腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

多発性骨髄腫におけるCAR-T細胞の製造不良の要因/京都大学

 CAR-T細胞療法は、再発難治多発性骨髄腫の管理を大幅に改善した。しかしCAR-T細胞には、製造過程で一部に発生する細胞増殖不良による「製造不良」という問題がある。製造不良は治療の大きな遅れや、その間の病勢進行につながるため、治療計画に重大な影響を与える。製造不良の実態把握とリスク因子の同定が急務とされていた。  そのようななか、骨髄腫患者におけるCAR-T細胞製造不良リスクを特定するため、日本でide-cel(商品名:アベクマ)治療を受けた患者の全国コホート研究が実施された。対象はide-cel投与のための白血球アフェレーシスを受けた患者である。

「医療費が負担だった」8割、がん患者が感じている経済的不安/日本癌治療学会

 「いくらかかるかわからない」「費用が心配で高い治療を受け入れられない」。がん治療にかかる費用は病院の会計窓口で聞くまでわからないというケースも少なくないだろう。NPO法人キャンサーネットジャパンは、がん患者が感じている、がん治療への経済的負担についてのアンケート結果を第62回日本癌治療学会学術集会で発表した。  調査対象は20歳以上の日本のがん治療経験者、調査期間は2024年8月8日~9月1日で、1,117名から回答を得ている。  61%の治療経験者はがんになる前から治療費の備えをしていた。それにもかかわらず、約8割(78%)が、がん治療中に医療費が負担だと感じていた。

再発・転移子宮頸がんへのtisotumab vedotin、日本人でも有望な結果/日本癌治療学会

 再発・転移子宮頸がんに対する新規ADC・tisotumab vedotinは、担当医師の選択による化学療法と比較して全生存率を有意に改善したことが昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO2023)で報告された。この国際共同第III相ランダム化非盲検試験innovaTV 301の日本人のサブグループの解析結果を、第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)において久留米大学の西尾 真氏が発表した。 ・対象:再発・転移子宮頸がん患者(化学療法+ベバシズマブ、抗PD-(L)1療法後に病勢進行) ・試験群:tisotumab vedotin(2.0mg/kg、3週ごと:TV群) 対照群:医師選択の化学療法(トポテカン、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン、ペメトレキセド:CT群) ・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS) [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性

MET exon14スキッピングNSCLC、グマロンチニブの日本人データ(GLORY)/日本肺癌学会

 グマロンチニブは、METチロシンキナーゼのATP結合部位を選択的かつ競合的に阻害する薬剤であり、既存のテポチニブ、カプマチニブと同様の作用機序を有する。グマロンチニブは、MET遺伝子exon14スキッピング変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)を適応とする薬剤として、本邦では2024年6月に製造販売承認を取得し、同年10月に発売された。本承認の評価試験である国際共同第Ib/II相試験「GLORY試験」の第II相パートにおける、全体集団および日本人集団の結果について、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院)が第65回日本肺癌学会学術集会で報告した。

乳がん薬物療法の最新トピックス/日本癌治療学会

 第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で企画されたシンポジウム「明日からの乳癌診療に使える!最新の薬剤の使いどころ」において、がん研究会有明病院の尾崎 由記範氏が、乳がん薬物療法の最新トピックスとして、KEYNOTE-522レジメンの使いどころ、HER2ゼロ/低発現/超低発現の課題、新たなPI3K阻害薬inavolisibを取り上げ、講演した。

