Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は2016 年12 月7 日、PD-L1 高発現(PDL1発現陽性細胞の割合が50%以上:TPS≧50%)の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に抗PD-1 抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と、現在の標準療法であるプラチナ製剤による化学療法を比較した第III相試験KEYNOTE-024の探索的解析で示された健康関連QOL(health-related quality of life: HR QOL)のデータを発表。
本データは、ウィーンで開催された第17回世界肺癌会議(WCLC)のプレナリーセッションで 、Johns Hopkins Kimmel Cancer Center のJulie Brahmer 氏により発表された。(アブストラクト#PL04a.01)
KEYNOTE-024試験は、転移性非小細胞肺がん患者の1次治療としての、ペムブロリズマブの単独療法と標準治療のプラチナ併用化学療法を比較する無作為化第 III相検証試験。進行性病変に対する全身化学療法歴がなく、EGFR遺伝子変異またはALK転座が認められず、PD-L1高発現(TPS≧50%)の患者305例を対象として行われた。主要評価項目は無増悪生存期間で、主な副次評価項目は全生存期間、全奏効率および安全性であった。探索的アウトカムは奏効期間および患者報告アウトカムであった。
WCLCで発表された健康関連QOLデータは、全般的健康状態(身体、感情、知覚、社会機能のほか倦怠感、痛みなど)(QLQ-C30)および悪化時間(咳、胸痛、脱毛、呼吸困難などの症状)(QLQ-LC13)を評価する、欧州がん治療研究機構(EORTC)の2つの主なQOLに関するアンケート調査によるベースライン時から15週時の変化に基づくものであった。
すべての治療群で、患者報告アウトカムのコンプライアンスはベースライン時で90%以上、15週時において約80%であった。このデータでは、化学療法群と比較してペムブロリズマブ群で顕著なQOLおよび症状の改善または維持が認められた(少なくとも1つのアンケートに回答した299例の患者に基づく)。とくに、ベースライン時から15週時の全般的健康状態の変化(最小二乗の差、数値が高いほうで改善が大きい)は、化学療法群で-0.9(95%CI:-4.8~-3.0)であったのに対し、ペムブロリズマブ群では6.9(95%CI:3.3~10.6)であった。特定の機能や症状に基づく解析では、化学療法群よりペムブロリズマブ群でより多くの患者から、全般的健康状態やQOL、倦怠感、痛みの改善が報告された。ペムブロリズマブ群では化学療法群より悪化が認められた患者の割合が低く(それぞれ30.5%、39.2%)、悪化までの時間もペムブロリズマブ群の方が遅い結果となった(ハザード比:0.66、95%CI:0.44~0.97、p=0.029)。
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(ケアネット 細田 雅之)