食事はアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発症に関連しているが、食物摂取量や食事パターンと末梢動脈疾患(PAD)との関係を調べた研究はほとんどない。米国ミネソタ大学のRachel P. Ogilvie氏らは、中年期の習慣的な食事とその後の約20年間のPAD発症の関係を前向きコホート研究で調査した。その結果、肉の摂取量が多いほどPADリスクが高く、適度な飲酒はPADリスクが低いことと関連していた。なお、これらの関連における因果関係の有無は不明である。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年1月11日号に掲載。
著者らは、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究に登録された参加者においてPADを発症していなかった1万4,082人に対し、ベースライン時(1987~89年)にハーバード食物摂取頻度調査票を用いて食物摂取量を評価した。食品群や食事パターン(「健康的」および「西洋風」)について、五分位数または四分位数で分類した。PAD発症は、2012年までの2回の検査で、ABI(ankle brachial index:足関節上腕血圧比)<0.9、および退院時診断コードで判断した。分析は多変量調整Cox比例ハザード回帰を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・平均19.9年のフォローアップ期間中、1,569人がPADを発症した。
・人口統計学的特徴、行動、食品群について調整したモデルで、PAD発症のハザード比(95%CI)は食肉消費量の五分位を通して増加した[第1五分位:基準、第2五分位:1.38(1.16~1.65)、第3五分位:1.38(1.16~1.65)、第4五分位:1.45(1.20~1.74)、第5五分位:1.66(1.36~2.03)、傾向のp<0.001]。
・週に1~6杯飲酒した人は、飲酒しなかった人よりPAD発症リスクが低かった[0.78(0.68~0.89)]。
・コーヒーを1日4杯以上飲んでいる人は、飲まない人に比べてPAD発症が少なかった[第1五分位に比した第5五分位:0.84(0.75~1.00)、傾向のp=0.014]。
・他の食品群やパターンとPAD発症との関連はみられなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)