中等症~重症の潰瘍性大腸炎、グセルクマブは有効かつ安全/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/12/31

 

 グセルクマブは、中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)に対する導入療法および維持療法として有効かつ安全であることが、32ヵ国254施設で実施された第IIb/III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「QUASAR試験」において示された。米国・シカゴ大学のDavid T. Rubin氏らQUASAR Study Groupが、第III相導入試験および維持試験の結果を報告した。グセルクマブは、インターロイキン(IL)-23を阻害するとともに、CD64にも結合する二重作用のヒト型ヒト抗IL-23p19モノクローナル抗体製剤で、IL-23の阻害がUCの治療に有望であることが示唆されていた。本邦ではUCへの適応は承認申請中。Lancet誌オンライン版2024年12月17日号掲載の報告。

第IIb、第III相導入・維持試験でグセルクマブvs.プラセボを比較

 QUASAR試験は、第IIb相試験、第III相導入試験および維持試験で構成された。

 第IIb相および第III相導入試験の対象は、既存の治療(ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害薬)で効果不十分または忍容性不良の中等症~重症の活動期UCの成人患者で、グセルクマブ群(第IIb相では200mg群、400mg群、第III相導入試験では200mg群とし、それぞれ0、4、8週時に静脈内投与)またはプラセボ群に無作為に割り付けた。

 第IIb相および第III相導入試験において、12週時に臨床的反応が認められたグセルクマブ群の患者、ならびにプラセボ群で12週時に臨床的反応が認められずグセルクマブ200mgを投与され24週時に臨床的反応が認められた患者は、第III相維持試験に組み込まれ、維持療法0週時にグセルクマブ200mgの4週ごと皮下投与(q4w)群、100mgの8週ごと皮下投与(q8w)群またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、それぞれ44週間投与した。

 主要エンドポイントは、導入試験における12週時の臨床的寛解、および維持試験における44週目の臨床的寛解であった。

グセルクマブによる臨床的寛解率は、導入療法12週時23%、維持療法44週時50%

 第III相導入試験は、2021年5月18日~2022年6月2日に無作為化が行われ、ベースラインの修正Mayoスコアが5~9の患者701例が解析対象集団となった(グセルクマブ200mg群421例、プラセボ群280例)。

 第III相維持試験には、2020年7月31日~2022年11月11日に、846例(第IIb相導入試験から267例、第III相導入試験から579例)が登録され、ベースラインの修正Mayoスコアが5~9の患者568例が主要解析対象集団となった(グセルクマブ100mg q8w群188例、200mg q4w群190例、プラセボ群190例)。

 導入試験における12週時の臨床的寛解率は、グセルクマブ群23%(95/421例)、プラセボ群8%(22/280例)であり、グセルクマブ群で有意に高率であった(補正後群間差:15%、95%信頼区間[CI]:10~20、p<0.0001)。

 維持試験における44週時の臨床的寛解率は、グセルクマブ200mg q4w群50%(95/190例)、100mg q8w群45%(85/188例)、プラセボ群19%(36/190例)であり、プラセボ群よりグセルクマブ両群で有意に高率であった(補正後群間差:200mg q4w群30%[95%CI:21~38、p<0.0001]、100mg q8w群25%[95%CI:16~34、p<0.0001])。

 安全性プロファイルは良好で、承認された適応症におけるグセルクマブの安全性プロファイルと一致していた。導入試験では、両群の49%(グセルクマブ群421例中208例、プラセボ群280例中138例)に有害事象が報告され、重篤な有害事象はグセルクマブ群3%(12例)、プラセボ群7%(20例)、治療中止に至った有害事象はそれぞれ2%(7例)、4%(11例)に報告された。維持試験では、有害事象の発現率は治療群間で同程度であり、主な有害事象はUC、COVID-19および関節痛であった。両試験において、活動性結核、アナフィラキシー、血清病あるいは臨床的に重要な肝障害は報告されなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)