腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:41

外来通院治療中の肺がんにおける悪液質合併、初診時で5割超、治療開始が遅れるとさらに増加/日本肺癌学会2023

 外来通院中の肺がん患者の5割超が初診時に悪液質を合併しており、その割合は治療開始までの期間が長いほど増加するとの研究結果が示された。関西医科大学の勝島詩恵氏が第64回日本肺癌学会学術集会で発表した、外来通院肺がん患者における悪液質の後ろ向き観察研究のデータである。  がん悪液質は進行がんの多くに合併し、化学療法の効果を下げ、有害事象の発現を増加させる。また、進行すると不可逆的かつ治療抵抗性になるため、早期からの介入が推奨される。しかし、臨床現場における悪液質の病状判断は難しく、必ずしも早期介入が実現しているとは言えない。

心不全患者における前立腺肥大症・前立腺がんが増加~日本のリアルワールドデータ

 前立腺肥大症および前立腺がんは心血管疾患リスクを上昇させる可能性がある。しかし、心血管疾患患者における前立腺肥大症や前立腺がんの有病率はわかっていない。今回、佐賀大学の兼田 浩平氏らが全国規模のリアルワールドデータで調査したところ、心血管疾患、とくに心不全による入院患者において、前立腺肥大症・前立腺がんの有病率が増加していることがわかった。Frontiers in Cardiovascular Medicine誌2023年10月19日号に掲載。

既治療の小細胞肺がんへのtarlatamab、奏効率40%/NEJM

 既治療の小細胞肺がん(SCLC)患者の治療において、tarlatamabは持続的な奏効を伴う抗腫瘍活性を発揮し、生存アウトカムも良好であり、新たな安全性シグナルは確認されなかったことが、韓国・成均館大学校のMyung-Ju Ahn氏らが実施した「DeLLphi-301試験」で示された。tarlatamabは、がん細胞上のδ様リガンド3(DLL3)とT細胞上のCD3を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)分子で、DLL3とCD3の両方に結合することでT細胞をがん細胞へと誘導し、がん細胞の溶解をもたらす標的免疫療法である。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年10月20日号で報告された。

NSCLCへのニボルマブ+イピリムマブ±化学療法、実臨床の安全性・有効性は?(LIGHT-NING)/日本肺癌学会2023

 進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、2020年11月にニボルマブ+イピリムマブ±化学療法が保険適用となり、実臨床でも使用されている。また、国際共同第III相試験CheckMate 9LA試験、CheckMate 227試験の有効性の成績は、非常に少数例ではあるものの日本人集団が全体集団よりも良好な傾向にあった一方、Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)の発現割合は、日本人集団が全体集団よりも高い傾向にあったことが報告されている。そこで、ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法(CheckMate 9LAレジメン)、ニボルマブ+イピリムマブ(CheckMate 227レジメン)を使用した患者のリアルワールドデータを収集するLIGHT-NING試験が実施された。本試験の第3回中間解析の結果について、山口 哲平氏(愛知県がんセンター呼吸器内科部)が第64回日本肺癌学会学術集会で発表した。

NSCLCの術前術後デュルバルマブ、pCRとEFS改善(AEGEAN)/NEJM

 未治療の切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、術前化学療法+周術期(術前術後)のデュルバルマブは、術前化学療法単独と比較し、無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善し、安全性プロファイルは各薬剤の既知のプロファイルと一致していたことが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJohn V. Heymach氏らが、28ヵ国で実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「AEGEAN試験」の結果を報告した。術前または術後の補助療法としての免疫療法は、切除可能NSCLC患者のアウトカムを改善する可能性が示されており、周術期レジメンは両方の利点が組み合わさり長期アウトカムを改善することが期待されていた。NEJM誌2023年10月23日号掲載の報告。

CheckMate試験の日本語版プレーン・ランゲージ・サマリーが公開/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、抗PD-1抗体「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)点滴静注」の3つの臨床試験結果に関するPlain Language Summary of Publication(PLS)の日本語版がFuture Oncology誌に掲載されたことを発表した。  PLSとは、臨床試験結果や医学論文などの情報を、専門家以外の人でも理解しやすいように平易な言葉で要約した文書で、PLSを受け入れる国際ジャーナルの増加に伴い、近年、世界的にその出版数が増加している。

がん検診で見つかった異常、フォローアップ率向上の鍵を握るのはプライマリケア医

 乳がん、子宮頸がん、大腸がん、および肺がんの検診で異常が見つかり、経過観察(フォローアップ)が必要になった患者に対してプライマリケア医が介入することで、患者が必要なフォローアップを推奨通りのタイミングで受ける可能性の高まることが、新たな臨床試験で示された。米マサチューセッツ総合病院(MGH)一般内科のSteven Atlas氏らが、米国立がん研究所(NCI)と米国がん協会(ACS)の支援を受けて実施したこの研究の詳細は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月10日号に発表された。

セルペルカチニブによるRET陽性NSCLC1次治療、PFSを有意に延長/NEJM

 進行RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に対し、セルペルカチニブはプラチナベースの化学療法(ペムブロリズマブの併用を問わず)と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、中国・同済大学のCaicun Zhou氏らが行った第III相無作為化試験で示された。セルペルカチニブは中枢移行性を有する強力な選択的RET阻害薬で、進行RET融合遺伝子陽性NSCLC患者に対する有効性が、第I・II相の非無作為化試験で示されていた。NEJM誌オンライン版2023年10月21日号掲載の報告。

RET変異甲状腺髄様がん、セルペルカチニブvs.マルチキナーゼ阻害薬/NEJM

 RET変異甲状腺髄様がん治療において、セルペルカチニブはカボザンチニブまたはバンデタニブに比べて、無増悪生存期間(PFS)および治療成功生存期間(FFS)の延長をもたらすことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJulien Hadoux氏らが行った第III相無作為化試験の結果で示された。セルペルカチニブは、選択性が高く強力なRET阻害薬で、第I・II相試験で進行RET変異甲状腺髄様がんに対する有効性が示されていたが、マルチキナーゼ阻害薬と比較した場合の有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年10月21日号掲載の報告。

オンコマインDx、カプマチニブのMETエクソン14スキッピング非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断として追加申請/サーモフィッシャー

 サーモフィッシャーは、オンコマインTM Dx Target Test マルチ CDxシステム(以下、オンコマインDx)について、カプマチニブ塩酸塩水和物(以下、カプマチニブ)のMETエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断として、2023年11月1日付で厚生労働省に医療機器製造販売承認事項一部変更申請を行ったと発表。  カプマチニブに対するコンパニオン診断システムとしての適応追加の承認が得られれば、オンコマインDxは、非小細胞肺がんの7ドライバー遺伝子(BRAF、EGFR、HER2、ALK、ROS1、RET、MET)、甲状腺がんの1ドライバー遺伝子(RET)、甲状腺髄様がんの1ドライバー遺伝子(RET)を網羅するコンパニオン診断システムとなる。