医療一般|page:22

TN乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン、販売開始/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年11月20日、化学療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性/HER2陰性(トリプルネガティブ)乳がんの治療薬として、TROP-2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)であるサシツズマブ ゴビテカン(商品名:トロデルビ)の日本における販売開始を発表した。  サシツズマブ ゴビテカンは、2024年9月24日に国内製造販売承認を取得。この承認は、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象に、サシツズマブ ゴビテカンと医師が選択した治療の有効性と安全性を比較した海外での第III相臨床試験(ASCENT)と、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象にサシツズマブ ゴビテカンの有効性と安全性を評価した国内の第II相臨床試験(ASCENT-J02)の結果に基づくものである。

ROS1陽性NSCLCへの新たな選択肢レポトレクチニブ、その特徴は?/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、ROS1阻害薬レポトレクチニブ(商品名:オータイロ)について、2024年9月24日に「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応で製造販売承認を取得した。そこで、ブリストル・マイヤーズ スクイブは「ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌についてのメディアセミナー」を2024年11月14日に実施した。  「ROS1融合遺伝子陽性肺癌に対する治療戦略」と題し、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院 副院長・呼吸器内科長)がROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療の変遷とレポトレクチニブの特徴について紹介した。

低リスク肺塞栓症がん患者のVTE再発、リバーロキサバン18ヵ月vs. 6ヵ月(ONCO PE)/AHA2024

 低リスク肺塞栓症(PE)を発症したがん患者を対象に、直接経口抗凝固薬(DOAC)であるリバーロキサバンの投与期間を検討したONCO PE試験の結果が、京都大学循環器内科の山下 侑吾氏らにより、11月16~18日に米国・シカゴで開催されたAmerican Heart Association’s Scientific Sessions(AHA2024、米国心臓学会)のFeatured Scienceで発表され、Circulation誌2024年11月18日号に同時掲載された。  本研究より、リバーロキサバンの18ヵ月間の投与は6ヵ月間の投与に比べ、静脈血栓塞栓症(VTE)の再発リスクを有意に低下させ、一方で出血リスクは有意な上昇を認めず、「がん患者の低リスクPEに対するDOACを用いた抗凝固療法は、血栓症予防の観点から18ヵ月間のより長期的な投与が望ましい」との結果が得られた。

大腸がん検診、現時点では血液検査よりも大腸内視鏡検査が優れる

 大腸がん検診において、新たな検査選択肢である血液検査は大腸内視鏡検査ほど有効ではないことが、米スタンフォード大学医学部消化器・肝臓内科学教授のUri Ladabaum氏らのレビューによって明らかになった。血液検査を推奨通りに3年に1回受けている人では、大腸内視鏡検査を10年に1回受けている人と比べて、大腸がんによる死亡が約2.5倍多く発生すると推定された。Ladabaum氏らは、大腸内視鏡検査や便の検査ではなく血液検査を選択する人が多くなると、大腸がんによる死亡が増加するとの予測を示している。この研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に10月29日掲載された。

うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、安定後は継続または中止?

 カナダ・トロント大学のRoger S. McIntyre氏らは、抗うつ薬治療とブレクスピプラゾール補助療法の併用により安定したうつ病患者における、ブレクスピプラゾール補助療法の継続または中止による再発までの期間を比較するため、第III相多施設共同二重盲検プラセボ対照並行群間ランダム化中止試験を実施した。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2024年10月17日号の報告。  対象は、2〜3回の抗うつ薬治療で効果不十分であったうつ病成人患者1,149例。すべての患者に対し、ブレクスピプラゾール2〜3mg/日による補助療法を開始した(第A相、6〜8週間)。症状が安定した患者(第B相、12週間)489例は、ブレクスピプラゾール補助療法群(継続群)240例またはプラセボ補助療法群(中止群)249例に1:1でランダムに割り付けられた(第C相、26週間)。主要エンドポイントは第C相における再発までの期間、副次的エンドポイントはうつ病評価尺度スコアの変化とした。

