医療一般|page:50

ファセンラ、小児の難治性気管支喘息で製造販売承認(一部変更)取得/AZ

 アストラゼネカは、2024年3月26日付のプレスリリースで、ファセンラ皮下注30mg/10mgシリンジ(一般名:ベンラリズマブ[遺伝子組換え])が、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない、6歳以上の小児の難治の気管支喘息患者に対する治療薬として、日本で製造販売承認を取得したと発表した。  ファセンラは、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤で、好酸球の表面に発現するインターロイキン-5受容体αに直接結合し、増強された抗体依存性細胞傷害活性によって好酸球を直接的に除去する。  既存治療によっても喘息症状をコントロールできない、小児の難治の気管支喘息患者に対する治療の新たな選択肢として、本剤は貢献できる薬剤になりうると期待される。

日本での大腸がん手術の転帰、月~木曜日vs.金曜日

 英国での大規模な後ろ向き研究で、待機的手術における30日以内の死亡リスクが月曜日で最も低く、週末に向けて増加することが報告されている。平日(月~金曜日)の間でもこのように差が見られる「weekday effect」については、まだ議論の余地がある。今回、広島大学の今岡 洸輝氏らは、StageI~III大腸がんの待機的手術を対象とした多施設共同後ろ向き解析を実施し、手術の曜日と短期アウトカムの関連を検討した。その結果、手術を金曜日に受けた患者は金曜日以外に受けた患者より術後合併症の発生率が高く、術後入院期間も長いことがわかった。Journal of Surgical Research誌2024年4月号に掲載。  本研究は、広島臨床腫瘍外科研究グループに属する15施設において、2017年1月~2019年12月に大腸がんの原発巣切除術を受けた2,574例を対象に解析した。手術日により金曜日と金曜日以外(月~木曜日)の2群に分け、傾向スコアマッチング後、30日死亡率と術後アウトカムを比較した。

院外心停止患者への市民による心肺蘇生、AED使用で生存が2倍以上に/日本循環器学会

 院外心停止(OHCA)患者の予後を改善するためには、市民による質の高い心肺蘇生法(CPR)と自動体外式除細動器(AED)の即時使用率をさらに高める必要がある。総務省消防庁は、1994年に市民を対象としたCPRの認定講習会を全国で開始し、2019年には受講者が年間約200万人に及び、認定者数は増加傾向にある。しかし、市民のCPR普及率やOHCA患者の生存率に及ぼす影響については十分に検討されていなかった。そのため、虎の門病院の山口 徹雄氏らの研究グループは、市民介入によるCPRと、患者の1ヵ月後の転帰との関連を評価した。本結果は、3月8~10日に開催された第88回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies 1にて、山口氏が発表した。なお本研究はResuscitation誌2024年2月号に掲載された。

「週末戦士」でも減量効果は習慣的な運動と同じ

 運動に関するガイドラインでは、中強度の運動を週に150分以上、または高強度の運動を週に75分以上行うことが推奨されている。この運動量を、1日か2日で集中的に行う「週末戦士」でも、得られる減量効果は習慣的な運動の積み重ねでこの基準を満たしている人と同程度であることが新たな研究で明らかになった。Fuwai病院(中国)National Clinical Research Center for Cardiovascular Diseases(国立循環器病研究センター)のLihua Zhang氏らによる研究で、詳細は「Obesity」に2月20日掲載された。  この研究では、米国全国健康栄養調査(NHANES)に2011年から2018年まで参加した20〜59歳の成人9,629人(平均年齢39.0歳、男性51.6%)のデータを用いて、運動パターンと腹部および全身の脂肪蓄積との関連が検討された。運動パターンは質問票への回答に基づき、運動量が週に150分未満の「非活動的運動パターン」、週に150分以上の運動を1回か2回で行う「週末戦士型運動パターン」、週に150分以上の運動を2回以上行う「習慣的運動パターン」の3群に分類された。脂肪の蓄積量は、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA法)と身体測定により評価した。

降圧薬治療による認知症リスク低下、超高齢やフレイルでも

 降圧薬治療で認知症リスクが低下するというエビデンスはあるが、これが一般集団の高齢者にも一般化できるかは不明である。今回、イタリア・University of Milano-BicoccaのFederico Rea氏らが、一般集団の高齢者において、新たに降圧薬の服用を開始した患者について検討したところ、降圧薬治療と認知症リスクの低下の関連が示唆された。また、この関連は超高齢(85歳以上)やフレイルの患者でも同様であったという。Journal of the American College of Cardiology誌2024年4月2日号に掲載。

