呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:311

喫煙歴+呼吸器症状は呼吸機能悪化のリスク/NEJM

 呼吸機能保持が認められる現在・元喫煙者で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)診断基準を満たさなくとも呼吸器症状がある人は、ない人に比べ、呼吸機能が悪化する割合が高く、活動制限や気道疾患の所見がみられるという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPrescott G. Woodruff氏らが行った、2,736例を対象とした観察試験の結果、示された。COPDの診断は、気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーによる検査で1秒量(FEV1)/努力肺活量(FVC)が0.70未満の場合とされている。しかし、この定義を満たさなくとも多くの喫煙者で呼吸器症状が認められており、研究グループはその臨床的意味について検討を行った。NEJM誌2016年5月12日号掲載の報告より。

1日1回のICS/LABA、心血管リスクのあるCOPDでの安全性は/Lancet

 心血管リスクを有する中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤のフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)(商品名:レルベア)1日1回吸入は、プラセボと比較し統計学的な有意差はなかったものの死亡や心血管系イベントの発現リスクを低下させ、忍容性は良好であった。英国・南マンチェスター大学病院のJorgen Vestbo氏らが、43ヵ国1,368施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験(Study to Understand Mortality and Morbidity:SUMMIT)の結果、報告した。COPD患者は心血管疾患(CVD)を併発することが多いが、こうした患者に対する治療方針の決定に関して、これまで十分なエビデンスがなかった。Lancet誌2016年4月30日号掲載の報告。

ダニ舌下免疫療法、アレルギー性喘息に有用/JAMA

 吸入ステロイド(ICS)でコントロール不良のハウスダストダニ(house dust mite: HDM)アレルギー性喘息に対し、HDMアレルゲン舌下免疫療法(SLIT)が有効かつ安全であることが確認された。HDM舌下錠は、ICS減量期の中等度~重度の喘息増悪を9~10%減少させる。ドイツ・ロストック大学のJ. Christian Virchow氏らが、HDM舌下錠の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果を報告した。HDM舌下錠はHDMアレルギー性鼻炎に対する治療薬として発売されているが、HDMアレルギー性喘息患者において喘息増悪リスクを減少させるかどうかはわかっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「HDM舌下錠はHDMアレルギー性喘息の新たな治療オプションとなりうる」とまとめている。JAMA誌オンライン版2016年4月26日号掲載の報告。

喘息に対するdupilumab、第IIb相試験でも有効性確認/Lancet

 dupilumabは、コントロール不良の持続型喘息患者において、吸入ステロイド(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)への併用投与により、血中好酸球数にかかわらず肺機能を改善し、重度の喘息増悪の発現を減少することが認められた。安全性プロファイルは良好で、QOLの改善も示唆された。米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らが、dupilumabの4用量を検討した第IIb相試験の結果、報告した。dupilumabは、インターロイキン(IL)-4受容体αサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT細胞による免疫反応の鍵となるIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害する。第I相ならびに第IIa相試験において、喘息患者におけるdupilumabの有効性と安全性が示されたが、対象が好酸球数高値の患者に限られ、検討された用法も週1回投与のみであった。Lancet誌オンライン版2016年4月26日号掲載の報告。

バレニクリン、精神神経系リスク増大せず/Lancet

 禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)およびbupropionは、プラセボやニコチンパッチと比べ、精神神経系有害事象リスクの有意な増大は認められないことが示された。被験者に精神疾患の既往があっても同リスクは増大せず、また、バレニクリンはプラセボ、ニコチンパッチ、bupropionのいずれと比べても、禁煙達成率が高かった。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRobert M. Anthenelli氏らが、禁煙希望の喫煙者8,144例を対象に行った大規模臨床試験「EAGLES」(Evaluating Adverse Events in a Global Smoking Cessation Study)の結果、明らかにした。バレニクリンやbupropionの禁煙補助薬の精神神経系への安全性に関する懸念は払拭されていない。これまでに行われたニコチンパッチとの比較検討は間接的な試験であり、安全性、有効性に関する情報は精神疾患を有する患者に限られていた。Lancet誌オンライン版2016年4月22日号掲載の報告。