呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

完全切除NSCLCへのデュルバルマブ、第III相試験結果(BR.31)/ESMO2024

 抗PD-L1抗体デュルバルマブは、切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法後の地固め療法、切除可能なStageII~IIIB期NSCLCの周術期治療において有効性が示されている。そこで、完全切除NSCLC患者の術後補助療法におけるデュルバルマブの有効性を検討することを目的として、国際共同第III相無作為化比較試験「BR.31試験」が実施された。本試験の結果、完全切除NSCLCの術後補助療法におけるデュルバルマブの有効性は示されなかった。本結果は、カナダ・オタワ大学のGlenwood Goss氏によって欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表された。

T-DXdによる遅発期・延長期の悪心・嘔吐抑制にオランザピン6日間併用が有効(ERICA)/ESMO2024

 HER2陽性/低発現の転移乳がんへのトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)治療による遅発期および延長期の悪心・嘔吐を、オランザピン6日間投与と5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの併用が抑制する可能性が、日本で実施された多施設無作為化二重盲検プラセボ対照第II相比較試験(ERICA)で示唆された。昭和大学の酒井 瞳氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表し、Annals of Oncology誌オンライン版に同時掲載された。

EGFR陽性NSCLCへのamivantamab+lazertinib、耐性変異の内訳は?(MARIPOSA)/ESMO2024

 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、EGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のlazertinibの併用療法は、オシメルチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善したことが国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA試験」で報告されている。EGFR-TKIに対する耐性変異の主なものは、EGFR遺伝子変異やMET遺伝子増幅であるが、amivantamab+lazertinibの耐性変異に関する詳細は明らかになっていなかった。そこで、MARIPOSA試験におけるamivantamab+lazertinibの耐性変異に関する解析が実施された。フランス・パリ・サクレー大学のBenjamin Besse氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で本結果を発表した。

ALK陽性NSCLCにおける術後アレクチニブ、安全性の評価は?(ALINA)/WCLC2024

 切除可能なALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第III相試験「ALINA試験」では、術後補助療法としてアレクチニブを用いた場合、プラチナベースの化学療法を用いた場合と比較して、無病生存期間(DFS)を有意に改善したことが報告されている。この結果を基に、本邦でもアレクチニブの術後補助療法での使用が承認されているが、ALINA試験におけるアレクチニブの用量は600mg×2/日であり、本邦における進行・再発時の使用および術後補助療法の承認用量とは異なっている。2024年9月7~10日に米国・サンディエゴで開催された世界肺がん学会(WCLC2024)で、堀之内 秀仁氏(国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)がALINA試験の安全性について詳細データを発表した。

日本人の高リスクStage I NSCLCへの術前ニボルマブ(POTENTIAL)/ESMO2024

 Stage Iの非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の有用性に関するエビデンスは乏しい。そこで、再発リスクの高いStage IのNSCLC患者を対象として、ニボルマブ単剤による術前補助療法の有用性を検討する国内第II相試験「POTENTIAL試験」が実施された。津谷 康大氏(近畿大学医学部 外科学教室 呼吸器外科部門 主任教授)が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)において本試験の結果を発表した。 ・試験デザイン:多施設共同国内第II相試験 ・対象:再発リスクの高いStage I(充実型または充実成分径2~4cm)の日本人NSCLC患者52例(EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子はいずれも陰性) ・治療方法:ニボルマブ(240mg、2週ごと3サイクル)→肺葉切除+ND2a-1またはND 2a-2郭清を術前補助療法最終投与日から10週以内に施行

オシメルチニブ耐性NSCLCへのamivantamab+化学療法、第2回OS中間解析(MARIPOSA-2)/ESMO2024

 オシメルチニブ単剤療法で病勢進行が認められたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、amivantamab+化学療法±lazertinibの併用療法は、化学療法単独と比べて無増悪生存期間(PFS)を改善したことが、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA-2試験」で報告されている。また、同時に実施された全生存期間(OS)の第1回中間解析において、amivantamab+化学療法の併用療法はOSも良好な傾向にあった。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)において、英国・Royal Marsden HospitalのSanjay Popat氏がOSの第2回中間解析の結果を発表した。

オンコマインDx、EGFRエクソン20挿入変異肺がんに対するamivantamab+化学療法のコンパニオン診断として承認/サーモフィッシャ

 サーモフィッシャーサイエンティフィックは2024年9月10日、次世代シーケンシングコンパニオン診断システム「オンコマインDx Target Test マルチCDxシステム(オンコマインDx)」に関して、Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)が申請中の「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異を有する手術不能又は再発非小細胞肺癌に対するアミバンタマブと化学療法の併用療法」を対象としたコンパニオン診断システムとして、一部変更承認を取得したことを発表した。

限局型小細胞肺がんへのデュルバルマブ地固め、OS・PFSサブグループ解析(ADRIATIC)/ESMO2024

 限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「ADRIATIC試験」の第1回中間解析において、同時化学放射線療法(cCRT)後のデュルバルマブ地固め療法が全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが報告されている。本試験では、予防的頭蓋照射(PCI)の有無は問わず、cCRT時の放射線照射の回数も1日1回と1日2回が許容されていた。そこで、それらの違いによるOS・PFSへの影響を検討するサブグループ解析(post hoc解析)が実施された。本結果は、オランダ・アムステルダム大学のSuresh Senan氏によって欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表された。

JN.1系統対応の次世代mRNA(レプリコン)コロナワクチン、一変承認取得/Meiji Seika

 Meiji Seikaファルマは9月13日のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症に対するオミクロン株JN.1系統に対応した次世代mRNA(レプリコン)「コスタイベ筋注用」について、製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  同社は、2024年5月29日に開催された「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」にて、2024/25シーズン向けの新型コロナワクチンの抗原構成がJN.1系統に取りまとめられたことを受け、同年5月31日に本剤のJN.1系統に対応したワクチンの日本における一部変更承認申請を行った。

小児の風邪への食塩水点鼻、有症状期間を2日短縮か/ERS2024

 食塩水は風邪症候群の症状の軽減に用いられることがあるが、小児における有効性は明らかになっていない。そこで、上気道感染症を有する小児に対する高張食塩水の点鼻の有用性を検討する無作為化比較試験「ELVIS-Kids試験」が実施された。その結果、高張食塩水を点鼻することで有症状期間の中央値が2日短縮することが示された2024年9月7~11日にオーストリア・ウィーンで開催された欧州呼吸器学会(ERS International Congress 2024)において、英国・エディンバラ大学のSteve Cunningham氏が報告した。