移植腎廃絶の主な原因である抗体関連型拒絶反応を呈した患者において、抗CD38モノクローナル抗体felzartamabは、許容可能な安全性および副作用プロファイルを示した。オーストリア・ウィーン医科大学のKatharina A. Mayer氏らが第II相二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究で、移植腎障害を引き起こす同種抗体とナチュラルキラー(NK)細胞を抑制するため、CD38を標的とすることが治療選択肢となる可能性が示唆されていた。NEJM誌2024年7月11日号掲載の報告。
felzartamab(16mg/kg体重)を6ヵ月間で9回静脈内投与
研究グループは移植後180日以上経過後に抗体関連型拒絶反応を呈した患者を、felzartamab(16mg/kg体重)を9回静脈内投与する群またはプラセボを投与する群に割り付け、6ヵ月間投与し、その後6ヵ月間観察した。
主要アウトカムは、felzartamabの安全性および副作用プロファイル。重要な副次アウトカムは、24週および52週時点の腎生検の結果、ドナー特異的抗体値、末梢血NK細胞数、ドナー由来無細胞DNA値とした。
重篤な有害事象はfelzartamab群1例vs.プラセボ群4例
2021年10月~2023年3月にウィーン医科大学とシャリテー-ベルリン医科大学で、腎移植を受け抗体関連型拒絶反応を呈した患者22例が無作為化された(各群11例)。移植を受けてから試験組み込みまでの期間中央値は9年(四分位範囲:5~18)であった。両群の特性は、年齢中央値(felzartamab群33歳、プラセボ群46歳)、eGFR中央値(60mL/分/1.73m
2 vs.36mL/分/1.73m
2)を除き、概してバランスは取れていた。
felzartamab群の8例で、軽度または中等度の注入に伴う反応がみられた。
重篤な有害事象は、felzartamab群1例とプラセボ群4例に発現。移植腎の廃絶がプラセボ群の1例で発現した。
24週および52週時点で腎生検を受けたのは、felzartamab群11例、プラセボ群10例であった。
24週時点で、形態学的な抗体関連型拒絶反応の消失が認められた割合は、felzartamab群(9/11例[82%])のほうがプラセボ群(2/10例[20%])よりも高く、その差は62%ポイント(95%信頼区間[CI]:19~100)であり、リスク比は0.23(95%CI:0.06~0.83)であった。
24週時点で、微小血管炎症スコアの中央値は、felzartamab群がプラセボ群よりも低く(0 vs.2.5)、平均群間差は-1.95(95%CI:-2.97~-0.92)だった。また、抗体関連型拒絶反応の確率を反映する分子スコア(0.17 vs.0.77)、ドナー由来無細胞DNA値(0.31% vs.0.82%)も低かった。
52週時点で、felzartamabの効果が認められた9例のうち3例で抗体関連型拒絶反応の再発が報告された。分子活性とバイオマーカー値はベースラインレベルに上昇していた。
(ケアネット)