医療一般|page:2

StageII/IIIのHR+HER2-乳がんの術後内分泌療法後、リアルワールドでの再発リスクと治療成績

 術後内分泌療法を受けたStageII/IIIのHR+HER2-早期乳がん患者における再発リスクをリアルワールドで検討した米国・Sarah Cannon Research InstituteのJoyce O'Shaughnessy氏らの後ろ向き研究の結果、リンパ節転移陰性患者も含め、再発リスクが依然として高いままであることが示された。Breast誌2025年6月号に掲載。

強制的なランニングがストレスや抑うつ症状に及ぼす影響〜動物実験データ

 High mobility group box 1(HMGB-1)は主に有核細胞の核内に発現しているタンパクで、炎症性刺激時または細胞死に際して核内から細胞外に放出され、それが炎症応答を誘導し、敗血症や免疫疾患などの病態を増悪することが知られている。HMGB-1により媒介される炎症反応は、うつ病の病態生理学的メカニズムにおいて重要な役割を果たすと考えられる。Qian Zhong氏らは、海馬におけるHMGB-1の影響を評価し、うつ病の慢性予測不能軽度ストレス(CUMS)マウスモデルに対する強制的なランニング(FR)の抗うつ作用を調査した。Neuropsychobiology誌オンライン版2025年3月11日号の報告。

新型コロナパンデミックが園児の発達に影響

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、園児の発達をさまざまな面で遅らせているとする研究結果が報告された。パンデミック発生後(2021〜2023年)の園児は、パンデミック発生前(2018〜2020年)の園児と比べて、言語・認知発達、社会的コンピテンス、コミュニケーション能力、一般知識の平均スコアが有意に低いことが明らかになったという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)公共政策大学院社会福祉学分野のJudith Perrigo氏らによるこの研究結果は、「JAMA Pediatrics」に3月10日掲載された。

高齢者の不眠症に最も効果的な運動は?

 高齢者の不眠症の改善に最も効果的な運動は、レジスタンストレーニング(筋トレ)であるとする論文が発表された。ただし、筋トレだけでなく、有酸素運動などの有効性も確認されたという。マヒドン大学ラマティボディ病院(タイ)のKittiphon Nagaviroj氏らによる研究の結果であり、詳細は「Family Medicine and Community Health」に3月4日掲載された。  加齢とともに睡眠の質が低下する。高齢者の12~20%が不眠症に悩まされているという報告もある。不眠症はうつ病や不安症、その他の精神疾患と関連のあることが明らかになっており、さらにメタボリックシンドロームや高血圧、心臓病などの身体疾患との関連も示されている。

食道がんリスクが平均赤血球容積でわかる?

 健康診断などでよく見る平均赤血球容積(MCV)は貧血の種類を判別する指標だが、食道がんの予測因子としても使えるようになるかもしれない。静岡県立総合病院消化器外科の佐藤真輔氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏らの研究によるもので、食道がんの発症リスクが高血圧の既往や生活習慣などとともにMCVでも予測できる可能性があるという。研究の詳細は「PLOS One」に2月11日掲載された。  食道がんは予後不良のがんであり、2020年には世界で54万人が食道がんで死亡している。症例の多くは扁平上皮がんであり、日本や中国を含む東アジアでの発症率が特に高くなっている。食道の扁平上皮がんのリスク因子は飲酒と喫煙であることが報告されている。

非小細胞肺がん、肺がんコンパクトパネルのリアルワールドデータ/Anticancer Res

 非小細胞肺がん(NSCLC)の分子プロファイリングに基づく個別化治療戦略は、NSCLC患者の予後を改善するために不可欠である。肺がんコンパクトパネル(LCCP)は、組織および細胞診検体からNSCLCの遺伝子変異を検出するマルチフレックスコンパニオン診断キットである。しかし、その実臨床における成績について大規模な検証がなされていなかった。そのようななか、近畿中央呼吸器センターの谷口 善彦氏が日本でのリアルワールドデータをAnticancer Research誌2025年4月号で発表した。

女性の体型は膣内の微生物叢で変わるか/北里大

 腸内の微生物叢がさまざまな疾患などに関連することが、近年の研究で判明している。では、女性の膣内の微生物叢は、健康な女性では、その体型に関連するのであろうか。この課題に対し、北里大学薬学部の伊藤 雅洋氏らの研究グループは、日本人の健康な女性24人の膣液を採取、分析し、菌種を特定するとともにBMIが生菌総数および膣内pHに影響を及ぼすことを明らかにした。この結果は、Frontiers in Cellular and Infection Microbiology誌2025年2月4日号に公開された。

ワインによる各脂質レベルへの影響~メタ解析

 ワイン摂取が脂質プロファイルに及ぼす影響について、これまで脂質をトリグリセライド、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、フィブリノゲンに分けてメタ解析を行った研究はなかった。今回、スペイン・University of Castilla-La ManchaのMaribel Luceron-Lucas-Torres氏らが系統的レビューとメタ解析を実施した結果、赤ワインによるLDLコレステロール減少効果が示された。The Journal of Nutrition, Health and Aging誌2025年6月号に掲載。  本研究では、MEDLINE(PubMed)、Scopus、Cochrane、Web of Scienceのデータベースを調べ、系統的レビューとメタ解析を行った。

