イチョウ葉エキスに認知症予防効果なし

提供元:ケアネット

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公開日:2008/12/02

 



イチョウ葉エキス(学術名:ギンコウ・ビロバ)サプリメントには、認知症の発症予防効果はないようだ。米National Center for Complementary and Alternative MedicineのSteven T. DeKosky氏らが、5ヵ所の医療施設で行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験で明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月19日号で発表された。ギンコウは、認知力や記憶力の温存に効果があるとして広く使われているものの、これまで、その効果の有無を示す適切な研究は少なかった。

3,000人超を約6年間追跡




DeKosky氏らは、2000~2008年にかけて、75歳以上で、認知度が正常(2,587人)または軽度認知機能障害(482人)の合計3,069人を、無作為に2群に分け、一方にはギンコウ・ビロバ120mgを1日2回、もう一方にはプラセボを投与した。追跡期間の中央値は、6.1年。

試験期間中、認知症を発症したのは、ギンコウ群で277人、プラセボ群で246人だった。そのうち92%が、アルツハイマー性認知症の可能性、または脳血管疾患を伴うアルツハイマー性認知症だった。

認知症、アルツハイマー性認知症の発症率ともに有意差なし




ギンコウ群とプラセボ群の原因を問わない認知症発症率はそれぞれ、3.3人/100患者年と2.9人/100患者年で、両群に有意差はなかった(ハザード比:1.12、95%信頼区間:0.94~1.33、p=0.21)。また、アルツハイマー性認知症の同ハザード比も、1.16(95%信頼区間:0.97~1.39、p=0.11)と、両群で有意差は見られなかった。

試験開始時に軽度認知機能障害のあった人の認知症発症について見てみたが、同じく両群に有意差はなかった(ハザード比:1.13、95%信頼区間:0.85~1.50、p=0.39)。

一方、出血性脳卒中の発症件数が、ギンコウ群で16件とプラセボ群8件の2倍だったが、両群に有意差はなかった。その他、出血や冠動脈性心疾患、脳卒中などといった有害事象についても、有意差は見られなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)