モジュール式リードレスペーシング除細動システム、主要エンドポイント達成/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/31

 

 皮下植込み型除細動器(S-ICD)と無線通信するリードレスペースメーカーは、植込み後6ヵ月時におけるリードレスペースメーカー関連主要合併症非発生率、リードレスペースメーカーとS-ICD間の通信成功率、およびパルス幅0.4msでペーシング閾値2.0V以下の患者の割合に関して、パフォーマンス目標を超えた。オランダ・アムステルダム大学医療センターのReinoud E. Knops氏らが、国際共同単群試験「Effectiveness of the EMPOWER Modular Pacing System and EMBLEM Subcutaneous ICD to Communicate Antitachycardia Pacing study:MODULAR ATP試験」の結果を報告した。S-ICDは、経静脈ICDよりリード関連合併症が少ないが、抗頻拍および徐脈ペーシングができない。リードレスペースメーカーとS-ICDの無線通信による抗頻拍および徐脈ペーシングを行うモジュール式ペーシング除細動システムの安全性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年5月18日号掲載の報告。

心室性不整脈による突然死のリスクがある患者を登録

 研究グループは、ICD植込みの適応があり単形性心室頻拍のリスクが高い18歳以上の患者でベースライン時にペーシングを必要とせず、変時性応答不全を有する、または心室同期不全のためにペーシングを必要とする患者を登録し、リードレスペースメーカー(商品名:EMPOWER)とS-ICDシステム(同:EMBLEM)を植え込み、退院前、1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月時およびその後は6ヵ月ごとに追跡調査した。

 安全性のエンドポイントは、植込み後6ヵ月時におけるリードレスペースメーカーに関連する主要合併症非発生率で、86%を目標として評価した。リードレスペースメーカー関連主要合併症は、ペースメーカーや手技または治療に関連した合併症で、システム交換、永久的ペースメーカー機能喪失、入院または死亡と定義した。

 パフォーマンスの主要エンドポイントは、植込み後6ヵ月時におけるリードレスペースメーカーとS-ICD間の通信成功率(目標88%)、およびパルス幅0.4msでペーシング閾値2.0V以下の患者の割合(目標80%)であった。

 2021年7月~2024年1月に、38施設において計293例が登録され、そのうち植込み後6ヵ月時の評価対象コホートには162例が含まれた。患者の平均年齢は60歳、女性が16.7%、平均左室駆出率は33.1(SD 12.6)%であった。162例のうち、151例が6ヵ月の追跡調査を完遂した。

主要合併症の非発生率97.5%

 リードレスペースメーカー関連主要合併症非発生率は97.5%、片側98.8%信頼区間(CI)の下限値は94.2%で、事前に規定された目標を上回った。

 リードレスペースメーカーとS-ICD間の通信成功率は98.8%、片側97.5%CIの下限値は97.0%で、事前に規定された目標を上回った。

 パルス幅0.4msでペーシング閾値2.0V以下の患者の割合は97.4%(147/151例)、片側97.5%CIの下限値は93.4%で、事前に規定された目標を上回った。

 抗頻拍ペーシング成功率は61.3%で、デバイスの通信障害により抗頻拍ペーシングが実施されなかったエピソードはなかった。

 死亡は8例報告された。うち4例が植込み後6ヵ月以内であったが、死因がデバイスや手技に関連すると判定された死亡例はなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 高月 誠司( たかつき せいじ ) 氏

慶應義塾大学医学部 不整脈先進治療学寄附研究講座 特任教授

J-CLEAR推薦コメンテーター