小児の咳症状は、外来受診の理由となることが多い。蜂蜜は、小児の咳症状を和らげるために、家庭で一般的に用いられている。University of Calabar Teaching HospitalのOlabisi Oduwole氏らは、小児の急性咳嗽に対する蜂蜜の有効性を評価するためにシステマティックレビューを実施し、2018年4月10日、Cochrane Database of Systematic Reviewsに公開した。本レビューは、2010、2012、2014年に続く更新。本レビューの結果、蜂蜜は、無治療、ジフェンヒドラミン、プラセボと比較して、咳症状を多くの面で軽減するが、デキストロメトルファンとはほとんど差がない可能性が示唆された。また、咳の持続時間についてはサルブタモール、プラセボより短縮する可能性はあるが、蜂蜜使用の優劣を証明する強固なエビデンスは認められなかったと結論している。
著者らは、MEDLINE、Embase、CENTRAL(Cochrane Acute Respiratory Infections Group's Specialised Registerを含む)などをソースとして、2014~18年2月のデータを検索した。また、2018年2月にはClinicalTrials.govとWHOのInternational Clinical Trial Registry Platformも同様に検索した。対象とした試験は、急性の咳症状で外来受診した12ヵ月~18歳の小児に対する治療(蜂蜜単独、蜂蜜と抗菌薬の併用、無治療、プラセボ、蜂蜜ベースの咳止めシロップ、その他の咳止め薬)における無作為化比較試験で、899例の小児を含む6試験。今回の更新で、3試験331例の小児が追加された。これらの試験では、蜂蜜をデキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、サルブタモール、ブロメライン(パイナップル科の酵素)、無治療、プラセボと比較していた。
主な結果は以下のとおり。
・蜂蜜は、無治療、プラセボより咳の頻度を減らす可能性がある。無治療との平均差(MD)は-1.05(95%CI:-1.48~-0.62、I2=0%、2試験・154例、エビデンスの確実性は中)、プラセボとのMDは-1.62(95%CI:-3.02~-0.22、I2=0%、2試験・402例、エビデンスの確実性は中)であった。
・蜂蜜は、デキストロメトルファンと同じ程度、咳の頻度を減らす可能性がある(MD:-0.07、95%CI:-1.07~0.94、I2=87%、2試験・149例、エビデンスの確実性は低)。
・蜂蜜は、ジフェンヒドラミンより咳の頻度を減らす可能性がある(MD:-0.57、95%CI:-0.90~-0.24、1試験・80例、エビデンスの確実性は低)。
・咳症状の緩和を目的とした蜂蜜の投与は、3日以内は効果的である可能性があるが、3日を超える投与は、咳の重症度、わずらわしい咳、親子の睡眠への咳の影響を減少させることにおいて、プラセボやサルブタモールを上回る優位性がない(エビデンスの確実性は中)。
・咳尺度を用いた5試験では、蜂蜜と、蜂蜜を混ぜたブロメラインを比較して、咳の頻度と重症度を下げる効果にほとんど差がなかった。
・有害事象については、蜂蜜群と対照群に差はなかった。
(ケアネット 堀間 莉穂)