院内緊急対応チーム結成による、院内心肺停止コード発生率や死亡率に変化なし

提供元:ケアネット

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公開日:2009/01/13

 



病院内に、患者の緊急事態に備えた対応チームを結成しても、院内の患者の心肺停止を知らせるコード発生率や死亡率は減少しないようだ。米国ミズーリ大学Paul S. Chan氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2008年12月3日号で発表されている。これまでの研究では、緊急対応チームを結成することで、集中治療室(ICU)以外でのコード発生率が減ることが示されており、米国Institute for Healthcare Improvementでも、病院への同チーム設置を推奨してきた。だが、同チームの介入でより多くの患者がICUに移された可能性が大きく、ICUを含めた院内全体のコード発生率や死亡率が減少するかどうかは、明らかではなかった。

404床の病院で4年弱の大規模前向きコホート試験




Chan氏らは2004~2007年にかけて、ミズーリ州カンザスシティSaint Luke’s Hospital(404床)で、前向きコホート試験を行った。

院内緊急対応チーム導入前の2005年8月までの入院患者数は2万4,193人、導入後は同2万4,978人。チームは、熟練したICUのスタッフと呼吸療法士の計3人で構成した。

院内コード発生率や死亡率は減少せず




試験期間中、緊急対応チームが出動したのは376件だった。チーム導入後の補正前院内コード発生率は、入院患者1,000人当たり11.2件から7.5件に減少したものの、補正後の院内コード発生率は有意に減少していなかった(補正後オッズ比:0.76、95%信頼区間:0.57~1.01、p=0.06)。だが、ICU以外でのコード発生率には、有意な減少が見られた(補正後オッズ比:0.59、95%信頼区間:0.40~0.89)。

また院内全体の死亡率についても、入院患者100人当たり死亡率は導入前が3.22人、導入後は3.09人と、有意な減少は見られなかった(補正後オッズ比:0.95、95%信頼区間:0.81~1.11、p=0.52)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)