肥満手術の術後30日間の転帰

提供元:ケアネット

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公開日:2009/08/12

 



胃を小さく切除する肥満手術(バリアチック手術:bariatric surgery)の、術後30日間の転帰に関する報告が、米国ワシントン大学のDavid R. Flum氏らLongitudinal Assessment of Bariatric Surgery(LABS)研究チームにより発表された。肥満手術は最近、元大関・小錦(現タレント・KONISHIKI)が受けたことで日本でも広く知られるようになっている。NEJM誌2009年7月30日号の掲載より。

全米10施設で2005~2007年に、初回肥満手術を受けた患者4,776例を調査




LABS研究チームは、超肥満に対する治療法を適切に選択できるよう、肥満手術リスクを、さらに明らかにするため、同手術を受けた患者の術後30日間の転帰を、多施設共同前向き観察研究にて検討した。

対象患者は、2005~2007年、全米10施設で初回肥満手術を受けた患者で、術後30日間の主要転帰の複合(死亡、静脈血栓塞栓症、経皮的・内視鏡的・外科的な再介入の発生、退院できなかった)を評価した。

期間中、初回肥満手術を受けた患者は4,776例で、平均年齢44.5歳、男性が21.1%、非白人10.9%、BMI中央値46.5。半数以上が、2つ以上の共存症を有していた。

このうち3,412例がルーワイ胃バイパス術(Roux-en-Y gastric bypass)を、1,198例が腹腔鏡下(途中で開腹に切替もあり得る)胃バンディング術を受けた。残り166例は、その他の手術を受け、解析からは除外された。

術後30日の死亡率は0.3%




解析対象となった患者(ルーワイ胃バイパス術群、腹腔鏡下胃バンディング術群)の術後30日の死亡率は0.3%だった。

1つ以上の主要転帰が発生したのは、4.3%だった。

複合エンドポイントのリスク増加と、深部静脈血栓症または肺塞栓の既往歴、閉塞性睡眠時無呼吸と診断されていること、および身体機能の低下とが、各々独立して関連していた。

BMIが非常に高いことと、複合エンドポイントのリスク増加とも関連が見られた。しかし、年齢、性別、人種、民族、その他共存症については、関連が見られなかった。

研究チームは、「肥満手術後の、死亡やその他の有害転帰の全体的なリスクは低く、また患者特性によってかなりの変化が見られた。患者が適切な治療を選択できるよう、肥満手術後の長期的な効果と、患者が太り過ぎていることによるリスクと同時に、術後短期の安全性についても考慮されなければならない」と結論した。

(武藤まき:医療ライター)