腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

転移を有する去勢抵抗性前立腺がん、ルテチウム-177の最終解析結果(PSMAfore)/Lancet

 ルテチウム-177 (Lu-PSMA-617)は、タキサン未治療でアンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)既治療の前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性で転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、ARPI変更群と比較して画像上の無増悪生存期間(rPFS)を有意に延長し、安全性プロファイルも良好であることが認められた。米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのMichael J. Morris氏らPSMAfore Investigatorsが、北米および欧州の74施設で実施された第III相無作為化非盲検比較試験「PSMAfore試験」の主要解析(第1回中間解析)と最新解析(第3回中間解析)の結果を報告した。

ICI既治療の進行腎細胞がん、tivozanib単独vs.ニボルマブ併用(TiNivo-2)/Lancet

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の治療歴を有する進行腎細胞がん患者の2次または3次治療において、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3選択的な経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるtivozanibにニボルマブを併用しても、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の改善は示されなかった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のToni K. Choueiri氏らが、オーストラリア、欧州、北米、南米の16ヵ国190施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「TiNivo-2試験」の結果を報告した。ICIおよびVEGFR-TKIは進行腎細胞がんに対する1次治療の基本となっているが、進行後の最適な治療順序は不明であった。著者は、「今回の結果は、進行腎細胞がん患者では、ICIの再投与を控えるべきであることを裏付けるものであった。さらには、ICI投与後はtivozanib単独療法が有効であることを示唆するものである」とまとめている。Lancet誌2024年10月5日掲載の報告。

切除可能な胃がんに対する術前化学放射線療法の有用性は?(解説:上村直実氏)

日本における胃がん治療は、遠隔臓器やリンパ節への転移がなく、がんの深達度が粘膜層までの場合は内視鏡治療が適応であり、がんが粘膜下層以深に達しているときは通常、外科治療が選択され、手術後の病理組織学的検査の結果で必要に応じて薬物療法が追加されるのが一般的である。なお、術前検査で遠隔臓器への転移がある場合などの切除不能がんには化学療法などの治療法が検討される(日本胃癌学会編『胃癌治療ガイドライン 2021年7月改訂 第6版』)。一方、欧米諸国における胃がん診療は、わが国と大きく異なっている。医療保険制度の違いから内視鏡検査の適応がまったく異なることから内視鏡的切除が可能な早期胃がんの発見は稀であり、胃がんといえば進行がんが大半を占めている。

転移を有する乳がん、ctDNA変化と生存率の関連~メタ解析

 転移を有する乳がん患者の血中循環腫瘍DNA(ctDNA)における特定のゲノム変化の検出は、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)の悪化と関連していたことを、カナダ・Research Institute of the McGill University Health CentreのKyle Dickinson氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析によって明らかにした。JAMA Network Open誌2024年9月5日号掲載の報告。

進行メラノーマに対するオプジーボとヤーボイの併用療法が生存期間を延長

 ニボルマブ(商品名オプジーボ)とイピリムマブ(商品名ヤーボイ)の2種類の免疫チェックポイント阻害薬の併用療法により、進行メラノーマ患者の生存期間を大幅に延長できる可能性のあることが、10年にわたる追跡調査により明らかになった。米ワイル・コーネル・メディスンのJedd Wolchok氏らによるこの研究の詳細は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に9月15日掲載された。Wolchok氏は、「これは、慣例を変える試験だった。対象患者の平均生存期間は現在6年を超えている。追跡3年時点でがんの進行が認められなかった患者は、10年後も再発や他の病気を発症することなく生存している可能性が高い」と話している。

乳がん術後放射線療法、最適な分割照射法は?/BMJ

 乳がん術後放射線療法において、中等度寡分割照射(MHF)は通常分割照射(CF)と比較して腫瘍学的な治療アウトカムが同等でありながら安全性、美容およびQOLを改善し、超寡分割照射(UHF)はMHFやCFと比較した無作為化比較試験は少ないものの、短期間の追跡ではその安全性と腫瘍学的有効性は同程度であった。シンガポール国立大学のShing Fung Lee氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「治療期間の短縮、患者の利便性の向上ならびに費用対効果などを考慮すると、MHFおよびUHFは適切な臨床状況ではCFよりも好ましい選択肢とみなされなければならない。これらの知見を確かなものにするためにはさらなる研究が必要である」とまとめている。BMJ誌2024年9月11日号掲載の報告。

2剤併用の新レジメンで腎細胞がん患者の生存期間が倍増

 進行性腎がんに対する治療において、パゾパニブ(商品名ヴォトリエント)にベバシズマブ(商品名アバスチン)を組み合わせることで患者の生存期間を延長できる可能性が、第2相臨床試験で示された。米ロズウェルパーク総合がんセンターのSaby George氏らが実施したこの試験の結果は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2024、9月13〜17日、スペイン・バルセロナ)で発表された。  パゾパニブは、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)として知られる抗がん薬の一種である。血管内皮細胞表面に存在する血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)とがん細胞が分泌する血管内皮増殖因子(VEGF)が結合すると、シグナルが血管内皮細胞内に伝達され、血管新生が促される。TKIは、VEGFRの働きを阻害してVEGFRとVEGFの結合を抑制することにより血管新生を阻止し、がん細胞の増殖を抑制する。米食品医薬品局(FDA)がパゾパニブ承認の根拠とした以前の臨床試験では、腎がんと診断された患者の無増悪生存期間(PFS)は平均11カ月強であることが示されていた。

CAR-T細胞療法により二次がんリスクは上昇しない

 自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法製品の添付文書には、CAR-T細胞療法後に二次性のT細胞性悪性腫瘍が発生するリスクがあるとの警告が記載されている。しかし、新たな研究で、CAR-T細胞療法後のそのような二次がんの発生頻度は、標準治療後の二次がん発生頻度と同程度であることが示された。米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKC)成人骨髄移植サービス分野のKai Rejeski氏らによるこの研究の詳細は、「Clinical Cancer Research」に9月11日掲載された。

切除可能NSCLC、周術期ペムブロリズマブの追加が有効(KEYNOTE-671)/Lancet

 未治療の切除可能な早期非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、術前化学療法単独と比較し、術前ペムブロリズマブ+化学療法と術後ペムブロリズマブ療法を行う周術期アプローチは、3年全生存率が有意に優れ、無イベント生存期間が延長し、安全性プロファイルも良好であることが、カナダ・マギル大学ヘルスセンターのJonathan D. Spicer氏らが実施した「KEYNOTE-671試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年9月28日号で報告された。  KEYNOTE-671試験は、日本を含む世界189施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年5月~2021年12月に参加者の無作為化を行った(Merck Sharp & Dohmeの助成を受けた)。