小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:77

IVIG不応川崎病、シクロスポリン併用が有益/Lancet

 免疫グロブリン療法(IVIG)不応例である川崎病患者に対し、シクロスポリンの併用は、安全かつ有効であることが確認された。東京女子医科大学 八千代医療センターの濱田 洋通氏らが、日本全国22ヵ所の病院を通じて行った、第III相非盲検無作為化エンドポイントブラインド試験「KAICA trial」の結果で、Lancet誌オンライン版2019年3月7日号で発表した。遺伝学的研究で、川崎病に関与する遺伝子変異が特定され、それらがIVIG不応例患者のリスクである冠動脈異常に関与するのではないかと考えられていた。研究グループはこの所見を踏まえて、川崎病の病態生理の基礎をなすカルシウム-活性化T細胞核内因子(NFAT)経路の上方制御が、有望な治療になりうると仮定し、シクロスポリン併用の有効性と安全性を評価する試験を実施した。

アトピー性皮膚炎、睡眠の質に影響

 睡眠の時間と質は全年代の健康に関するトピックの1つである。しかし、アトピー性皮膚炎(AD)の特徴であるそう痒は、睡眠を妨害すると考えられているものの詳細は知られていない。米国・カリフォルニア大学のFaustine D. Ramirez氏らは、英国の出生コホートを用いた縦断研究において、ADと睡眠の質の低下が小児期から関連していることを明らかにした。この結果を踏まえて著者は、「医師はすべての小児AD、とくに喘息またはアレルギー性鼻炎を併存している症例や重症例については、睡眠の質を考慮すべきであり、それを改善するための介入が必要である」とまとめている。JAMA Pediatrics誌オンライン版2019年3月4日号掲載の報告。

小児ピーナッツアレルギー、経皮免疫療法は有効か/JAMA

 4~11歳のピーナッツアレルギーの患児に対するピーナッツパッチを用いた経皮免疫療法は、プラセボ投与と比べて、12ヵ月時点の評価でピーナッツへの耐性が強化された患児の割合が21.7ポイント高かった。米国・コロラド大学デンバー校のDavid M. Fleischer氏らが356例の患児を対象に行った、第III相プラセボ対照無作為化比較試験の結果で、JAMA誌オンライン版2019年2月22日号で発表された。ピーナッツアレルギーについては承認された治療法がまだない。今回示された結果について研究グループは、「事前に規定した“肯定的な試験結果”としての信頼区間(CI)下限値を満たさなかった。しかし、そもそも達成すべき下限値の臨床的な妥当性については議論の余地がある」と述べている。

ADHD患者の就労に関するレビュー

 これまでの研究では、多くの注意欠如多動症(ADHD)児が、成人期までの間に数々の障害を抱え続けていることが示唆されている。米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のChanelle T. Gordon氏らは、小児ADHD患者が抱える将来の職業的障害、それに伴う教育上・経済上の問題に関するシステマティックレビューを行った。Clinical Child and Family Psychology Review誌オンライン版2019年2月6日号の報告。

インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解

 2019年2月27日、日本医師会の釜萢 敏氏(常任理事)が、今季における季節性インフルエンザについて、診断方法や治療薬の選択、“隠れインフルエンザ”への対応など、世間の話題も踏まえた見解を記者会見で発表した。  昨季に続き、今季もインフルエンザは大規模な流行となったが、患者数は2019年第4週(1月21~27日)をピークに収束をみせている。ピーク時の患者数は昨年を上回ったものの、累積の推計受診者数は、昨季の推計全罹患者数を下回る見とおしだ。

会員医師が感じる医師不足・偏在の問題

 2月15日に厚生労働省において「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第28回)」が開催され、将来の医師数不足、診療科による医師数偏在に関する資料が公開された。CareNet.comでは、この発表をうけ、「現在・将来の医師不足、偏在について」をテーマに緊急アンケートを会員医師に行った。今回、その結果がまとまったのでお伝えする。  調査は、2019年2月20日にCareNet.comの医師会員を対象に、インターネット上で実施。回答者総数は340名。

日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスク

 椙山女学園大学の西田 友子氏らは、高校生の男女ごとのスマートフォン使用とうつ病との関連性について評価を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2019年1月26日号の報告。  日本の15~19歳の高校生295人を対象に、自己管理質問票を用いて、横断的研究を実施した。うつ病は、CES-Dうつ病自己評価尺度を用いて評価した。  主な結果は以下のとおり。 ・女性は、男性と比較し、1日のスマートフォン使用時間が長かった。

幼児期のペットはアレルギーにどう影響

 ここ数年、わが国では猫ブームが続いている。2月22日は「猫の日」として認知され、全国で猫に関するイベント、グッズの販売などが行われている。こうしたペットは、私たちの健康にどのような効果をもたらしてくれるのだろうか。  スウェーデン・イエーテボリ大学のBill Hesselmar氏らは、幼児期からのペット飼育がその後のアレルギーリスクを軽減するか、また、ペット数とどう関係するか検討を行った。PLOS ONE誌2018年12月19日号の報告。

16県が医師少数、改正医療法で是正となるか?

 全国からの「医師不足」の声に対し、医師確保計画を通じた医師偏在の解消は喫緊の課題である。医師偏在の度合いを示す新たな指標として「医師偏在指標」の導入が決まっている。2019年4月に施行される改正医療法では、都道府県が二次医療圏単位で医師偏在指標に応じ、医師少数区域・医師多数区域を設定する。医師多数/少数区域の基準値として、医師偏在指標の上位/下位33.3%が定められる方針だ(三次医療圏においても同様の基準を使用)。また、医師少数区域以外で医師の確保をとくに図るべき区域(離島、へき地など)を、別枠の「医師少数地区」として省令で定めるという。医師確保計画の終了時点である2036年までに、最も医師偏在指標が小さい医療圏においても医療需要を満たすことが目標とされる。

内科医不足、2030年には推計1万6,226人になる恐れ

 厚生労働省は2019年2月、診療科ごとに将来必要な医師数の見通しと、都道府県ごとに将来時点で推測される不足医師数の推計を公表した。  資料によると、2016年時点での不足医師数は内科で9,275人、外科で5,656人、産婦人科で2,179人、小児科で2,033人、脳神経外科で1,309人、整形外科で1,153人であり、6つの科で1,000人以上不足している状況だった。このまま医師の数が変わらない場合、5年後の2024年に不足する内科医は1万4,468人、外科医は5,831人、2030年に不足する内科医は1万6,226人、外科医は5,520人となる恐れがあるという。