世界で現在なお感染拡大が伝えられる新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の発生について、人々の認識、および不安、行動に関する電話サーベイが、ロンドン大学精神医学研究所のG James Rubin氏らによって行われた。BMJ誌2009年7月18日号(オンライン版2009年7月2日号)より。
2日間にわたり997人に無作為抽出電話調査
本サーベイでは、新型インフルエンザ発生の認知が、人々の行動を変化させたかどうかを評価することを目的に行われた。サーベイが行われたのは、イングランド、スコットランド、ウェールズ。電話調査は、5月8日と12日に、無作為に抽出し行われた。サーベイ対象は、18歳以上で英語が話せ、新型インフルエンザに関する情報を耳にしたことがある997人だった。
主要評価項目は、推奨されている行動をとっているか(手洗いやうがいの増大、あるいは「flu friend」との計画実行)、回避行動をとっているか(大勢が集まる場所や公共輸送機関を回避するなど6つのうち1つ以上を守る)とした。
過度な喧伝に価値がある!?
参加者のうち37.8%(n=377)は、推奨された行動を行っていると回答した。4.9%(n=49)は、あらゆる回避行動を実行していると回答した。
個人の詳細データおよび不安を調整した上で、推奨された行動を行うようになる変化は、新型インフルエンザに対する認識が高いことと関連が見られた。すなわち、感染力が強いこと、発生は長期にわたるであろうこと、当局が良い情報を提供するので頼りになると認識していること、人々の感染リスクはコントロール可能であること、リスクを減らすためのなすべき行動がはっきりしていること、などである。
一方、発生についてよく認識できておらず、発生は誇張されていると思っていることは、あまり行動変化が見られないことと関連していた。
最も強い行動変化の因子は、民族性だった。参加者のうち少数民族の人は、行動変化が乏しい傾向が見られた(オッズ比:3.2、95%信頼区間:2.0~5.3)。回避行動もあまり見られなかった(同:4.1、2.0~8.4)。
Rubin氏は、「本サーベイの結果は、国民に新型インフルエンザの感染リスクを低下するための、具体的なアクションを知らせようとする努力、および政府の方針と手段を知らせようとする努力を支持するものだった。発生情報を過度に喧伝することに対しては難しい側面もあるが、価値あることでもあるようだ。なお本調査の結果に関しては、少数民族での、発生に対する異なる行動に関して追加調査を行う必要がある」と結論している。