直腸がん3年無病生存率、経肛門的TME vs.腹腔鏡下TME/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/07

 

 中下部直腸がん患者において、経肛門的直腸間膜全切除術(total mesorectal excision:TME)は腹腔鏡下TMEに対し3年無病生存率について非劣性であることが認められた。中国・中山大学のZiwei Zeng氏らが、中国の16施設で実施した第III相無作為化非盲検非劣性試験「TaLaR試験」の結果を報告した。これまでの研究では、経肛門的TMEは腹腔鏡下TMEと比較し、短期的な組織病理学的アウトカムと合併症に関して有用であることが示されているが、長期的な腫瘍学的アウトカムは明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2025年1月23日号掲載の報告。

中下部直腸がん患者1,115例を無作為化

 研究グループは、18~75歳で臨床病期I~IIIの中下部直腸がんと診断され、TMEの原則に従い括約筋温存手技を用いた根治的治療の対象となりうる患者を登録し、経肛門的TME群または腹腔鏡下TME群に1対1の割合で無作為に割り付け、最初の1年間は3ヵ月ごと、2年目は6ヵ月ごと、その後は年1回、追跡評価を行った。

 主要評価項目は3年無病生存率で、経肛門的TMEの腹腔鏡下TMEに対する非劣性マージンは群間差の97.5%信頼区間(CI)の下限が-10%とした。副次評価項目は、3年全生存率および3年局所再発率であった。

 2016年4月~2021年6月に計1,115例が無作為化され、経肛門的TME群544例、腹腔鏡下TME群545例が主要評価項目解析対象集団となった。年齢中央値は60歳で、男性が692例、女性が397例であった。

3年無病生存率は経肛門的TME群82.1%、腹腔鏡下TME群79.4%

 3年無病生存率は、経肛門的TME群82.1%(97.5%CI:78.4~85.8)、腹腔鏡下TME群79.4%(75.6~83.4)であった。両群間差は2.7%(97.5%CI:-3.0~8.1)で、97.5%CIの下限が規定した非劣性マージンを上回っており、非劣性が検証された。

 3年局所再発率は、経肛門的TME群3.6%(95%CI:2.0~5.1)、腹腔鏡下TME群4.4%(2.6~6.1)であり(ハザード比:0.81、95%CI:0.44~1.49)、3年全生存率はそれぞれ92.6%(90.4~94.8)、90.7%(88.3~93.2)であった(0.78、0.52~1.19)。

(医学ライター 吉尾 幸恵)