シナジス、RSウイルス発症抑制で製造販売承認(一部変更)取得/AZ

 アストラゼネカは、2024年3月26日付のプレスリリースで、抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体製剤「シナジス」(一般名:パリビズマブ[遺伝子組換え])について、RSウイルス感染症の重症化リスクの高い、肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症、神経筋疾患を有する乳幼児を新たに投与対象とする製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。  RSウイルスは、乳幼児の気管支炎や肺炎を含む、下気道感染の原因となる一般的な病原体であり、2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれており、早産児や生まれつき肺や心臓等に疾患を抱える乳幼児に感染すると重症化しやすいとされている。シナジスは、これらの重症化リスクを有する乳幼児に対し発症抑制の適応としてすでに承認されている。

前立腺がん放射線療法後6ヵ月のPSA最低値が予後と関連/JCO

 放射線療法(RT)±アンドロゲン除去療法(ADT)を受けた限局性前立腺がん患者において、RT終了後6ヵ月間の前立腺特異抗原(PSA)最低値が長期予後と関連することが示唆された。イタリア・Catholic UniversityのLucia Kwak氏らによるJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年3月12日号掲載の報告より。  著者らは、RT単独、RT+短期(3~6ヵ月)ADT、RT+長期(24~36ヵ月)ADTを受けた限局性前立腺がん患者における、RT終了後6ヵ月間のPSA値が予後に及ぼす影響を評価する目的で、1987~2011年に実施された16の無作為化比較試験から個々の患者データを入手。RT終了後6ヵ月以内に記録されたPSA最低値を同定し、<0.1ng/mLまたは≧0.1ng/mLに分類した。

運転パフォーマンスに対する睡眠薬の残存効果の影響~ネットワークメタ解析

 睡眠薬には残存効果があり、運転中の安全性に悪影響を及ぼす可能性がある。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、不眠症患者における睡眠薬の残存効果と運転パフォーマンスへの影響を明らかにするためネットワークメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌2024年4月号の報告。  2023年5月28日までに公表された、不眠症患者と健康対照者を比較した睡眠薬使用および運転に関するランダム化比較試験(RCT)を、PubMed、EMBASE、TRID、Clinicaltrials.gov、WHO-ICTRP、Web Of Scienceより検索した。エンドポイントとして、車両の横位置の標準偏差(SDLP)、朝の最初の運転時における障害率を考慮した。バイアスリスクおよび不均一性(グローバル/ローカル)を測定し、エビデンスの信頼性を評価するためCINeMAを用いた。

「親子で思い出話」が未就学児の言語能力を向上させる?

 未就学児に思い出話をすることは、言語能力の向上に役立つ可能性があるようだ。過去の出来事についての思い出話をする際には質の高い話し言葉で語りかけることになるため、親子でおもちゃを使って遊んだり本を楽しんだりすることと同程度か、それ以上の効果を子どもにもたらす可能性のあることが、新たな研究で示された。米フロリダ・アトランティック大学心理学教授のErika Hoff氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Applied Developmental Psychology」3/4月号に掲載された。  Hoff氏は、「過去の出来事についての会話は、他の多くの状況での会話と比べて長くて複雑な文で構成されるという点が特徴として挙げられる」と説明。また、「思い出話をすることは、本を読むことと比べて、あらゆる文化で社会経済的地位の高低にかかわらず、多くの人々が自然に行っている行為であると指摘されている」と同大学のニュースリリースの中で付け加えている。

慢性腎臓病に対する心不全の因果関係

 心不全と慢性腎臓病(CKD)との間に因果関係のあることが、メンデルランダム化解析の結果として示された。この関係は、糖尿病と高血圧の影響を調整した後でも、依然として有意だという。湖南中医薬大学(中国)のJunyu Zhang氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に12月11日掲載された。  肥満や糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、および遺伝的素因が心不全やCKDのリスク上昇と関連のあることは、多くの疫学研究の結果として示されている。ただし、それらの因果関係については未解明の点が多く残されており、特に心不全が腎機能低下やCKDのリスクを押し上げるか否かは不明。Zhang氏らはこれらの点を明らかにするため、双方向2サンプルメンデルランダム化(2SMR)解析を行った。

EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法の第2回OS中間解析(FLAURA2)/ELCC2024

 EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬のオシメルチニブと化学療法の併用療法とオシメルチニブ単剤を比較する国際共同第III相無作為化比較試験(FLAURA2試験)が実施されており、主解析の結果、併用療法群で無増悪生存期間(PFS)が改善したことが報告されている(治験担当医師評価に基づくPFS中央値は併用群25.5ヵ月、単独群16.7ヵ月、ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.49~0.79)。欧州肺がん学会(ELCC2024)において、本試験の全生存期間(OS)に関する第2回中間解析の結果と、主解析時点をデータカットオフとした病勢進行後の治療成績が、ペルー・Instituto Nacional de Enfermedades NeoplasicasのNatalia Valdiviezo氏により報告された。

早期乳がん術前・術後化療にペルツズマブ上乗せ、長期有効性は?(PEONY試験)

 HER2陽性の早期または局所進行を有するアジア人乳がん患者に対して、術前および術後化学療法にペルツズマブを上乗せした第III相PEONY試験の最終解析の結果、5年間の長期有効性が認められたことを、中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのLiang Huang氏らが明らかにした。Nature Communications誌2024年3月9日号掲載の報告。

統合失調症診断の指標となりえる唾液中ガレクチン3レベル

 精神疾患を特定する生物学的マーカーはほとんどなく、精神疾患患者に対する侵襲的なサンプリング手法は困難なケースも少なくないため、非侵襲的な手法である唾液サンプルの活用は、有用であると考えられる。パキスタン・Islamic International Medical CollegeのSaba Shoukat氏らは、統合失調症患者と健康対照者における血清および唾液中のガレクチン3レベルの比較を行った。Journal of the College of Physicians and Surgeons Pakistan誌2024年2月号の報告。  2022年9月~2023年5月に、Islamic International Medical CollegeとBenazir Bhutto Hospitalの精神医学研究所と共同で横断的研究を実施した。対象は、統合失調症患者30例および年齢性別がマッチした健康対照者30例。統合失調症の診断は、DSM-Vの診断基準に従った。対象者から無刺激で口腔内全体から唾液を摂取するため、唾液を吐きだす方法により収集した。EDTAチューブを用いて血液サンプルを収集し、統合失調症患者の唾液および血清中のガレクチン3レベルを測定した。ガレクチン3の検出にはELISA法を用いた。独立サンプルのt検定およびピアソン相関分析を行った。

がん合併の低リスク肺塞栓症患者に対する在宅療養は適切か(ONCO PE)/日本循環器学会

 肺塞栓症含む血栓塞栓症はがん患者の主要な合併症の1つだ。通常の肺塞栓症の場合、低リスクであればDOACによる在宅療養を安全に行えるものの、がん患者の肺塞栓症に対してもそれが可能であるか議論されていた。倉敷中央病院心臓病センター循環器内科の茶谷 龍己氏らは、肺塞栓症重症度スコア(sPESI)が1点のがん合併の低リスク肺塞栓症患者に対して、リバーロキサバンによる在宅療養と入院療養の比較試験を、ONCO PE試験のコンパニオンレポートとして実施した。3月8~10日に開催された第88回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Clinical Trials 2セッションにて茶谷氏が発表した。なお本結果は、Circulation Journal誌オンライン版2024年3月8日号に同時掲載された。

アレルギー性鼻炎か副鼻腔炎か?誤診の実態が明らかに

 実際には慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis;CRS)に罹患しているにもかかわらず、アレルギー性鼻炎と誤診され、CRSにはほとんど効果のない抗アレルギー薬を使用し続けている米国人が相当数いることが、新たな研究で示された。米シンシナティ大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科のAhmad Sedaghat氏らによるこの研究の詳細は、「Otolaryngology Head & Neck Surgery」に1月31日掲載された。  研究論文の上席著者であるSedaghat氏は、「われわれは、アレルギーとCRSが混同されたことで長い間苦しまざるを得なかった患者を数多く見てきた」と振り返る。同氏は続けて、「これまで、10年や20年、人によってはそれ以上にわたってアレルギーの治療を受けてきたにもかかわらず症状が改善しなかったと訴える患者を私は見てきた。しかし、それがCRSであることが判明し、われわれが適切な治療を開始したところ、症状は数カ月以内に改善した」と話す。

