腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:39

乳がん検診、異型検出後の罹患リスクは?/BMJ

 乳がん検診で異型を伴う病変が検出された場合、その後の短期間において、マンモグラフィ検査を毎年行うことは有益ではないことが、英国・ウォーリック大学のKaroline Freeman氏らによる検討で示された。悪性か否かが不明の異型を伴う乳房病変が検出された場合、乳がんの長期リスクが3~4倍増加する可能性が示されている。英国、欧州、米国のガイドラインでは、異型部位を吸引式乳房組織生検(VAB)または手術で切除し、画像サーベイランスを行うことが推奨されている。しかし、画像サーベイランスを5年間にわたり毎年行うことについてはエビデンスがなく、期間、頻度、妥当性が議論の的となっていた。なお、今回の結果について著者は、「長期的リスクについてさらなるエビデンスが必要である」と述べている。BMJ誌2024年2月1日号掲載の報告。

膵臓がんの治療ワクチン、初期段階の臨床試験で有望な結果

 膵臓の腫瘍は、その90%以上に悪性度を高める可能性のあるKRAS遺伝子の変異があるとされるが、この変異を有する膵臓がんに対し、実験段階にある治療ワクチンが有効である可能性が、米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター消化器腫瘍学准教授のShubham Pant氏らが実施した小規模な臨床試験で示された。現時点では「ELI-002 2P」と呼ばれているこのワクチンは、KRAS変異を有する固形がんを標的にするものだという。ELI-002 2Pを製造するElicio Therapeutics社の資金提供を受けて実施されたこの試験の詳細は、「Nature Medicine」に1月9日掲載された。

検診以外で発見の非浸潤性乳管がん、浸潤性病変・乳がん死の長期リスク高い/BMJ

 検診以外で発見された非浸潤性乳管がん(DCIS)の女性は、診断後少なくとも25年間は、一般集団の女性と比較して浸潤性乳がんや乳がん死のリスクが高く、検診でDCISが検出された女性に比べ長期的なリスクも高いことが、英国・オックスフォード大学のGurdeep S. Mannu氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月24日号に掲載された。  本研究は、検診以外で検出されたDCISにおける浸潤性乳がんと乳がん死の長期的なリスクの評価を目的に、一般集団の女性と検診でDCISと診断された女性を比較する住民ベースのコホート研究である(Cancer Research UKなどの助成を受けた)。

肺がんコンパクトパネル、細胞診検体の精度は?

 2023年1月26日に遺伝子パネル検査「肺がん コンパクトパネルDxマルチコンパニオン診断システム」(肺がんコンパクトパネル)の一部変更申請が承認された。従来、4遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、MET)のマルチコンパニオン診断検査として用いられていたが、今回の承認により3遺伝子(BRAF、KRAS、RET)が追加され、7遺伝子が対象となった。その肺がんコンパクトパネルについて、細胞診検体(液体検体)を用いた遺伝子検査の精度を検討した結果が、國政 啓氏(大阪国際がんセンター 呼吸器内科)らによって、Lung Cancer誌オンライン版2月3日号で報告された。本研究において、気管支生検鉗子洗浄液の検体では、組織検体で検出された遺伝子変異との一致率が94.9%と高率であった。

小児がんサバイバーは糖尿病ハイリスク

 小児期にがんを経験すると、その後の糖尿病の発症リスクが高くなることを示すデータが報告された。米セント・ジュード小児研究病院のStephanie Dixon氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Oncology」に12月13日掲載された。  小児がんサバイバーの糖代謝異常のリスクや、糖代謝異常に伴う心血管イベントおよび慢性腎臓病(CKD)のリスクは、これまでよく分かっていなかった。それを背景に実施されたこの研究から、小児期にがんの既往がある成人は既往がない人に比べて前糖尿病を発症する確率が2倍に上ることが明らかになった。Dixon氏は同院発のリリースの中で、「前糖尿病が20歳で始まった場合、それは心臓病や腎臓病のリスクが大きく上昇することを意味する。人生のより早期に前糖尿病になるほど、問題はより大きくなる。また、時間の経過とともに、より多くの小児がん既往者の耐糖能が悪化し続ける」と解説している。