アジア人女性のBMIと乳がんの関連、欧米人との違い~32万人のデータ解析

 BMIと乳がんリスクの関連は、アジア人女性と欧米人女性で異なることが示唆されている。アジア人においては、閉経後女性でBMIと乳がんの正の相関が線形か非線形か、また閉経前女性でBMIと乳がんの相関が正か負かについて、以前の研究で矛盾した結果が報告されている。今回、岐阜大学の和田 恵子氏らは、複数のコホート研究から集められた約32万人のデータを使用して、閉経前および閉経後の日本人を含む東アジア人女性におけるBMIと乳がん発症率との関連を調べた。その結果、閉経後女性ではBMIと乳がんリスクに正の相関がみられたが、BMIが高くなると傾きが緩やかになった。また、閉経前女性で逆相関はみられなかった。Breast Cancer Research誌2024年11月14日号に掲載。

フィネレノンによるカリウムの影響~HFmrEF/HFpEFの場合/AHA2024

 左室駆出率(LVEF)が軽度低下した心不全(HFmrEF)または保たれた心不全(HFpEF)患者において、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)のフィネレノン(商品名:ケレンディア)は高カリウム血症の発症頻度を高めたが、その一方で低カリウム血症の発症頻度を低下させたことが明らかになった。ただし、プロトコールに沿ったサーベイランスと用量調整を行った場合、プラセボと比較し、カリウム値が5.5mmol/Lを超えた患者でもフィネレノンの臨床的な効果は維持されていた。本研究結果は、米国・ミネソタ大学のOrly Vardeny氏らが11月16~18日に米国・シカゴで開催されたAmerican Heart Association’s Scientific Sessions(AHA2024、米国心臓学会)のFeatured Scienceで発表し、JAMA Cardiology誌オンライン版2024年11月17日号に同時掲載された。

日本人に対するニボルマブのNSCLC周術期治療(CheckMate 77T)/日本肺癌学会

 ニボルマブは、切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術前補助療法として本邦で使用されているが、米国ではこれに加えて、2024年10月に術前・術後補助療法としての適応も取得している。その根拠となった第III相「CheckMate 77T試験」の日本人集団の結果について、産業医科大学の田中 文啓氏が第65回日本肺癌学会学術集会で発表した。 試験デザイン:国際共同無作為化二重盲検第III相試験 対象:切除可能なStageIIA(>4cm)~IIIB(N2)のNSCLC患者(AJCC第8版に基づく) 試験群:ニボルマブ(360mg、3週ごと)+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→ニボルマブ(480mg、4週ごと)を最長1年(ニボルマブ群:229例) 対照群:プラセボ+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→プラセボを最長1年(プラセボ群:232例)

インフル・コロナワクチン接種、同時vs.順次で副反応に差はあるか

 インフルエンザワクチンと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンを同時に接種した場合、1~2週間空けて両ワクチンを順次接種した場合と比較して、中等度以上の発熱、悪寒、筋肉痛などの発生状況に差はみられないことが、無作為化プラセボ対照臨床試験の結果示された。米国・Duke University School of MedicineのEmmanuel B. Walter氏らがJAMA Network Open誌2024年11月6日号に報告した。これまで、両ワクチンの同時接種の安全性に関する無作為化臨床試験データは限定的であった。  本試験は、2021年10月8日~2023年6月14日に米国の3施設で実施された。参加者は5歳以上で妊娠しておらず、4価インフルエンザ不活化ワクチン(IIV4)とCOVID-19のmRNAワクチンの両方を接種する意思のある者であった。1回目には、mRNA COVID-19ワクチンと同時にIIV4または生理食塩水を、反対側の腕に筋肉内投与した。1~2週間後、2回目として1回目に生理食塩水を投与された参加者にはIIV4を、1回目にIIV4を投与された参加者には生理食塩水を投与した。

