健康な高齢者へのアスピリンのCVD1次予防効果は?/NEJM

健康な高齢者への1次予防戦略としての低用量アスピリンの使用は、プラセボと比較して、大出血リスクを有意に増大し、心血管疾患リスクを有意に減少しないことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループによる、米国とオーストラリアに住む高齢者1万9,114例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で発表された。アスピリン治療では、心血管疾患の2次予防効果は確立されている。しかし、その1次予防効果は明確になっておらず、とくに同疾患リスクが高い高齢者において不明であった。
心血管疾患、認知症、身体障害のない1万9,114例を対象にプラセボ対照試験
研究グループは2010~14年にかけて、オーストラリアと米国に住む70歳以上(米国在住のアフリカ系およびヒスパニック系は65歳以上)で、心血管疾患、認知症、身体障害のない地域住民1万9,114例を対象に、プラセボ対照無作為化比較試験を開始した。被験者を無作為に2群に分け、一方にはアスピリン腸溶性製剤100mgを1日1回(9,525例)、もう一方の群にはプラセボを投与した(9,589例)。試験の主要評価項目は、死亡・認知症・持続的な身体障害の複合エンドポイント(この結果については別の論文で報告)だった。本論文では、副次評価項目の大出血と心血管疾患(致死的冠動脈性心疾患、非致死的心筋梗塞、致死的/非致死的脳卒中、心不全による入院として定義)についての分析結果が報告されている。
アスピリンによる大出血リスクは1.38倍に
試験の追跡期間中央値は4.7年だった。その間の心血管疾患発症率は、プラセボ群11.3件/1,000人年、アスピリン群10.7件/1,000人年で、両群間に有意な差はなかった(ハザード比[HR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.83~1.08)。一方で、大出血発生率については、プラセボ群6.2件/1,000人年に対し、アスピリン群は8.6件/1,000人年と、有意な増大が認められた(HR:1.38、95%CI:1.18~1.62、p<0.001)。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏
東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授
J-CLEAR理事