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原因不明の神経障害→もしかして●●●?

 2015年2月28日は「Rare Disease Day 2015世界希少・難治性疾患の日」である。これに先駆けて、2015年2月13日、都内にてファイザー株式会社が「家族性アミロイドポリニューロパチー」をテーマにプレスセミナーを開催した。本セミナーでは、演者に安東 由喜雄氏(熊本大学大学院生命科学研究部 神経内科学分野 教授)を迎え、希少疾患である同疾患について、診断方法と治療方法を中心に講演が行われた。  本疾患は他の疾患との鑑別に苦慮することが多く、診断時には手遅れであることも多い。安東氏は、適切な鑑別と専門医への早期紹介の重要性を強調した。以下、セミナーの内容をレポートする。

寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか

 てんかんは慢性的な神経障害であり、全世界に数百万の患者が存在する。主な治療法は抗てんかん薬(AED)であり、これにより発作を抑制し、てんかんをコントロールする。AEDは大半の症例で有効であるが、認知機能や行動の変化といった長期有害事象との関連が指摘されている。そのため、寛解を認めたらAEDを中止することが患者にとって最善だと考えられるが、その最適な中止時期については明らかとなっていなかった。英国・リバプール大学のIsabella Strozzi氏らは、AEDの最適な中止時期を明らかにするため、以前に行ったコクランレビュー(2001年第3号に発表)のアップデートを行った。その結果、小児てんかん患者において、発作寛解期間が2年未満の早期にAEDを中止した場合は再発率が高いことを報告し、抗てんかん薬は、最低2年の寛解期間を経た後に中止すべきことを示唆した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年2月11日号の掲載報告。

ICUの肥満パラドックス、該当する患者は?

 一般集団においては肥満が死亡率の増加と関連しているが、危篤状態の患者では、BMIが高いほど死亡率が低いという逆説的相関がみられる。これは「肥満パラドックス」と呼ばれているが、どのようなサブグループが最も影響されるのかは不明である。東京大学臨床疫学・経済学分野の笹渕 裕介氏らは、ICU入室患者について人口呼吸器の装着有無で比較することにより、肥満が低死亡率と関連するかどうかを検討した。その結果、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群では逆J字型の関連が認められた。また両群とも低体重患者の死亡率が高かった。Respiratory care誌オンライン版2015年2月17日号に掲載。

薬物過剰摂取のリスクを高める薬物は

 米国・テキサス大学健康科学センター・サンアントニオ校のBarbara J. Turner氏らは、非がん性疼痛に対してオピオイド等を投与された患者を対象に後ろ向きコホート研究を行った。結果、オピオイドならびにベンゾジアゼピン系薬の長期投与は薬物過剰摂取と関連しており、オピオイドのリスクはうつ病患者で最も高いこと、うつ病患者では抗うつ薬の長期使用が過剰摂取のリスクを低下させるが、非うつ病患者ではすべての抗うつ薬使用が過剰摂取のリスクを高めることを報告した。Journal of general internal medicine誌オンライン版2015年2月4日号の掲載報告。

特別講演会『川崎協同病院事件に見る医療倫理と司法倫理』のご案内

 順天堂大学大学院医学研究科 研究基盤センター分室の坪内 暁子 氏ら、患者・医療者・社会の権利に附随する諸問題について考える研究会は、2月27日(金)18時より、特別講演会『川崎協同病院事件に見る医療倫理と司法倫理』を開催する。本講演は、研究会のメンバーだけでなく、財団会員、若手医療者、MLS会員、医学生・法科大学院生などの聴講も幅広く歓迎している。

再発乳がんの予後にKi-67の変動が関連

 乳がんは原発巣と再発部位でバイオマーカーの状態に変化がみられる。しかし、その臨床的意義は、とくに乳房温存術後の同側乳房内再発(IBTR)患者において、明らかになっていない。日本乳癌学会の共同研究グループでは、原発巣とIBTRのバイオマーカー(ER、HER2、Ki-67)を比較し、その変動が、再発後の予後に影響するかどうか検討した。その結果、Ki-67が増加もしくはIBTRで高値のままだと、IBTR後の予後が悪いことが示唆された。European journal of surgical oncology誌オンライン版2015年2月7日号に掲載。

フルフェナジンデポをいま一度レビューする

 英国・Enhance Reviews社のNicola Maayan氏らは、統合失調症患者に対するフルフェナジンデカン酸およびエナント酸と、経口抗精神病薬およびその他の神経遮断薬のデポ製剤を比較し、臨床的有効性、社会経済的アウトカムを評価するレビューを行った。その結果、フルフェナジンについてエナント酸よりもデカン酸に関するデータのほうが多く存在すること、いずれも有用な抗精神病製剤であること、データの質は低く有害事象データは曖昧だったがフルフェナジンデカン酸は他の経口抗精神病薬よりも運動障害の発生が少なかったことなどを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「本検討では、アドヒアランスの面でデポ薬に経口薬を上回る有益性は認められなかったが、このことを単純に日常診療には適用できないと思われる」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年2月5日号の掲載報告。

ヨガの呼吸法や瞑想、産前うつ軽減によい

 産前うつは、母体と胎児のどちらに対しても身体的、精神的な悪影響を及ぼす可能性がある。産前うつに対するヨガの有効性を明らかにするため、中国・第二軍医大学のHong Gong氏らは、6件の無作為化対照試験(RCT)の妊婦375例を対象に、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、呼吸法や瞑想を通して深いリラックスを促すタイプのヨガにより、うつが軽減されることを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2015年2月5日号の掲載報告。

進行胃がん、c-MET陽性だと予後不良

 国立がん研究センター東病院の布施 望氏らは、標準化学療法を受けた進行胃がん患者において、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、上皮成長因子受容体(EGFR)、およびc-METの発現状況が独立した予後予測因子であるかどうかを検討した。その結果、c-METが陽性の場合に予後不良であることが示唆された。著者らは「これらのデータは今後、進行胃がんに対する治療薬剤の臨床試験のベースとして利用できる」としている。Gastric Cancer誌オンライン版2015年2月15日号に掲載。

SGLT2阻害薬のさらなる安全使用に必要なこと

 2月9日、「糖尿病薬物治療の現状と課題」と題し、生命科学フォーラム主催のセミナーが加来 浩平氏(川崎医科大学 内科学 特任教授)を講師に迎え、東京都内で開催された。  はじめにわが国の糖尿病における患者数の推移や発症機序の説明が行われた。  最近の調査では、メタボ健診などによる予防策が功を奏し、糖尿病予備軍は減少した。しかし、患者数は増加し、若年化、肥満化傾向を示し、それは運動不足や日常生活での活動量不足が原因と考えられる。また、30~40代の働き盛りの患者の増加と受診回避が問題となっており、早期の治療介入をいかに行うべきかが今後の課題であると述べた。

統合失調症患者は血栓症リスク大

 オーストラリア・シドニー大学のVincent Chow氏らによる検討の結果、統合失調症患者について、静脈血栓塞栓症のリスク増大に寄与する可能性がある、複数要因から成る凝固亢進状態および線溶低下状態を有するとのエビデンスが示された。これまで、同患者では静脈血栓塞栓症のリスク増大がみられていたが、その機序についてはほとんどわかっていなかった。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年1月26日号の掲載報告。