ER陽性/HER2陽性乳がん、PR陽性vs.陰性で転帰の差は

 エストロゲン受容体(ER)陽性プロゲステロン受容体(PR)陽性HER2陽性(ER+/PR+/HER2+)乳がんとER+/PR-/HER2+乳がんは、異なる臨床病理学的特徴および生存転帰を示すことが示唆された。中国・Shaoxing Second HospitalのWu Ding氏らによるBreast Cancer誌オンライン版2024年1月17日号掲載の報告より。  本研究では、Shanghai Jiao Tong University Breast Cancer Data Baseと国立がん研究所のSEER(Surveillance、Epidemiology、and End Results)データベースを用いて分析。傾向スコア調整法により両サブタイプ間の患者特性のバランスが調整された。カプランマイヤー生存曲線により両サブタイプの無病生存期間(DFS)、乳がん特異的生存期間(BCSS)、全生存期間(OS)を推定したほか、多変量モデルを使用して閉経状態、病理学的分類(pN)、抗HER2療法および内分泌療法の有無についてサブグループ解析が行われた。

学会のSNS発信はどうあるべき?JSMO2024でシンポジウム開催

 2024年2月22日(木)~24日(土)、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)が名古屋国際会議場とオンラインのハイブリッド形式で開催される。新薬開発や臨床課題に関する多くの演題が並ぶ中、一風変わったシンポジウムが企画されている。  テーマは「学会としてSNSをどう活用していくべきか」、昨年4月にJSMO広報渉外委員会の下部組織として「SNSワーキンググループ(SNS-WG)」が発足したことを契機に企画されたシンポジウムだ。SNS-WGは立候補制で、現在専攻医からがん薬物療法専門医まで、幅広い世代のJSMO会員メンバーが参加する。  SNS-WGの活動目的は下記のとおり。 1)JSMO会員のSNS利用を活発にするための環境整備 2)医学生・研修医や一般市民に向けた腫瘍内科・JSMOの認知度向上 3)JSMOの国際化

FoundationOne CDx、BRCA変異陽性の去勢抵抗性前立腺がんに対するコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は2024年2月5日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」(FoundationOne)について、ファイザーのPARP阻害薬タラゾパリブ(商品名:ターゼナ)のBRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対するコンパニオン診断として厚生労働省より承認を取得したと発表。  FoundationOneは、今回の承認で8つのがん種(非小細胞肺がん、悪性黒色腫、乳がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、胆道がん、固形がん)、計25薬剤に対するコンパニオン診断機能を保有することになった。

がんの企業治験で分散型臨床試験を使用開始/アムジェン・MICIN・聖マリアンナ医大

 アムジェン、MICIN、および聖マリアンナ医科大学病院は、アムジェンが聖マリアンナ医科大学病院で実施するがんの企業治験において、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DCT)のプラットフォーム使用を開始した。DCTプラットフォームはMICIN社が提供する「MiROHA(ミロハ)」である。  同取り組みの対象となるアムジェンの企業治験は、発現頻度が低いバイオマーカーを対象としたものである。患者数が少なく、スクリーニングでの脱落率も高いことが予想されているため、より多くの患者からインフォームド・コンセント(IC)を取得し、患者組み入れを促進する必要がある。

新規がんは世界で約2,000万例、日本で多いがん種との違いは?/WHO

 2024年2月1日、世界保健機関(WHO)と国際がん研究機関(IARC)は、世界のがん負担に関する最新の推計を発表した。それによると、2022年には全世界で新たに約2,000万例のがん患者が生じ、約970万例が死亡したと推定される。世界で最も多く発症および死亡したのは肺がんで、日本で最も多く発症したのは大腸がん、最も死亡が多かったのは肺がんであった。  全世界では、2022年に新たに1,996万5,054例(男性:1,030万6,574例、女性:965万8,480例)ががんに罹患し、死亡は973万6,520例(男性:542万6,895例、女性:430万9,625例)と推定される。  新規発症したがんは、全体では肺がんが最も多く(12.4%[248万308例])、乳がん(11.6%[230万8,931例])、大腸がん(9.6%[192万6,136例])、前立腺がん(7.3%[146万6,718例])、胃がん(4.9%[96万8,365例])と続いた。男女別では、男性では肺がん(15.3%)、前立腺がん(14.2%)、大腸がん(10.4%)、胃がん(6.1%)、肝がん(5.8%)が多く、女性では乳がん(23.8%)、肺がん(9.4%)、大腸がん(8.9%)、子宮がん(6.8%)、甲状腺がん(6.4%)が多かった。