腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:39

抗CD3/CD20二重特異性抗体エプコリタマブ、再発難治性濾胞性リンパ腫に適応拡大の承認を取得/ジェンマブ

 ジェンマブ株式会社は2025年2月20日、抗CD3/CD20二重特異性抗体エプコリタマブ(商品名:エプキンリ)について、2つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade1~3A)に対する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省より取得した。  今回の承認はRR FLを含む成熟B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象に、エプコリタマブ単剤の安全性および有効性を評価した海外非盲検多施設共同第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-1/GCT3013-01試験)と国内第I/II相臨床試験(EPCORE NHL3/GCT3013-04試験)等の結果に基づいている。

乳がん発見のためのWGSを用いたctDNAアッセイ

 乳がんにおいて、全ゲノムシークエンス(WGS)を用いた循環腫瘍DNA(ctDNA)アッセイにより、ベースライン時および追跡調査時の検出が改善され、臨床的な再発診断までの期間(リードタイム)が長くなることが、英国・The Institute of Cancer ResearchのIsaac Garcia-Murillas氏らによる後ろ向き研究で示唆された。Annals of Oncology誌オンライン版2025年2月4日号に掲載。

アテゾリズマブ、胞巣状軟部肉腫に適応追加/中外

 中外製薬株は、2025年2月20日、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)について、切除不能な胞巣状軟部肉腫に対する適応追加承認を取得したと発表。  今回の承認は、切除不能な胞巣状軟部肉腫に対するアテゾリズマブの有効性および安全性を評価した国内第II相臨床試験であるALBERT試験、および米国国立がん研究所主導の海外第II相臨床試験の成績に基づいている。

日本の乳がん統計、患者特性・病理・治療の最新データ

 2022年にNCD(National Clinical Database)乳がん登録に登録された日本国内1,339施設の乳がん症例10万2,453例の人口学的・臨床病理学的特徴を、兵庫医科大学の永橋 昌幸氏らがBreast Cancer誌2025年3月号に報告した。  日本乳癌学会では1975年に乳がん登録制度(Breast Cancer Registry)を開始し、2012年からはNCD乳がん登録のプラットフォームへ移管された。NCDに参加する医療機関で新たに乳がんと診断された患者は、乳房手術の有無にかかわらず登録対象となっており、2012~21年の10年間で累計89万2,021例が登録されている。

CAR-T細胞療法後、T細胞リンパ腫に対するモニタリング必要/NEJM

 オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのSimon J. Harrison氏らは、1~3レジメンの前治療歴のあるレナリドミド抵抗性多発性骨髄腫患者を対象に、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的としたCAR-T細胞療法ciltacabtagene autoleucel(cilta-cel)と標準治療を比較した第III相無作為化試験「CARTITUDE-4試験」において、cilta-cel投与後に末梢性T細胞リンパ腫(CAR導入遺伝子発現と組み込みを伴う悪性単クローン性T細胞リンパ増殖症)を発症した2例について報告した。著者は、この病態を「CAR導入遺伝子T細胞リンパ増殖性腫瘍(CTTLN)」と呼んでいるが、「T細胞リンパ腫の発症に対する挿入突然変異の関与は、直接的な証拠がないため現在のところ不明である」と述べている。NEJM誌2025年2月13日号掲載の報告。

HER2+早期乳がん、TILが20%以上ならde-escalation可能か

 第III相ShortHER試験の長期追跡データを用いて、HER2+の早期乳がん患者における腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と予後との関連性を評価した結果、TILが高値であるほど遠隔無病生存期間(DDFS)および全生存期間(OS)が良好で、TIL量が20%以上の場合はde-escalationの術後補助療法であっても過剰なリスクは認められなかったことを、イタリア・パドヴァ大学のMaria Vittoria Dieci氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2025年2月13日号掲載の報告。

日本人PD-L1低発現の切除不能NSCLC、治験不適格患者へのICI+化学療法の有用性は?

 PD-L1低発現の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法の有用性は臨床試験ですでに検証されている。しかし、実臨床では臨床試験への登録が不適格となる患者も多く存在する。そこで、研究グループはPD-L1低発現の切除不能NSCLC患者を臨床試験への登録の適否で分類し、ICI+化学療法の有用性を検討した。その結果、臨床試験への登録が不適格の集団は、適格の集団よりも全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が短かったものの、ICI+化学療法が化学療法単独よりも有用であることが示唆された。ただし、PS2以上、扁平上皮がんではICI+化学療法によるOSの改善はみられなかった。本研究結果は、畑 妙氏(京都府立医科大学大学院 呼吸器内科学)らにより、Lung Cancer誌2025年2月号で報告された。

イサツキシマブ、未治療の多発性骨髄腫に適応追加/サノフィ

 サノフィは、イサツキシマブ(商品名:サークリサ点滴静注)について、未治療の多発性骨髄腫患者を対象としてボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用療法(BLd)に本剤を追加する新たな併用療法(IsaBLd)の承認を2025年2月20日に取得したと発表した。今回の承認により、再発/難治性の多発性骨髄腫に加え、未治療の多発性骨髄腫に対する新たな選択肢となる。  本剤は、CD38受容体の特異的エピトープを標的とするモノクローナル抗体製剤で、日本では2020年8月に発売され、現在4種類の治療レジメンで承認されている(再発又は難治性の多発性骨髄腫における、ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法と、単剤療法、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法、デキサメタゾン併用療法)。

アスピリンはPI3K経路に変異のある大腸がんの再発リスクを低下させる/ASCO-GI

 低用量アスピリンの毎日の服用は、大腸がん患者のがん再発を抑制する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。この研究では、PI3K(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)シグナル伝達経路(以下、PI3K経路)の遺伝子に変異のある大腸がん患者に1日160mgのアスピリンを毎日、3年間投与したところ、がんの再発リスクが半減することが示された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のAnna Martling氏らによるこの研究は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025、1月23~25日、米サンフランシスコ)で発表された。  PI3K/AKT(プロテインキナーゼB)/mTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)シグナル伝達経路は、細胞の成長や増殖など細胞の生存に関わるさまざまな機能に関与する重要な経路である。この経路の異常は、がんや糖尿病、自己免疫疾患などの発症に関連することが知られている。過去の後ろ向き研究では、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路において重要な役割を果たす遺伝子であるPIK3CAの変異の有無により、アスピリンによる治療に対する反応を予測できる可能性のあることが報告されている。しかし、これらの研究はランダム化比較試験ではなく、因果関係を証明するには不十分だった。

第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025

 日本臨床腫瘍学会は2025年2月13日にプレスセミナーを開催し、3月6日~8日に神戸で開催される第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)の注目演題などを紹介した。今回の学会長は徳島大学の⾼⼭ 哲治氏が務め、「Precision Oncology Toward Practical Value for Patients」というテーマが設定された。  2019年にがん遺伝⼦パネル検査が保険収載となり今年で5年を迎える。検査数は毎年順調に増加しているものの、「検査を受けられるのは標準治療終了後、または終了見込み時に限られる」「保険適応となる薬剤が限られ、かつ承認外薬を使うのは煩雑」などの要因から、検査後に推奨された治療に到達する患者は10%程度に限られる現状がある。日本臨床腫瘍学会をはじめとしたがん関連学会は長くこの状況を問題とし、改善を図る活動を行ってきた。今回のテーマにもそうしたメッセージが込められている。