余暇における身体活動の強度がメタボリックシンドロームに及ぼす影響についてのデータは少ない。また、職場や通勤時の身体活動がメタボリックシンドロームに及ぼす影響に関する前向き研究データはない。国立国際医療研究センターの桑原 恵介氏らは、日本の労働者において、余暇における運動の強度、および仕事中や通勤時の身体活動によるメタボリックシンドロームリスクを比較した。その結果、高強度のみの運動、または高強度と中強度の運動の組み合わせ、および職場における身体活動への介入が日本の労働者のメタボリックシンドロームの予防に役立つ可能性を示唆した。Endocrine誌オンライン版2016年3月7日号に掲載。
著者らは、メタボリックシンドロームではない30~64歳の2万2,383人の参加者を2014月3月まで追跡した(最大追跡期間5年)。身体活動は自己申告、メタボリックシンドロームの定義は共同声明の基準を用いた。メタボリックシンドロームのハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)はCox回帰モデルを用いて推定した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間(平均4.1年間)中、5,361人の労働者がメタボリックシンドロームを発症した。
・共変量調整後、運動しない人に対する、中強度の運動のみを行う人におけるHR(95%CI)は、METs・時/週が7.5未満、7.5以上16.5未満、16.5以上で分類した場合、それぞれ0.99(0.90~1.08)、0.99(0.90~1.10)、0.95(0.83~1.08)であった。また、高強度の運動のみを行う人では、0.93(0.75~1.14)、0.81(0.64~1.02)、0.84(0.66~1.06)、中強度・高強度の両方の運動を行う場合は0.90(0.70~1.17)、0.74(0.62~0.89)、0.81(0.69~0.96)であった。
・職場での高い身体活動は、メタボリックシンドロームのリスク低下に関連しており、その関連は弱いが有意であった。
・徒歩通勤とメタボリックシンドロームとの関連はみられなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)