乳がん患者と医師の間に治験情報に関する認識ギャップ/ケアネット・イシュラン共同調査

 ケアネットとイシュランが共同で実施した、乳がん患者(134人)と乳がん治療に携わる乳腺外科医(62人)を対象にした「治験に関する意識調査(インターネット調査)」の結果、患者側は医師からの治験の提案を期待している一方で、医師は日本国内の治験情報を十分に入手できていないと認識していることが明らかになった。患者の約6割が自身の主治医が国内の治験情報をよく知っていると思うと回答したのに対し、治験情報をよく知っていると回答した医師は1割未満にとどまった。

統合失調症に対する抗精神病薬の投与量と治療中止との関係〜メタ解析

 統合失調症治療における抗精神病薬の有効性を得るためには、服薬アドヒアランスを保つことが不可欠であり、中止率が高い場合には、有効性が損なわれる。そのため、抗精神病薬の投与量と中止率との関係を理解することは重要である。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJing Tian氏らは、この関連性を評価し、アドヒアランスの最大化、中止リスクを最小限に抑える抗精神病薬の投与量を明らかにするため、システマティクレビューおよびメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌2025年5月号の報告。

ボディイメージにまつわる問題は小児期に始まる

 体重に関する知覚は、わずか7歳という若い年齢で機能としてすでに形成されており、目にしたものの影響を受けて変化する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究の詳細は、「Journal of Experimental Child Psychology」に3月5日掲載された。  論文の上席著者である、英ダラム大学心理学教授のLynda Boothroyd氏は、「限られた範囲の体型しか紹介しない視覚メディアに注意する必要があることは、何年も前から明らかだった。なぜなら、それが大人の体型に対する知覚に影響を与えるからだ。今回の研究により、それが子どもにも当てはまることが判明した。非常にニュートラルなイメージであっても、同じような体型を繰り返し見ると、子どもはそれを基準に太い、細いと判断するようになる」と述べている。

AIサポートにより前眼部疾患の診断精度が向上か

 AI活用が医療現場にもたらす効果についての研究が活発化している。そのような中、白内障や角膜疾患の診断用に設計されたディープラーニングモデル「CorneAI」のサポートにより、角膜炎などの前眼部疾患に対する眼科医の診断精度が向上したという研究結果が報告された。CorneAI自体の診断精度は86%だったが、そのサポートにより、眼科医の精度がCorneAIのベースを超えて向上したという。福島県立医科大学附属病院眼科学講座の前原紘基氏、筑波大学附属病院眼科の上野勇太氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月11日掲載された。  人工知能(AI)は画像診断(CT、MRI、病理画像など)と親和性が高く、研究開発が活発化している分野の一つだ。眼の画像診断は、様々な前眼部疾患の診断と管理に重要な役割を果たしている。研究グループは、前眼部のカラー写真5,270枚を教師データとして、AIベースの分類ツールであるCorneAIを開発した。教師データには、細隙灯顕微鏡で撮影された、正常、感染性浸潤、非感染性浸潤、瘢痕、沈着/ジストロフィー、水疱性角膜症、水晶体混濁、腫瘍性病変、緑内障発作の9つのカテゴリーの画像が含まれた。

HR+早期乳がんにおける年齢と内分泌療法の中断期間、再発リスクの関係/JCO

 ホルモン受容体陽性(HR+)早期乳がんにおいて、内分泌療法(ET)のアドヒアランス欠如は、若年患者の生存率の低さの潜在的な原因の1つと考えられるが、ETのアドヒアランス改善が生存にもたらすベネフィットは明確ではない。フランス・パリ・シテ大学のElise Dumas氏らによるフランスの全国コホート研究の結果、とくに34歳以下の患者において厳格なET継続戦略によって得られる生存ベネフィットが示され、ETのアドヒアランス改善のための個別化戦略の必要性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年3月5日号への報告。

ポリープの家族歴、頻度・人数が多いほど大腸がんリスク増加

 近年の研究により、家族内での大腸ポリープ診断の頻度が大腸がんリスクと関連していることが示されている。ドイツ・ハイデルベルク大学のYuqing Hu氏らは親族におけるポリープ診断の頻度と、大腸がんの全体的なリスクおよび早期発症リスクとの関連性を評価するための大規模研究を行った。本試験の結果はGastroenterology誌オンライン版2025年1月10日号に掲載された。  研究者らは、スウェーデンの大規模な家族性がんデータセット(1964~2018年)の1,167万6,043例を対象とし、親族における大腸ポリープ診断の頻度と大腸がんリスクの関連を調査した。親族のポリープ診断歴を「1回のみ」と「複数回」に分けて解析を行った。大腸がんと診断、移住、死亡、または2018年末のいずれか早い時点まで追跡した。

