末期心不全への補助人工心臓治療、1年生存率は3~5割程度

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2008/12/23

 



米国の末期心不全に対する補助人工心臓治療は、1年生存率が3~5割程度に留まることがわかった。米Duke大学のAdrian F. Hernandez氏らが、メディケア(米国の公的高齢者向け医療保険)の被保険者データを調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月26日号で発表した。米国では2003年から、末期心不全に対し、補助人工心臓治療をメディケアの支払い対象にしている。

補助人工心臓治療を行った約3,000人を追跡




Hernandez氏らは、2000~2006年にかけて、補助人工心臓治療のみを行った1,476人と、心臓切開術の後30日以内に補助人工心臓治療を行った1,467人について、それぞれ生存率や再入院率などについて調べた。平均年齢は、補助人工心臓のみ群が63歳、心臓切開術群は69歳だった。

退院時生存率は約34~55%と低率




1年生存率は、補助人工心臓のみ群が51.6%(669人)、心臓切開術群は30.8%(424人)だった。また補助人工心臓のみ群の退院時生存率は55.2%(815人)に留まり、そのうち55.6%(450人)が6ヵ月以内に再入院している。心臓切開術群でもまた、退院時生存率は33.6%(493人)と低く、そのうち48.3%(237人)が6ヵ月以内に再入院した。

なお、2000~2005年のデータで、メディケアが支払った1人当たり医療費の平均は、補助人工心臓のみ群が17万8,714ドル(標準偏差14万2,549ドル)で、心臓切開術群は11万1,769ドル(標準偏差9万5,413ドル)だった。

研究グループは、メディケア被保険者への補助人工心臓治療については、早期死亡率や早期合併症発症率が高く、またコストも高いことから、治療対象となる患者を選択することで、アウトカムを改善することが不可欠だとしている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)