局所進行上咽頭がんの1次治療、sintilimab併用は有益か/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/07/11

 

 局所進行の上咽頭がんの1次治療として、化学放射線療法へのsintilimab上乗せは、無イベント生存(EFS)率を改善し、有害事象の発現が増加したが管理可能な範囲のものであったことが、中国・中山大学がんセンターのXu Liu氏らによる第III相多施設共同非盲検並行群間無作為化試験「CONTIUUM試験」で示された。再発または転移のある上咽頭がんでは、抗PD-1療法+化学療法が1次治療として推奨されているが、局所進行の上咽頭がんにおけるPD-1阻害薬の有益性については明らかになっていなかった。Lancet誌2024年6月22日号掲載の報告。

中国9病院で無作為化試験、標準化学放射線療法vs.化学放射線療法+sintilimab

 CONTIUUM試験は、18~65歳の成人で新規に診断された転移のないStageIII~IVaの局所進行上咽頭がん患者(T3-4N0、T3N1は除外)を対象とし、中国の9病院で実施された。

 被験者は4ブロック法を用いて無作為に1対1の割合で割り付けられ、ゲムシタビン+シスプラチンの導入化学療法後に、シスプラチン+放射線療法(標準治療)を、または標準治療とsintilimab 200mg静脈内投与3週ごとを12サイクル(放射線療法の導入前3サイクル、併用療法3サイクル、補助療法6サイクル)受けた。

 主要評価項目は、ITT集団におけるEFS(無作為化から局所再発または遠隔再発、全死因死亡のいずれかが認められるまでの期間)。副次評価項目は、有害事象などであった。

EFSの層別ハザード比0.59

 2018年12月21日~2020年3月31日に、患者425例が登録され、sintilimab群(210例)または標準治療群(215例)に無作為化された。

 追跡期間中央値41.9ヵ月(四分位範囲[IQR]:38.0~44.8)、主要データカットオフ(2023年2月28日)時点で389例が生存しており、366例(94%)が36ヵ月以上の追跡調査を受けた。sintilimab群は標準治療群と比較してEFS率が高かった(36ヵ月EFS率86%[95%信頼区間[CI]:81~90]vs.76%[70~81]、層別ハザード比[HR]:0.59[95%CI:0.38~0.92]、p=0.019)。

 Grade3~4の有害事象は、sintilimab群で155例(74%)、標準治療群では140例(65%)に発現した。最も多くみられたのは、口内炎(68例[33%]、64例[30%])、白血球減少症(54例[26%]、48例[22%])、好中球減少症(50例[24%]、46例[21%])であった。死亡は、sintilimab群2例(1%)(いずれも免疫関連と考えられる)、標準治療群1例(<1%)。sintilimab群では、Grade3~4の免疫関連有害事象が20例(10%)に発現した。

 これらの結果を踏まえて著者は、「本治療法が、高リスクの局所進行上咽頭がん患者に対する標準レジメンと見なすことができるかどうかを判断するには、より長期の追跡調査が必要である」とまとめている。

(ケアネット)