頭蓋内動脈高度狭窄、バルーン血管形成術+積極的内科治療は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/10/03

 

 症候性の頭蓋内アテローム性動脈硬化性狭窄(sICAS)患者において、積極的内科治療とバルーン血管形成術の併用は積極的内科治療のみと比較し、試験登録後30日以内の脳卒中または死亡、および30日以降12ヵ月後までの狭窄血管領域の虚血性脳卒中または血行再建の複合リスクが統計学的有意に低下した。中国・National Clinical Research Center for Neurological DiseasesのXuan Sun氏らBASIS Investigatorsが、同国の31施設で実施した無作為化非盲検試験「BASIS試験」の結果を報告した。これまでの無作為化試験では、sICAS患者において積極的内科治療より血管内ステント留置術が優れるとの結果は示されていなかったが、バルーン血管形成術については検討されていなかった。著者は今回の結果について、「バルーン血管形成術と積極的内科治療の併用はsICASに対する有効な治療法である可能性が示唆されるものの、実臨床ではバルーン血管形成術後30日以内の脳卒中または死亡のリスクを考慮する必要がある」とまとめている。JAMA誌2024年10月1日号掲載の報告。

30日以内の脳卒中/死亡と30日~12ヵ月の虚血性脳卒中/血行再建の複合を評価

 研究グループは、35~80歳で、抗血栓薬または血管危険因子の管理を含む治療を1種類以上受けるも、頭蓋内脳主幹動脈の70~99%のアテローム性動脈硬化性狭窄に起因した初発または再発の一過性脳虚血発作(登録前<90日)または虚血性脳卒中(登録前14~90日)を発症した患者を、バルーン血管形成術+積極的内科治療群または積極的内科治療単独群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 積極的内科治療は、アスピリン100mg/日に登録後90日間はクロピドグレル75mg/日を併用し、リスク因子管理として高血圧や糖尿病の管理、禁煙や運動などの生活習慣の改善を行った。

 主要アウトカムは、登録後30日以内の脳卒中または死亡、あるいは登録後30日~12ヵ月以内の狭窄血管領域の虚血性脳卒中または血行再建の複合であった。

 2018年11月8日~2022年4月2日に、1,409例が適格性を評価され、512例が無作為化された(バルーン血管形成術群256例、積極的内科治療単独群256例)。その後、同意撤回などにより11例が除外され、主要解析対象集団は501例(それぞれ249例、252例)となった。最終追跡調査日は2023年4月3日であった。

イベント発生率はバルーン血管形成術群4.4% vs.積極的内科治療単独群13.5%

 主要解析対象集団501例の患者背景は、年齢中央値58.0歳、女性が158例(31.5%)であった。

 主要アウトカムのイベントは、バルーン血管形成術群で11例(4.4%)、積極的内科治療単独群で34例(13.5%)に発生し、バルーン血管形成術群で発生率が有意に低かった(ハザード比:0.32、95%信頼区間:0.16~0.63、p<0.001)。

 副次アウトカムである登録後30日以内のあらゆる脳卒中または死亡は、バルーン血管形成術群で8例(3.2%)、積極的内科治療単独群で4例(1.6%)報告された。登録後30日~12ヵ月の狭窄血管領域の虚血性脳卒中の発生率はそれぞれ0.4%および7.5%、狭窄血管の血行再建はそれぞれ1.2%と8.3%であった。症候性の頭蓋内出血の発生率は、バルーン血管形成術群で1.2%、積極的内科治療単独群で0.4%であった。

 バルーン血管形成術群では、手技に伴う合併症が17.4%、動脈解離が14.5%の患者に発生した。

(ケアネット)