089~0.8277)へ、65歳以上では0.6323(0.5945~0.6570)から0.6602(0.6224~0.6834)へと改善した。

 さらに、これらのバイオマーカーを組み合わせると、従来のモデルと比較して、リスクの再分類も改善された。

 著者は、「すべてのバイオマーカーはアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発生だけでなく、全死因死亡、心不全、脳梗塞、心筋梗塞の予測因子であった。いずれのバイオマーカーも、致死的または非致死的なアテローム性動脈硬化性心血管疾患イベントと比較して、全死因死亡および心不全と強い関連を示すという興味深い知見が得られた」とまとめている。

(医学ライター 菅野 守)