小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:76

糖尿病治療ガイド2020-2021が完成/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:門脇 孝)は、『糖尿病治療ガイド2020-2021』を発行した。本書は、糖尿病診療の基本的な考え方から最新情報までをわかりやすくまとめたガイドで専門医はもとより、非専門の医師、他の医療スタッフなどにも広く活用されている。  今回の改訂では、11章に「病態やライフステージに基づいた治療の実例」を新設し、全面的に内容をアップデートした。  改訂された主な項目は次のとおり。 ・4章「食事療法」の記載内容を、『糖尿病診療ガイドライン2019』に合わせ大幅に改訂。 ・初版以来、基本変更がされていなかった「糖尿病治療の目標」と「インスリン非依存状態の治療」の図を大幅に改訂。 ・6章「薬物療法」と付録「血糖降下薬一覧表」を2020年4月現在の薬剤情報にアップデート。 ・具体的な治療薬の選択基準を示すべく、11章「病態やライフステージに基づいた治療の実例」を新設。  本書の序文では、「日々進歩している糖尿病治療の理解に役立ち、毎日の診療に一層活用されることを願ってやまない」と診療での活用に期待を寄せている。

ADHDとうつ病との関連

 注意欠如多動症(ADHD)は、将来のうつ病との関連が示唆されており、両疾患の間には遺伝的関連があるといわれている。英国・カーディフ大学のLucy Riglin氏らは、ADHDやADHDの遺伝的罹病性がうつ病と関連するかについて、2つの異なる方法を用いて調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2020年4月6日号の報告。  まず、Avon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)研究より8,310例を用いて、小児ADHD(7歳)と若年成人の再発性うつ病(18~25歳)との関連を評価した。次に、2サンプルのメンデルランダム化(MR)分析により、ADHDの遺伝的罹病性とうつ病との関連を、公開されているゲノムワイド関連解析(GWAS)データを用いて調査した。

日本における小児期の自殺念慮と老年期のうつ病との関連

 小児期の有害な体験(adverse childhood experiences:ACE)は、メンタルヘルスの悪化を介して、老年期のうつ病リスクを上昇させると考えられるが、小児期の精神的苦痛と老年期のうつ病との関連は、直接検討されていなかった。東京医科歯科大学の森田 彩子氏らは、涌谷町に住む高齢者1,140人を対象とした横断調査データを用いて、小児期の自殺念慮と老年期のうつ病との関連を検討した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年3月27日号の報告。

医師500人の本音、新型コロナのリスク対価はいくらが妥当?

 先日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の重症化や、ほかの患者及び医療従事者への感染拡大を防ぐための管理評価を診療報酬に盛り込み、医療者の処遇改善に切り込んだ。しかし、直接的な処遇改善ではないため、現時点で医療者の士気向上や離職食い止め策には至っていない。  そんな中、大阪府や埼玉県などでは新型コロナ業務に従事した医療従事者には1日あたり4,000円の手当支給を検討している。また、勤務医の労働組合である全国医師ユニオンは、2020年4月16日、医師及び医療従事者の命と健康を守る支援を徹底すること求め、厚生労働省に対しCOVID-19への対応に関する要望書を提出。これにはCOVID-19患者に対応する医師への危険手当の支払いに関する内容が盛り込まれている。

始まった感染症予防連携プロジェクト/日本感染症学会・日本環境感染学会

 新型コロナウイルス感染症の流行により、麻疹や風疹の被害が置き去りにされている中で、日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏)と日本環境感染学会(理事長:吉田 正樹氏)は、国際的な同一目的で集合した多人数の集団(マスギャザリング)に向けて注意すべき感染症について理解を広げるWEBサイト「FUSEGU ふせぐ2020」をオープンした。  これは感染症対策に取り組む医学会、企業・団体が連携し、マスギャザリングでリスクが高まる感染症の理解向上と、必要な予防手段の普及を目標に感染症予防連携プロジェクトとして推進しているものである。

HPVワクチン+検診で子宮頸がん撲滅可能−日本はまず積極的勧奨中止以前の接種率回復を(解説:前田裕斗氏)-1222

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じることがわかっている、いわば「感染症」の1つである。2018年のデータによれば全世界で約57万件の新規発生と約31万人の死亡が報告されており、女性において4番目に頻度の多いがんである。この子宮頸がんを予防するうえで最も効果的なのがHPVワクチンだ。当初はがんを起こしやすいHPV16、18を対象とした2価ワクチンのみであったが、現在では9価のワクチンが開発され、海外では主に使用されている。ワクチンの効果は高く、接種率の高い国ではワクチンの対応する型のHPVを73~85%、がんに進展しうる子宮頸部の異形成(中等度以上)を41~57%減少させたと報告されている。

COVID-19の臨時診療報酬は、外来300点/入院1,200点

 4月8日、厚生労働省からの事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者(疑い例を含む)の外来診療および入院管理について、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を踏まえた診療報酬上の特例的な対応(案)が示された。  COVID-19患者の外来診療を行う保険医療機関において、「B001-2-5 院内トリアージ実施料(300点/回)」が算定できる。算定に当たっては、受診の時間帯によらず、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い、院内感染防止等に留意した対応を行った場合に算定可。

米国青少年の食事の質、半数以上で低いまま/JAMA

 米国の青少年の食事の質は、1999年から2016年にかけてわずかに改善されたものの、半数以上では依然として低劣であることが、米国・タフツ大学のJunxiu Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2020年3月24日号に掲載された。これまでに行われた米国の青少年の食事傾向に関する研究は、重要な主要栄養素やごく一部の食品に限られており、使用されたデータも古いという。  研究グループは、米国の青少年における食事の質の傾向に関して、その特性を明らかにする目的で連続横断研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。

メトホルミンの適正使用で若年者も注意/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:門脇 孝)は、2020年3月18日に「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(旧:ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation)」をアップデートし、同学会のホームぺージで公開した。  糖尿病の薬物治療で多用されるメトホルミンは、わが国でも乳酸アシドーシスが報告されている。その多くが各剤の添付文書の禁忌や慎重投与事項に違反した例がほとんどであるが投与量や投与期間に一定の傾向が認められず、低用量の症例や、投与開始直後あるいは数年後に発現した症例も報告されていた。そのため学会では、薬剤の効果や副作用の危険性を勘案した上で適切な患者を選択し、患者に対して服薬や生活習慣などの指導を十分に行うことが重要と考え2012年2月1日に「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」からRecommendationを行った。以後数回にわたり、メトホルミンの適正使用に関するRecommendationは更新されている。

B群髄膜炎菌ワクチンの用途と限界(解説:吉田敦氏)-1206

髄膜炎菌感染症は、保菌者の咽頭から感染し、進行の速い重篤な菌血症・髄膜炎・臓器不全を来す疾患であり、公衆衛生上も重大な脅威である。12種類の血清群が知られているが、血清群A、B、C、W、Yが原因となることが多く、本邦における統計ではY、B、C、Wの順であった。ただし血清群の内訳は地域によって異なることが特徴で、海外で導入されていたACWYの4価ワクチンが本邦で使用可能になったのは2015年である。しかしながらB群の莢膜多糖体はヒトのneural cell adhesion moleculeなどと類似しているため免疫原性が低く、自己免疫の発症も懸念され、結合型ワクチンでなくリコンビナントワクチンが開発された。