呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:356

非小細胞肺がんに有望な新規ALK阻害薬/NEJM

 未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子(ALK)再構成を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、新しいALK阻害薬であるセリチニブは有望である可能性が示された。米国・マサチューセッツ総合病院のAlice T. Shaw氏らが、ALK阻害薬クリゾチニブ投与中に増悪した例を含む進行ALK再構成NSCLC患者を対象とした第I相臨床試験の結果、ALK耐性変異の有無にかかわらず高い活性が示された。ALK再構成NSCLCは、クリゾチニブに感受性を示すが、大多数の患者において耐性が生じる。セリチニブは、クリゾチニブよりも強い抗腫瘍効果を示すことが前臨床試験で示され、新たなALK阻害薬として期待されている。NEJM誌2014年3月27日号掲載の報告より。

ヒトライノウイルス感染後の細菌感染、繰り返すCOPD増悪の原因に

 ヒトライノウイルス(HRV)感染後は、二次性細菌感染を起こすことがよくあり、これがCOPD増悪の再発の機序と考えられ、新たな治療に向けた潜在的なターゲットとなりうることが、ロンドン大学のSiobhan Nicole George氏らによって報告された。The European Respiratory Journal誌オンライン版2014年3月13日の掲載報告。  HRV感染はCOPD増悪の重要なトリガーであるが、増悪の自然史において、その頻度を決定づけるHRVのフェノタイプや感染後の経過についてはあまり知られていない。HRV(388サンプル)と肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス(89サンプル)の両方に関して、77例の患者からの喀痰サンプルをリアルタイム定量PCRによって分析した。増悪の定義は、日誌で呼吸器症状の悪化が認められた場合とした。

妊婦の禁煙にニコチンパッチは有効か?/BMJ

 ヘビースモーカーの妊婦に対するニコチンパッチを用いた禁煙補助療法は、禁煙率の達成および出生児の体重増のいずれにも寄与しなかったことが報告された。フランス・パリ第6大学(ピエール・エ・マリー・キュリー)のIvan Berlin氏らが402例を対象に行った多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果、判明した。ガイドラインでは、ニコチン置換療法(NTR)の一般集団に対する優れた安全性と有効性を踏まえて、妊婦の喫煙者への禁煙介入にNTRを追加することを提案している。しかし、そのエビデンスとして確定的なものは示されていなかった。BMJ誌オンライン版2014年3月11日号掲載の報告より。

新規の吸入器、操作説明書を読むだけで99.3%が正しく操作

 喘息治療薬の新たな吸入器エリプタは、従来吸入器と比べて、誤操作の発生頻度が有意に低く、被験者の99.3%が操作説明書を読むだけで重大な誤操作を生じることなく操作可能であったことが、日本人を対象とした検討の結果、示された。聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院呼吸器内科の駒瀬 裕子氏らが、ドライパウダー吸入器の使用経験がない149例を対象とした薬剤非介入、無作為化非盲検試験の結果を報告した。エリプタは、同じく新規開発の1日1回吸入タイプのICS/LABA配合剤、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)(商品名:レルベア)のデバイスとして開発された。アレルギー・免疫誌2014年1月号掲載の報告。

非小細胞肺がんの予後は術前化学療法により改善するか(コメンテーター:小林 英夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(187)より-

 全世界で毎年150万人の新規肺癌が診断され、その8割は非小細胞肺癌(NSCLCs)で、切除だけで完治が期待できる症例は20~25%程度である。術前化学療法は腫瘍径や転移巣の縮小効果を期待できる一方で、手術を遅らせ、がんの進行により切除不能になってしまうことも時にありうる。

欧米で普及するハロセラピー COPDに有効か

 ハロセラピーとは、岩塩の洞穴に似せた空洞の中で、塩のエアロゾル(空気中に浮遊する微粒子)を吸入する療法である。最近、この療法がCOPDの症状を改善させる可能性があるという医療報告がある。今回、オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のRachael Rashleigh氏らはCOPD治療におけるハロセラピーのエビデンスを評価、要約することを目的に、レビューを行った。International journal of chronic obstructive pulmonary disease誌オンライン版2014年2月21日号の掲載報告。

気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ

 気道感染症に対する抗菌薬治療では、即時的処方に比べ待機的処方で抗菌薬服用率が顕著に低いが、症状の重症度や持続期間に差はないことが、英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らの検討で示された。同国のプライマリ・ケアでは、気道感染症の治療の際、抗菌薬の不必要な使用を抑制するために非処方または待機的処方という戦略が一般に行われている。一方、文献の系統的レビューでは、待機的処方は即時的処方に比べ症状の管理が不良であり、非処方よりも抗菌薬の服用率が増加する可能性が示唆されている。待機的処方には、服用に関する指示書を付して処方薬を渡したり、再受診時に渡すなどいくつかの方法があるが、これらの戦略を直接に比較した試験は、これまでなかったという。BMJ誌オンライン版2014年3月5日号掲載の報告。

中国で初めて報告された鳥インフルエンザA(H10N8)のヒト感染例―既報のトリ由来H10N8とは異なるタイプと判明―(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(185)より-

 鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染し、重症となるケースがあとを絶たない。A型のH5N1やH7N9がその代表であり、H7N9は2014年1月27日までに既に中国で250例が報告され、うち70例が死亡している。一方H10N8は、これまで北米、欧州、アジア、オーストラリアなど広い範囲で主にカモから分離されていたものの、ヒトへの感染例はなかった。しかしながら2013年11月、中国江西省南昌市で最初の感染例が報告された。さらに患者から分離されたH10N8は既報の鳥由来ウイルスとは異なる、新たな再集合体であることが判明した。