次世代のCAR-T細胞療法―治療効果を上げるための新たなアプローチ/日本血液学会

 2024年10月11~13日に第86回日本血液学会学術集会が開催され、13日のJSH-ASH Joint Symposiumでは、『次世代のCAR-T細胞療法』と題して、キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T細胞)療法の効果の毒性を最小限にとどめ、治療効果をより高めるための新たな標的の探索や、細胞工学を用いてキメラ抗原受容体(CAR)構造を強化した治療、およびoff the shelf therapyを目標としたiPS細胞由来次世代T細胞療法の試みなど、CAR-T細胞療法に関する国内外の最新の話題が紹介された。  CAR-T細胞療法はB細胞性悪性腫瘍や多発性骨髄腫(MM)などに対する効果が認められているが、毒性については解決すべき課題が残っている。ガイドラインでは主な合併症として、サイトカイン放出症候群(CRS)および免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)が取り上げられているが、CAR-T細胞療法による新たな、または、まれな合併症とその管理についての情報は少なく、新たな標的の検討とともに明らかにしていく必要がある。米国血液学会(ASH)のCAR-T細胞療法のワークショップでは、CAR-T細胞の病態生理の理解、まれな毒性についてのデータの蓄積、on-target off-toxicityを回避するための的確な標的となる抗原などが検討されている。

「大腸癌治療ガイドライン」、主な改訂ポイントを紹介/日本癌治療学会

 第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)では「がん診療ガイドライン作成・改訂に関する問題点と対応について」と題したシンポジウムが開かれた。この中で今年7月に発行された「大腸癌治療ガイドライン2024年版」について、作成委員会委員長を務めた東京科学大学 消化管外科の絹笠 祐介氏が、本ガイドラインの狙いや主な改訂ポイントを紹介した。  「大腸癌治療ガイドライン」は2005年に初版を発行、その後7回の改訂を重ね、今回は第8版で2年ぶりの改訂となる。前回は薬物療法に関連した部分改訂だったが、今回は全領域を改訂し、クリニカル・クエスチョン(CQ)も刷新した。

造血器腫瘍も遺伝子パネル検査の時代へ/日本血液学会

 固形がんで遺伝子検査が普及しているなか、造血器腫瘍でも適切な診断・治療のために遺伝子情報は不可欠となりつつある。日本血液学会からは有用性の高い遺伝子異常と遺伝子検査の活用方針を示した「造血器腫瘍ゲノム検査ガイドライン」が発行された。第86回日本血液学会学術集会では、Special Symposiumとして遺伝子パネルの実臨床での活用状況が発表された。  造血器腫瘍では対象となる遺伝子異常が固形がんとは違う。また、遺伝子検査の目的も固形がんでは治療対象の探索だが、造血器腫瘍では診断、予防予測も加わる。そのため、造血器腫瘍専用の遺伝子プロファイル検査が必要とされている。

乳がんにおけるADCの使いどころ、T-DXdとSGを中心に/日本癌治療学会

 現在、わが国で乳がんに承認されている抗体薬物複合体(ADC)は、HER2を標的としたトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)とトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)、TROP2を標的としたサシツズマブ ゴビテカン(SG)の3剤があり、新たなADCも開発されている。これら3剤の臨床試験成績と使いどころについて、国立がんセンター東病院の内藤 陽一氏が第62回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)におけるシンポジウム「明日からの乳癌診療に使える!最新の薬剤の使いどころ」で講演した。

高リスク網膜芽細胞腫の術後CEV療法、3サイクルvs.6サイクル/JAMA

 片眼性の病理学的高リスク網膜芽細胞腫の術後補助療法において、6サイクルの化学療法(CEV:カルボプラチン+エトポシド+ビンクリスチン)に対して3サイクルのCEV療法は5年無病生存率が非劣性であり、6サイクルのほうが有害事象の頻度が高く、QOLスコアの低下が大きいことが、中国・中山大学のHuijing Ye氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年10月21日号に掲載された。  本研究は、病理学的高リスク網膜芽細胞腫患者に対する術後CEV療法の有効性に関して、6サイクルに対する3サイクルの非劣性の検証を目的とする非盲検無作為化試験であり、2013年8月~2024年3月に中国の2つの主要な眼治療施設で患者を登録した( Sun Yat-Sen University Clinical Research 5010 Programなどの助成を受けた)。