IPFに対するpamrevlumab、第III相で主要アウトカム達成せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/06

 

 特発性肺線維症(IPF)患者において、結合組織成長因子(connective tissue growth factor:CTGF)に対する完全ヒト型モノクローナル抗体であるpamrevlumabはプラセボと比較し、ベースラインから48週時の努力肺活量(FVC)の絶対変化量に有意差は認められなかった。米国・ワシントン大学のGanesh Raghu氏らZEPHYRUS-1 Study Investigatorsが世界9ヵ国117施設で実施した、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ZEPHYRUS-1試験」で示された。pamrevlumabは第II相試験において、IPFの進行を抑制し、重大な有害事象は認められなかったことが報告されていた。JAMA誌オンライン版2024年5月19日号掲載の報告。

48週時のFVC変化量、pamrevlumab vs.プラセボで比較

 研究グループは、40~85歳で、過去7年以内にIPFの診断歴があり、スクリーニング時の高分解能CT(HRCT)で肺全体の10%以上50%未満に肺実質の線維化(網状影)および25%未満の蜂巣肺を認めることが確認され(中央判定)、%FVC(FVCpp)が45%超95%未満、ヘモグロビン値で補正した%一酸化炭素肺拡散能力(DLCO)が25%以上90%以下の患者を、pamrevlumab(30mg/kgを3週ごとに48週間静脈内投与)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要アウトカムは48週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量。副次アウトカムは、疾患進行までの期間(FVCppの10%以上低下または死亡のいずれか早いほうまでの期間と定義)、複合臨床アウトカム(IPFの急性増悪、呼吸器疾患による入院または死亡のいずれか早いほう)までの期間、48週時の定量的肺線維化(QLF)容積のベースラインからの変化、IPFの初回急性増悪までの期間、全死因死亡までの期間、および呼吸器疾患による初回入院までの期間であった。有害事象についても評価した。

FVC変化量に有意差なし

 2019年7月~2022年4月に、計612例がスクリーニングされ356例が無作為化された(pamrevlumab群181例、プラセボ群175例)。患者背景は、平均年齢70.5歳、男性258例(72.5%)、白人221例(62.1%)であった。356例中277例(77.8%)が試験を完了した。最終追跡調査日は2023年8月28日であった。

 ベースラインおよび48週時のFVC(平均値±標準偏差)は、pamrevlumab群でそれぞれ2,367±618.5mL、2,310±692.7mL、プラセボ群で2,416±645.3mL、2,308mL±737.5mLであり、FVCの最小二乗平均変化量は両群間で有意差はなかった(pamrevlumab群:-260mL[95%信頼区間[CI]:-350~-170]vs.プラセボ群:-330mL[-430~-230]、群間差:70mL[-60~190]、p=0.29)。

 副次アウトカムのいずれも、有意な群間差は認められなかった。

 試験治療下における有害事象(TEAE)の発現率は、pamrevlumab群で88.4%(160/181例)、プラセボ群で86.3%(151/175例)、重篤なTEAEの発現率はそれぞれ28.2%(51例)、34.3%(60例)であった。死亡は各群23例(pamrevlumab群12.7%、プラセボ群13.1%)報告され、このうち31例(それぞれ16例、15例)は試験薬最終投与後60日以内に発生した。試験薬に関連した死亡は認められなかった。

(ケアネット)