DES留置後のステント遠位部における血管内皮機能障害は、なぜ起こる?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/29

 

 現在、薬剤溶出性ステント(DES)は再狭窄率の低さから多くの患者さんに使用されている。しかし、DES留置後の遅発性ステント血栓症が問題であり、ステント留置遠位部に血管内皮機能障害が起こることが報告されていた。この点に関し、久留米大学の光武氏らは、DES留置後の遠位部における血管内皮機能障害は、新生内膜被覆不良と関係することを報告した(JACC Cardiovasc Interv誌 2012年9月号 掲載報告)。

対象は、第一世代のDESを留置された安定狭心症66例で、9ヵ月間フォローアップされた。
冠動脈内皮機能は、冠動脈内にアセチルコリン(10-8、10-7、10-6)やニトログリセリン(200μg)を注入し、ステント留置部、遠位部における、注入前後の血管変化により評価された。新生内膜被覆度は、冠動脈内視鏡により評価された(grade 0:被覆なし~ 3:完全被覆)。
 
内膜被覆度により、内膜被覆不良群(grade.0-1、 n=33) と 内膜被覆良好群(grade.2-3、 n=33)に分けて検討された。

主な結果は以下のとおり。

・両群で、アセチルコリンに対して、用量依存性の血管収縮を示した。
・遠位部において、アセチルコリンによる血管収縮は、内膜被覆不良群で内膜被覆良好群よりも有意に大きかった(p<0.001)。
・近位部における血管収縮は、両群で同様であった。
・ニトログリセリンによる血管拡張は、両群で同様であった。

(ケアネット 鈴木 渉)