うつ病やPTSDに対するブレクスピプラゾール+抗うつ薬併用療法〜前臨床試験のシステマティックレビュー

 ブレクスピプラゾールは、抗うつ薬と併用することで、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、セロトニン、ドパミン神経伝達物質に対し相補的な作用を示し、さらに強力な効果を得られる可能性が示唆されている。米国・Otsuka Pharmaceutical Development & CommercializationのMalaak Brubaker氏らは、ブレクスピプラゾールと抗うつ薬の併用療法に関する前臨床試験からどのような情報が得られているかを明らかにするため、システマティックレビューを実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2025年2月28日号の報告。

水中エアロビクスは減量とウエスト周囲径の減少に効果あり

 水中エアロビクス(有酸素運動)により、過体重や肥満の人の体重が2.7kg程度減り、ウエスト周囲径も2.75cm細くなったとする研究結果が報告された。論文の上席著者である国立釜慶大学校(韓国)のJongchul Park氏は、「10週間以上の水中エアロビクスによる介入により、試験参加者の体重とウエスト周囲径が大幅に減少した」と述べている。この研究の詳細は、「BMJ Open」に3月11日掲載された。  Park氏らは、論文データベースを用いて、過体重または肥満の人を対象に水中エアロビクスが人間の身体計測値(体重、ウエスト周囲径など)と体組成に与える影響を、他の介入や何もしない場合と比較したランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施し、10件を選出(対象者の総計286人)。これらのRCTのデータを抽出した後、メタアナリシスを行い、過体重や肥満の人における水中エアロビクスの効果を評価した。

睡眠不足の看護師は感染症に罹患しやすい

 夜間勤務(以下、夜勤)の影響で睡眠不足を感じている看護師は、風邪やその他の感染症への罹患リスクの高いことが新たな研究で明らかになった。研究グループは、「シフト勤務が睡眠の質に与える影響が看護師の免疫系に打撃を与え、感染症にかかりやすくさせている可能性がある」と述べている。Haukeland大学病院(ノルウェー)睡眠障害コンピテンスセンターのSiri Waage氏らによるこの研究結果は、「Chronobiology International」に3月9日掲載された。  この研究は、ノルウェーの看護師1,335人(女性90.4%、平均年齢41.9歳)を対象に、睡眠時間、睡眠負債、およびシフト勤務の特徴と自己報告による感染症の罹患頻度との関連を検討したもの。これらの看護師は、過去3カ月間における睡眠時間、睡眠負債、シフト勤務、および感染症(風邪、肺炎/気管支炎、副鼻腔炎、消化器感染症、泌尿器感染症)の罹患頻度について報告していた。

バターを植物油に置き換えると死亡リスク17%減

 バターがあれば何でもおいしくなる、というのは料理人の格言だが、バターは健康には良くないことが新たな研究で示された。バターの摂取量が多い人は少ない人に比べて早期死亡リスクが高いが、オリーブ油のような植物性の油を主に使っている人は早期死亡リスクが低いことが明らかになったという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のYu Zhang氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に3月6日掲載されると同時に、米国心臓協会(AHA)の生活習慣科学セッション(EPI/Lifestyle Scientific Sessions 2025、3月6~9日、米ニューオーリンズ)でも発表された。

子供も食事の早食いは肥満に関係する/大阪大

 「早食い」は太る原因といわれている。この食べる早さと肥満の相関は、子供にも当てはまるのだろうか。この課題に対し、大阪大学有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の高阪 貴之氏らの研究グループは、わが国の小学生1,403人の咀嚼能力および咀嚼習慣と肥満との関連を検討した。その結果、早食いや咀嚼能力の低下は、男子で肥満と関連していた。この結果は、Journal of Dentistry誌2025年3月8日号のオンライン版に掲載された。  研究グループは、大阪市の9~10歳の児童1,403人を対象に、咀嚼習慣を質問紙で評価し、咀嚼能力は色変化するチューインガムを用いて測定した。肥満は、身長と体重に基づく過体重の割合で判定し、多変量ロジスティック回帰分析を行い、咀嚼習慣と咀嚼能力を説明変数とし、性別、DMFT指数、ヘルマン歯発育段階を調整した肥満のオッズ比を算出した。

高感度CRP、心不全の悪化予測に有用か/日本循環器学会

 日本人の高齢化に伴い、国内での心血管疾患(CVD)の発生が増加傾向にある。このCVD発生には全身性の炎症マーカーである高感度C反応性蛋白(hsCRP)の上昇が関連しており、これが将来の心血管イベントの発症予測にも有用とされている。しかし、その関連性は主に西洋人集団で研究されており、日本人でのデータは乏しい状況にある。そこで今回、小室 一成氏(国際医療福祉大学 副学長/東京大学大学院医学系研究科 先端循環器医科学講座 特任教授)が日本人集団における全身性炎症と心血管リスクの関係を評価し、3月28~30日に開催された第89回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies1において発表した。