認知症ケア、積極的介入でアウトカムに差はなし/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/06

 

 認知症ケア専門家による医療システムを基盤とするケアとソーシャルワーカーや看護師による地域ケアのいずれにおいても、認知症患者の行動症状および介護者の負担に関して、積極的介入と通常ケア(介入なし)による有意な違いは認められなかった。米国・David Geffen School of Medicine at UCLAのDavid B. Reuben氏らが、米国の4施設で実施した無作為化試験の結果を報告した。認知症に対するさまざまなケアの有効性は明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2025年1月29日号掲載の報告。

医療システム型ケア、地域密着型ケア、積極的介入なしの3群に無作為化

 研究グループは、地域居住の認知症患者とその介護者を、医療システムを基盤とするケア(医療システム型ケア)群、地域密着型ケア群、および積極的介入なし(通常ケア)群のいずれかに、7対7対1の割合で無作為に割り付けた。

 医療システム型ケア群では、医療システム内の認知症ケア専門家がUCLAアルツハイマー病・認知症ケアプログラムに基づく包括的な認知症ケアを行った。地域密着型ケア群では、Benjamin Rose Institute on Aging(BRI)のケア相談モデルを用いてBRIケアコンサルタントとして認定されたソーシャルワーカー、看護師または認可セラピストが電話で包括的な認知症ケアを行った。通常ケア群では、追加の介入は行わなかった。

 主要アウトカムは、介護者による認知症患者の神経精神目録-質問票(Neuropsychiatric Inventory Questionnaire:NPI-Q)の重症度スコア(範囲:0~36、高スコアほど行動症状の重症度が高い、臨床的に意義のある最小差[MCID]:2.8~3.2)、ならびに修正介護者負担指標(Caregiver Strain Index:CSI、範囲:0~26、高スコアほど負担が大きい、MCID:1.5~2.3)であった。また、副次アウトカムとして、介護者の自己効力感(範囲:4~20、高スコアほど自己効力感が高い)など3項目を評価した。

 2019年6月28日~2022年1月31日に計2,176組(認知症患者とその介護者)が登録され、医療システム型ケア群1,016組、地域密着型ケア群1,016組、通常ケア群144組に無作為に割り付けられた。最終追跡調査日は2023年8月21日であった。

積極的介入と介入なしでアウトカムに差はなし

 認知症患者2,176例は平均年齢80.6歳、女性58.4%、黒人またはヒスパニック系20.6%、介護者2,176例は平均年齢65.2歳、女性75.8%、黒人またはヒスパニック系20.8%であった。主要アウトカムは参加者の99%以上で評価され、1,343例(登録者の62%、91%が生存しており、かつ試験を中止していなかった)が18ヵ月間の試験を完了した。

 主要アウトカムに関して、医療システム型ケア群、地域密着型ケア群と通常ケア群との間に有意差は認められなかった。

 NPI-Qスコアの最小二乗平均値(LSM)は、医療システム型ケア群9.8、地域密着型ケア群9.5、通常ケア群10.1であり、医療システム型ケア群の地域密着型ケア群との差は0.30(97.5%信頼区間[CI]:-0.18~0.78)、同通常ケア群との差は-0.33(-1.32~0.67)、地域密着型ケア群の通常ケア群との差は-0.62(-1.61~0.37)であった。

 修正CSIのLSMは、医療システム型ケア群10.7、地域密着型ケア群10.5、通常ケア群10.6であり、医療システム型ケア群の地域密着型ケア群との差は0.25(97.5%CI:-0.16~0.66)、同通常ケア群との差は0.14(-0.70~0.99)、地域密着型ケア群の通常ケア群との差は-0.10(-0.94~0.74)であった。

 副次アウトカムでは介護者の自己効力感のみが、両ケア群と通常ケア群を比較した場合に有意な改善が認められたが、ケア群間では有意差は認められなかった。介護者の自己効力感のLSMは、医療システム型ケア群15.1、地域密着型ケア群15.2、通常ケア群14.4であり、医療システム型ケア群の地域密着型ケア群との差は-0.16(95%CI:-0.37~0.06)、同通常ケア群との差は0.70(0.26~1.14)、地域密着型ケア群の通常ケア群との差は0.85(0.42~1.29)であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 岡村 毅( おかむら つよし ) 氏

東京都健康長寿医療センター

上智大学

大正大学

J-CLEAR評議員