日本の小中高生の自殺リスク「学校に行きたくない」検索量と関連

 自殺は、日本における小児および青年期の主な死因となっている。自殺リスクの検出に、インターネットの検索量が役立つ可能性があるが、小児および青年期の自殺企図とインターネット検索量との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。多摩大学の新井 崇弘氏らは、自殺者数と学校関連のインターネット検索量との関連を調査し、小児および青年期の自殺予防の主要な指標となりうる検索ワードの特定を試みた。Journal of Medical Internet Research誌2024年10月21日号の報告。

筋トレを数週間休んでも再開後は速やかに筋肉が元に戻る

 ウェイトトレーニングをしている人の中には、何らかの理由でしばらくジム通いができなくなったときに、筋肉量や筋力が大きく低下してしまうことを心配する人がいるかもしれない。しかし、新たな研究により、たとえ数週間トレーニングを休んだとしても、再開すれば速やかに元のレベルに回復することが分かった。ユヴァスキュラ大学(フィンランド)のEeli Halonen氏らの研究によるもので、詳細は「Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sports」に10月4日掲載された。

除細動器での心肺蘇生、1分の遅れが大きな影響

 除細動器による初回電気ショックを待つ時間が1分増えるごとに、心停止から生き延びる確率が6%低下することが、アムステルダム大学医療センター(オランダ)のRemy Stieglis氏らによる研究で明らかになった。この研究の詳細は、「Circulation」に10月27日掲載された。  Stieglis氏らは、オランダ北ホラント州で進行中の心肺蘇生に関する研究データを用いて、目撃者がいる状態で院外心停止を起こした患者3,723人を対象に、初回電気ショックが与えられるまでの時間と除細動成功率との関係について検討した。患者は、最初に記録された心電図リズムで心室細動(VF)が確認されていた。初回電気ショックまでの遅延は、最初の緊急通報からいずれかの除細動器による最初の電気ショックまでの時間と定義された。

慢性期統合失調症患者の低握力が認知機能や精神症状と関連

 握力の低さや非対称性は、認知機能の低さと関連していることが報告されている。しかし、統合失調症入院患者における握力の低さと精神症状、握力の非対称性と認知機能および精神症状との関連は不明である。中国・Southwest Medical UniversityのJianlin Pu氏らは、慢性期統合失調症入院患者の認知機能および精神症状を評価する指標としての握力の妥当性を評価するため、本検討を実施した。PLOS ONE誌2024年9月26日号の報告。  2023年8月、慢性期統合失調症入院患者235例を募集した。利き手の握力を3回測定し、最高値を用いて低握力患者(男性:28kg未満、女性:18kg未満)を特定した。非利き手の握力と利き手の握力の比が0.9〜1.1の範囲外であった場合、非対称群と定義した。認知機能の評価にはモントリオール認知評価中国版(MoCA-C)、精神症状の評価には陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。握力と評価尺度スコアとの関連を評価するため、一般化線形モデル分析を用いた。

日本の新型コロナワクチン接種意向、アジア5地域で最低/モデルナ

 モデルナ・ジャパンは11月13日付のプレスリリースで、同社が日本およびアジア太平洋地域のシンガポール、台湾、香港、韓国(アジア5市場)において実施した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と新型コロナワクチンに対する意識調査の結果を発表した。その結果、日本は、新型コロナワクチンの接種意向、新型コロナとインフルエンザのワクチンの同時接種意向共に、アジア5地域で最低となった。

アナフィラキシーの認識と対応にはいまだ課題も

 アナフィラキシーは、ごく微量であっても、ピーナッツなどの食物アレルゲンに対して突然生じる重篤なアレルギー反応で、生命を脅かすこともある。このほど、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次総会(ACAAI 2024、10月24〜28日、米ボストン)で発表された2件の研究から、米国のアナフィラキシーへの対応プロトコルには州によりばらつきがあり、その多くは不完全で時代遅れであること、また、アレルギーを持つ人やその介護担当者の多くが、アナフィラキシーが生じた際に、どの時点で何をすべきかを正しく理解していないことが判明した。

