不安、抑うつ、攻撃性、不眠などの症状がある認知症患者に対しては、抗うつ薬が処方されることが多い。しかし、新たな研究で、抗うつ薬の使用は認知機能の低下速度を速める可能性があり、特に、高用量の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、重度の認知症や骨折、あらゆる原因による死亡(全死亡)のリスク上昇と関連することが明らかにされた。カロリンスカ研究所(スウェーデン)神経学分野のSara Garcia-Ptacek氏らによるこの研究結果は、「BMC Medicine」に2月25日掲載された。
この研究でGarcia-Ptacek氏らは、2007年5月から2018年10月までの間にスウェーデン認知・認知症レジストリ(Swedish Registry for Cognitive/Dementia Disorders-;SveDem)に登録された認知症患者1万8,740人(女性1万205人、平均年齢78.2歳)を対象に、抗うつ薬の使用と認知機能低下との関連を検討した。さらに、抗うつ薬のクラス、具体的な薬剤、用量ごとの重度認知症、骨折、死亡のリスクを推定した。