「血糖値も測れる」とうたうスマートウォッチなどの使用に米FDAが注意喚起

 米国の糖尿病患者の中には現在、「血糖変動も把握できる」とうたって販売されているスマートウォッチやスマートリングを使用している人がいる。この状況に対して2月21日、米食品医薬品局(FDA)は、皮膚への針の穿刺や留置を伴わずに血糖を測定可能とする表現は虚偽であって、その使用は潜在的に危険であるとする安全性情報(safety communications)を発出して注意を喚起した。なお、日本国内で承認され保険診療下で糖尿病治療に使われている連続血糖測定(CGM)や間歇スキャン式持続血糖測定(isCGM)用の機器は、今回のFDA安全性情報が対象としている製品とは異なる。

ナイアシンの取り過ぎは心臓に悪影響

 ナイアシンは必須ビタミンB群の一つだが、取り過ぎは心臓に良くないようだ。何百万人もの米国人が口にする多くの食品に含まれるナイアシンの過剰摂取が炎症を引き起こし、血管にダメージを与える可能性のあることが、米クリーブランド・クリニック、ラーナー研究所の心血管・代謝科学主任研究員であるStanley Hazen氏らの研究で示唆された。この研究結果は、「Nature Medicine」2月19日号に掲載された。  Hazen氏は、「ナイアシンの過剰摂取により心血管疾患の発症リスクが高まる可能性が示された以上、平均的な人はナイアシンのサプリメントの摂取を控えるべきだ」とNBCニュースに対して語った。  米メイヨークリニックによれば、ナイアシンの推奨摂取量は男性で1日16mg、妊娠していない女性では1日14mgである。米国では、穀物やシリアルにナイアシンが強化され始めた1940年代以来、その摂取量が増加している。Hazen氏によると、食品にナイアシンを強化する動きは、ナイアシンが不足するとペラグラと呼ばれる致命的な疾患を引き起こす可能性があることを示唆した研究を受けて助長されたと説明する。皮肉なことに、ナイアシンのサプリメントは、かつてはコレステロール値を改善するために医師によって処方されていた。

日本における認知症教育による潜在的態度の変化

 東京大学の松本 博成氏らは、成人および高齢者における認知症に対する偏見などの潜在的な態度の測定に関して、その実現可能性と妥当性を評価し、仮想現実(VR)を用いた認知症フレンドリー教育が潜在的な態度に及ぼす影響を評価した。Australasian Journal on Ageing誌オンライン版2024年2月15日号の報告。  ランダム化比較試験のデータを2次分析した。東京在住の20~90歳が、VRの有無にかかわらず、認知症フレンドリー教育に参加した。認知症フレンドリー教育プログラム終了後、Implicit Relational Assessment Procedure(IRAP)を用いて、認知症に対するimplicitを測定した。

日本人の口腔/咽頭がんの10年全死亡率、飲酒量による違いは?

 飲酒と口腔/咽頭がんの予後との関連については先行研究が少なく、そのほとんどが欧州の研究で5年までの全生存を調査しているもので、結果が一致していない。今回、日本における口腔/咽頭がん患者における飲酒と10年全死亡率の関連を大阪国際がんセンターがん対策センターの小山 史穂子氏らが評価した。その結果、多量飲酒者(エタノール46g/日以上摂取)では非飲酒者と比較して死亡リスクが1.36倍と高く、とくに女性では2.52倍になることが示唆された。Cancer Epidemiology誌2024年4月号に掲載。

日本人の降圧薬アドヒアランス、低い患者とは?

 日本では、血圧が140/90mmHg未満にコントロールされている患者はわずか30%程度で、降圧薬の服薬アドヒアランスが低いことがコントロール不良の原因であると考えられている。今回、九州大学の相良 空美氏らが日本人の大規模データベースを用いて降圧薬のアドヒアランスを調べたところ、降圧薬のアドヒアランス不良率は26.2%であり、若年、男性、単剤治療、利尿薬使用、がんの併存、病院での処方、中規模/地方都市居住が、アドヒアランス不良と関連することが示された。Journal of Hypertension誌2024年4月号に掲載。