「電気絆創膏」で皮膚感染を予防する可能性

 実験段階にある「電気絆創膏」によって、いつの日か医師は薬を全く使わずに細菌感染を防げるようになる可能性のあることが、新たな研究で示された。皮膚パッチを通じて知覚できないほど弱い電気的刺激を与えることで、人間の皮膚の常在菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が10倍近く減少したことが確認されたという。米シカゴ大学化学科教授のBozhi Tian氏らによるこの研究の詳細は、「Device」に10月24日掲載された。Tian氏は、「この研究により、薬剤を使わない治療、特に薬剤耐性が深刻な問題となっている皮膚感染症や創傷の治療において素晴らしい可能性が広がった」と話している。

中年初期の質の低い睡眠は中年後期の脳の老化と関連

 入眠困難や睡眠維持困難などの睡眠の質の低下が認められる中年初期の人は、中年後期になると脳の老化が進んでいる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のClemence Cavailles氏は、「脳スキャンを用いて試験参加者の脳年齢を測定したわれわれの研究から、質の低い睡眠は、中年期の段階で、脳年齢の3年近くの加齢と関連していることが示唆された」と述べている。米国立老化研究所の資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「Neurology」に10月23日掲載された。

CAVI高値のCAD患者は発がんリスクが高い

 冠動脈疾患(CAD)の治療を受けた患者の中で、心臓足首血管指数(CAVI)が高く動脈硬化がより進行していると考えられる患者は、その後の発がんリスクが高いことを示すデータが報告された。福島県立医科大学循環器内科の清水竹史氏らによる研究の結果であり、詳細が「Circulation Reports」9月号に掲載された。  近年、がん患者は心血管疾患(CVD)リスクが高く、CVD患者はがんリスクが高いという相関の存在が明らかになり、両者に関与するメカニズムとして慢性炎症などを想定した研究も進められている。しかし、動脈硬化のマーカーと発がんリスクとの関連についてはまだ知見が少ない。清水氏らは、同大学附属病院の患者データを用いた前向き研究により、この点を検討した。

乳がんと肺がんの関連~双方向のメンデルランダム化解析

 乳がんサバイバーの生存期間の延長に伴い、2次がん発症リスクが上昇している。2次がんの部位は、米国・Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベース(2010~15年)によると、乳房(30.0%)に次いで肺・気管支(13.4%)が多かった。今回、乳がんと肺がんの双方向の因果関係について、中国・The First Affiliated Hospital of Xi'an Jiaotong UniversityのXiaoqian Li氏らがメンデルランダム化(MR)解析で調査したところ、乳がんサバイバーにおいて2次肺腺がんリスクが上昇することが示唆された。Scientific Reports誌2024年11月6日号に掲載。

高齢者の認知症予防に最も有用な野菜の種類は?

 オーストラリア・エディスコーワン大学のNegar Ghasemifard氏らは、オーストラリアの高齢女性における、特定の野菜を含む総野菜摂取量と長期の老年性認知症リスクとの関連を調査した。Food & Function誌2024年10月28日号の報告。  対象は、地域在住の70歳以上の高齢女性1,206人。ベースライン時(1998年)、検証済みの食物摂取頻度調査票を使用して、野菜の総摂取量、野菜の種類別摂取量(黄/オレンジ/赤い野菜[YOR]、アブラナ科、ネギ科、緑色の葉野菜[GLV]、豆類)を推定した。老年性認知症は、80歳以降に発症するすべての認知症と定義した。入院およびまたは死亡を含む老年性認知症イベントは、リンクした健康記録より収集した。関連性の評価には、多変量調整(APOE4遺伝子を含む)Cox比例ハザードモデルの制限付き3次スプラインを用いた。