日本人の口腔/咽頭がんの10年全死亡率、飲酒量による違いは?

提供元:ケアネット

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公開日:2024/03/26

 

 飲酒と口腔/咽頭がんの予後との関連については先行研究が少なく、そのほとんどが欧州の研究で5年までの全生存を調査しているもので、結果が一致していない。今回、日本における口腔/咽頭がん患者における飲酒と10年全死亡率の関連を大阪国際がんセンターがん対策センターの小山 史穂子氏らが評価した。その結果、多量飲酒者(エタノール46g/日以上摂取)では非飲酒者と比較して死亡リスクが1.36倍、女性では2.52倍になることが示唆された。Cancer Epidemiology誌2024年4月号に掲載。

 本研究は、1975~2010年に診断され、院内がん登録で特定された2,626例の口腔がんおよび咽頭がん患者を対象に、最長10年間追跡調査した。対象者をアルコール摂取量により、非飲酒者、元飲酒者、軽度飲酒者(エタノール23g/日以下)、中程度飲酒者(23~46g/日)、多量飲酒者(46g/日超)の5群に分け評価した。飲酒と10年全死亡率との関連は、性別、年齢、原発部位、病期、多発がんの数、手術、放射線療法、化学療法、喫煙状況、診断年について調整後、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。
※エタノール23g:日本酒1合(180mL)、ビール大瓶1本(633mL)

 主な結果は以下のとおり。

・非飲酒者に比べ、元飲酒者(ハザード比[HR]:1.59、95%信頼区間[CI]:1.28~1.96)および多量飲酒者(HR:1.36、95%CI:1.14~1.62)の死亡リスクは有意に高かった。
・多量飲酒者は男性(HR:1.35、95%CI:1.10~1.65)、女性(HR:2.52、95%CI:1.41~4.49)とも非飲酒者より死亡リスクが有意に高かった。

(ケアネット 金沢 浩子)