発症後3時間以内に静脈内血栓溶解療法を受けた急性脳梗塞患者において、アルガトロバン(抗凝固薬)またはeptifibatide(抗血小板薬)の静脈内投与による補助療法は、脳梗塞後の障害を減少させず、死亡の増加と関連することが、米国・セントルイス・ワシントン大学のOpeolu Adeoye氏らが行った第III相無作為化試験の結果で示された。静脈内血栓溶解療法は急性脳梗塞の標準治療であるが、アルガトロバンまたはeptifibatideと併用した場合の有効性と安全性は不明であった。NEJM誌2024年9月5日号掲載の報告。
アルガトロバン、eptifibatideまたはプラセボを投与し有効性と安全性を評価
米国57施設で3群アダプティブ単盲検無作為化試験を実施した。発症後3時間以内に静脈内血栓溶解療法を受けた急性脳梗塞患者を、血栓溶解療法開始後75分以内に、アルガトロバンを静脈内投与する群(アルガトロバン群)、eptifibatideを静脈内投与する群(eptifibatide群)またはプラセボを静脈内投与する群(プラセボ群)に割り付けた。
主要有効性アウトカムは、90日時点の効用値で重み付けした修正Rankinスケール(UW-mRS)スコア(範囲:0~10、高スコアほど良好なアウトカムを示す)で、中央判定により評価した。
主要安全性アウトカムは、無作為化後36時間以内の症候性頭蓋内出血とした。
アウトカム改善は認められず、死亡率が高い
合計514例が無作為化された(アルガトロバン群59例、eptifibatide群227例、プラセボ群228例)。すべての患者が静脈内血栓溶解療法を受け(アルテプラーゼ投与70%、tenecteplase投与30%)、225例(44%)が血管内血栓除去術を受けた。
90日時点のUW-mRSスコア(平均値±SD)は、アルガトロバン群5.2±3.7、eptifibatide群6.3±3.2、プラセボ群6.8±3.0であった。
アルガトロバンがプラセボよりも良好である事後確率は0.002(UW-mRSスコアの事後平均群間差:-1.51±0.51)であり、eptifibatideがプラセボよりも良好である事後確率は0.041(-0.50±0.29)であった。
症候性頭蓋内出血の発生率は、3群で同程度であった(アルガトロバン群4%、eptifibatide群3%、プラセボ群2%)。90日時点の死亡率は、プラセボ群(8%)と比較しアルガトロバン群(24%)およびeptifibatide群(12%)で高率であった。
(ケアネット)