アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/21

 

 左側アルドステロン産生副腎腺腫(APA)の治療において、超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション(EUS-RFA)は副腎摘出術に代わる安全な方法であることが示された。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のGiulia Argentesi氏らFABULAS study groupが、多施設共同前向き概念実証研究「FABULAS試験」の結果を報告した。片側性APAは高血圧症の原因の5%で治癒の可能性があるが、その局在診断には侵襲的手技が必要である。分子イメージングを用いたEUS-RFAは、胃に非常に近い左側APAの治療において新たな低侵襲治療となる可能性があった。著者は、「APAの大部分を切除すれば、原発性アルドステロン症と高血圧症を完全に治癒できる可能性がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年2月7日号掲載の報告。

EUS-RFAの安全性を検証する第I相試験を実施

 FABULAS試験は、原発性アルドステロン症、分子イメージングおよびインターベンショナル消化器病学を専門とする英国の大学病院3施設で実施された。

 対象は、内分泌学会の基準により原発性アルドステロン症と診断され、副腎静脈サンプリングまたはPET-CTで左側APAが確認された18歳以上の男女であった。3グループに分けて登録し、グループ2と3は、それぞれ前のグループの最初の4例のデータを独立安全性委員会で評価した後、次のグループの登録を開始することとした。

 いずれのグループも、2回の分子イメージング(1回目でAPAの診断と位置の特定、2回目でアブレーションの程度の定量化)を実施後に、APA診断の確認のための穿刺生検に続き、19Gアブレーションカテーテルを用いてアブレーションを実施した。持続超音波ガイド下での操作により、試験の進行に伴って10~20秒の治療(焼灼)回数は漸増された。

 主要エンドポイントは安全性で、アブレーション後24時間または48時間における事前に規定された主要ハザード(胃および副腎穿刺:穿孔、出血、または主要臓器の梗塞)の発生とした。副次エンドポイントは、3ヵ月後の分子イメージングにおける対側副腎と比較した切除APAの放射性トレーサー取り込みの減少、ならびに生化学的および臨床的成功の国際的コンセンサス基準(RFA後6ヵ月時の血漿アルドステロン濃度/血漿レニン比および血圧の低下)とした。

主要ハザードの発生は確認されず

 2018年2月21日~2023年2月10日に、44例がスクリーニングされ、28例が登録された(男性21例[75%]、女性7例[25%]、平均年齢57.7歳[SD 10.3]、白人16例[57%]、黒人11例[39%]、アジア人1例[4%])。28例のうち21例(75%)で1回、7例(25%)で2回、計35回のアブレーションを行った。すべてのPET-CT陽性結節は、超音波内視鏡プローブで特定され、生検カテーテルとアブレーションカテーテルによる穿通に成功した。

 事前に規定された主要ハザードの発生は認められなかった。

 3ヵ月後のPET-CT陽性APAによる放射性トレーサー取り込みの局所的減少は、21例(75%[95%信頼区間:55~91])で生化学的完全治癒または部分的治癒と関連しており、12例(43%[24~61])で高血圧の完全治癒または部分的治癒(臨床的治癒)と関連していた。4例では、分子イメージングでのAPA消失が、すべての降圧治療中止時の収縮期血圧135mmHg未満および拡張期血圧85mmHg未満と関連していた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)