3つのコホートを対象としたゲノム関連試験で、新たにABCG2遺伝子、SLC17A3遺伝子が血清尿酸値および痛風と関連することが確認された。オランダErasmus 医療センター疫学科のAbbas Dehghan氏が、Lancet氏2008年12月6日号(オンライン版2008年10月1日号)で報告した。
既報のSLC2A9遺伝子の関連も確認
痛風は関節炎の形態として最も頻度の高い疾患のひとつである。イギリスでは70万人以上、アメリカでは300万人近くが罹患しており、毎年ほぼ400万人が外来を受診し、複数の国の疫学調査でその有病率および発症率の上昇が報告されているという。また、痛風の主要リスク因子である高尿酸血症は、高度の遺伝形質を有する。
研究グループは、血清尿酸値と痛風に関連する新たな遺伝子の同定を目的に検討を行った。Framingham試験のコホート7,699人とRotterdam試験のコホート4,148人を対象に、血清尿酸値のゲノム関連試験を実施した。また、Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)試験の参加者(白人:1万1,024人、黒人:3,843人)において有意な一塩基多型(SNPs)の解析を行った。
Framingham試験あるいはRotterdam試験のコホートにおいて尿酸値と有意な関連を示したSNPsについて痛風との関連を評価し、白人参加者から得られた結果についてメタ解析を行った。
Framingham試験コホートでは3つの遺伝子座が、Rotterdam試験コホートでは2つの遺伝子座が、尿酸値との有意な関連を示した。最も高い関連性を示した各遺伝子座のSNPsは、rs16890979(
SLC2A9遺伝子のミスセンス変異)、rs2231142(
ABCG2遺伝子のミスセンス変異)、rs1165205(
SLC17A3遺伝子のミスセンス変異)の3つであった。
白人では、これら3つのSNPsがすべて痛風と有意な関連を示した。ARIC試験の黒人ではrs2231142のみが痛風と有意な関連を示した。また、
SLC2A9遺伝子は3つの試験とも男性よりも女性で尿酸値との関連が高かった。ARIC試験では、
ABCG2遺伝子の尿酸値および通風との関連が女性よりも男性で高かった。
3つの試験ともに、3つの遺伝子のリスクスコアは尿酸値、痛風との関連性が高く、いずれも段階的に上昇した。なお、
SLC2A9遺伝子については、以前の研究で白人において尿酸値および痛風との関連が報告されている。
著者は、「
SLC2A9遺伝子、
ABCG2遺伝子、
SLC17A3遺伝子が尿酸値および痛風と有意な関連を示した。このうち
ABCG2遺伝子と
SLC17A3遺伝子の関連は、今回、初めて確認された」と結論しており、「試験のパワーを考慮すると、これら以外にも痛風に関与する遺伝子が存在する可能性はある」としている。
(菅野守:医学ライター)