これまでベアメタルステント(BMS)留置後にvery late stent thrombosis(VLST)が発生する病態生理学的なメカニズムは明らかになっていなかった。小倉記念病院の山地氏らは、明らかなステント血栓症を有するBMS留置102例の解析により、留置後3年超のVLSTの原因として、ステント内新アテローム性動脈硬化の破裂が、重要な役割を果たしている可能性があることをCirc Cardiovasc Interv誌2012年2月号にて報告した。
対象は、2002年9月~2010年2月の期間で、明確なステント血栓症を有したBMS留置102例であり、組織病理学的評価と血栓吸引を施行したステント血栓症と無関係の急性冠症候群(ACS)42例をコントロールとした。
主な結果は以下のとおり。
・Early ST(EST、30日以内)40例、Late ST(LST、31~365日)20例、およびVLST(1年超)42例であった。
・泡沫状マクロファージ、コレステロール結晶、薄い線維性被膜のようなアテローム性動脈硬化プラーク断片は、EST、VLST、LSTのそれぞれにおいて、23%、31%、10%に観察された。
・アテローム性動脈硬化の断片は、主に3年超のVLSTまたは7日以内のESTにみられた。
・ステント血栓症とACSの患者から採取した吸引血栓は、組織学的に区別できなかった。
(ケアネット 鈴木 渉)