耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

頭頸部扁平上皮がん1次治療にペムブロリズマブが新たなスタンダードに(KEYNOTE-048)/ASCO2019

 転移のある頭頸部がんでは従来から治療薬の選択肢が少ないことで知られ、免疫チェックポイント阻害薬の登場により全生存期間(OS)の延長効果が認められるようになったことが注目されている。  これまで頭頸部がん1次治療としてのペムブロリズマブ+化学療法はセツキシマブ+化学療法に比べて、PD-L1発現陽性およびすべての集団でOSを改善することがオープンラベル無作為化比較第III相臨床試験「KEYNOTE-048」の最終解析からわかった。同試験についてオーストラリアのPeter MacCallum Cancer Centreの Danny Rischin氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。

光免疫療法、局所再発頭頸部がんで良好な成績/ASCO2019

 複数の前治療歴を有する局所再発頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者を対象に、RM-1929による光免疫療法の安全性と有効性を評価した第IIa相試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表された。RM-1929は、抗EGFR抗体セツキシマブと光により活性化される色素(IRDye(R)700DX)の複合体。体内に注入されるとがん細胞と結合し、非熱性赤色光を照射することで局所的に活性化され、周辺細胞の損傷を最小限に抑えながら、がん細胞を選択的・迅速に壊死させる。

重症OSAは非心臓手術後30日の心血管リスクと関連/JAMA

 非心臓大手術を受ける成人において、未診断の重症閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、術後30日の心血管合併症リスクの有意な増大と関連することが示された。中国・香港中文大学のMatthew T.V. Chan氏らが、1,218例を対象に行った前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2019年5月14日号で発表した。一般集団の検討で、未診断のOSAは心血管リスクを増大することが示されていたが、OSAが周術期において同程度のリスクとなるかは不明であった。今回の結果について著者は、「さらなる研究を行い、介入によって同リスクが軽減可能かを評価する必要がある」とまとめている。

PCV10ワクチン導入、ケニアでIPDが激減/Lancet

 ケニアにおいて、キャッチアップキャンペーンを伴う10価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV10)接種の導入により、小児/成人におけるPCV10型の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)が有意な血清型置換を伴わず大幅に減少したという。米国・ジョンズホプキンス大学公衆衛生学大学院のLaura L. Hammitt氏らが、ケニア海岸農村部キリフィ県の「健康と人口動態追跡調査システム」に登録されている住民を対象とした、ケニア中央医学研究所とイギリス・ウェルカムトラスト財団の共同研究プログラムによるサーベイランス研究の結果で、著者は「幼児のPCV10型定期予防接種プログラムが熱帯アフリカの低所得地域において直接的および間接的に大きな予防効果を上げる可能性が示唆された」と述べている。

プライマリケアでの抗菌薬処方、推奨期間を超過/BMJ

 英国では、プライマリケアで治療されるほとんどの一般感染症に対し、抗菌薬の多くがガイドラインで推奨された期間を超えて処方されていたことが、英国公衆衛生庁(PHE)のKoen B. Pouwels氏らによる横断研究の結果、明らかとなった。プライマリケアにおける抗菌薬の使用削減戦略は、主に治療開始の決定に焦点が当てられており、抗菌薬の過剰な使用に、どの程度治療期間が寄与しているかは不明であった。著者は、「抗菌薬曝露の大幅な削減は、処方期間をガイドラインどおりにすることで達成できる」とまとめている。BMJ誌2019年2月27日号掲載の報告。

幼児期のペットはアレルギーにどう影響

 ここ数年、わが国では猫ブームが続いている。2月22日は「猫の日」として認知され、全国で猫に関するイベント、グッズの販売などが行われている。こうしたペットは、私たちの健康にどのような効果をもたらしてくれるのだろうか。  スウェーデン・イエーテボリ大学のBill Hesselmar氏らは、幼児期からのペット飼育がその後のアレルギーリスクを軽減するか、また、ペット数とどう関係するか検討を行った。PLOS ONE誌2018年12月19日号の報告。

川柳で広める抗菌薬の適正使用

 世界規模で抗菌薬が効かないAMR(薬剤耐性)をもつ細菌が増え、問題となっていることに鑑み、WHO(世界保健機関)は、2015年5月に「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」を採択。WHO加盟国は2年以内に自国のアクション・プランを策定するよう要請された。わが国でも厚生労働省が中心となり、アクション・プランを策定し、不要な抗菌薬の使用削減に向け、さまざまな活動が行われている。  その一環として2018年11月、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは、AMRに関して理解を深め、考えてもらう機会として、「第2回薬剤耐性(AMR)あるある川柳」の公募を行った。全国から計1,816句の川柳の応募があり、今回厳正な審査を経て、金賞、銀賞、佳作の入選作品が決まり、公表された。

冷え性の女性は約5倍「あの症状」

 冷え性の女性は、腰痛に4.91倍、難聴に4.84倍なりやすいことが、福島県立医科大学の坪井 聡氏らによる研究で明らかになった。冷え性の女性はさまざまな症状を抱え、健康リスクを伴う行動をとっていることがある。対症療法では改善が不十分な場合があり、総合的なケアが必要であるという。International journal of women's health誌2019年1月11日号の報告。  西洋医学においては、東アジアの伝統医学と異なり、冷え性に対する医療サービスの必要性は、まだ認識されていない。

薬剤耐性菌の拡大を防ぐ「かぜ診療」最前線

 薬剤耐性(AMR)の問題は、これに起因する死亡者数が2050年には1,000万人に上ると推定されている喫緊の課題だ。2018年12月8日、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは抗菌薬の適正使用を目指し「かぜ診療ブラッシュアップコース」を都内で開催した。  「適切なかぜ診療を行う際に知っておきたいこと」と題し、藤友結実子氏(国立国際医療センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)が、一般市民の抗菌薬に関する意識調査の結果を紹介した。抗菌薬・抗生物質という言葉を聞いたことがある割合は94.2%だが、効果に関しては、71.9%が「細菌が増えるのを抑える」と正しく認識している一方、40.9%「熱を下げる」、39.9%が「痛みを抑える」とも回答している。

若年者に増加しているヒトパピローマウイルス陽性中咽頭がんに対する標準的放射線化学治療(解説:上村直実氏)-976

中咽頭がんは頭頸部がんの1つで、日本では年間の罹患者数が数千人であるのに対して、米国では毎年5万人が罹患し1万人が死亡する疾患である。生命予後とともに嚥下や発生などの機能の温存が重要で、手術療法とともに放射線化学療法が用いられる機会が多いのが特徴的である。近年、中咽頭がんの原因の1つとしてヒトパピローマウイルス(HPV)が同定された後、HPV関連(p16陽性)がんと非関連(p16陰性)がんに大別され、前者は後者に比べて若年者に多く、予後が良いのが特徴であり、罹患者が急増していることで注目されている。