重症大動脈弁狭窄症へのTAVI、Myvalは既存THVに非劣性/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/06

 

 症候性重症大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)において、バルーン拡張型の経カテーテル心臓弁(THV)であるMyval(Meril Life Sciences・インド)は、術後30日時の複合エンドポイントに関して既存のTHV(Sapienシリーズ[Edwards Lifesciences・米国]、またはEvolutシリーズ[Medtronic・米国])に対し非劣性であることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のAndreas Baumbach氏らLANDMARK trial investigatorsが実施した「LANDMARK試験」で示された。バルーン拡張型弁(BEV)であるMyval THVシリーズは直径が1.5mm刻みであることから、通常の3mm刻みの生体弁と比較し、大動脈弁輪との正確なサイズ合わせが容易となる。Myval THVの安全性と有効性は、これまで症候性重症大動脈弁狭窄症患者および二尖弁患者を対象とした単群試験または傾向スコアマッチング試験において示されていた。Lancet誌2024年オンライン版5月22日号掲載の報告。

欧州・南米など16ヵ国31施設で無作為化非盲検非劣性試験を実施

 LANDMARK試験は、16ヵ国(ドイツ、フランス、スウェーデン、オランダ、イタリア、スペイン、ニュージーランド、ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、スロベニア、クロアチア、エストニア、ブラジル)の31施設で実施された、前向き無作為化非盲検非劣性試験である。

 研究グループは、TAVIの適応を有する18歳以上の症候性重症大動脈弁狭窄症患者を、Myval群または既存群に1対1の割合に無作為に割り付けた。患者の適格性は、2021年欧州心臓病学会のガイドラインに従い地域のハートチームが評価した。

 有効性および安全性の主要エンドポイントは、VARC-3の定義に基づく術後30日時の全死亡、脳卒中、出血(VARCタイプ3および4)、急性腎障害(ステージ2、3および4)、主要血管合併症、中等度以上の人工弁逆流および新たに恒久的なペースメーカー植込みを必要とする伝導系障害の複合エンドポイントであった。Myval THVの既存THVに対する非劣性は、ITT集団において、非劣性マージン10.44%、両群のイベント発生率26.10%と仮定して検証した。

既存の生体弁に対する非劣性を検証

 2021年1月6日~2023年12月5日に、症候性重症大動脈弁狭窄症患者768例がMyval THV群(384例)および既存THV群(384例)に割り付けられた。患者背景は、平均年齢がそれぞれ80.0歳(SD 5.7)と80.4歳(5.4)、女性が193例(50%)と176例(46%)で、米国胸部外科医学会の予測死亡リスク(STS-PROM)スコアの中央値は両群とも2.6%(四分位範囲[IQR]:1.7~4.0)であった。

 複合エンドポイントのイベントは、Myval THV群で25%(94/381例)、既存THV群で27%(103/381例)に発生した。群間リスク差は-2.3%(95%信頼区間[CI]:NA~3.8)であり、95%CIの上限が事前に設定された非劣性マージンを超えなかったことから、Myval THVの既存THVに対する非劣性が示された(非劣性のp値<0.0001)。

 複合エンドポイントの各要素の発生率に、両群で有意差はみられなかった。

(ケアネット)