呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:66

コロナ感染拡大しやすいのは夜間営業店~東京都で大規模調査/東北大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下では、ロックダウンなど人流の抑制や行動制限の介入による感染拡大のコントロールが世界的に実施されてきたが、社会経済への影響も大きかった。現在はワクチン接種の普及に伴い行動制限の緩和が進んでいるものの、直近の第8波ではコロナ関連死亡者数が過去最多を更新し、依然として感染拡大のコントロールは困難だ。  社会経済活動を維持しつつ感染拡大リスクが高い場面に焦点を絞った感染防止対策の構築のため、東北大学の今村 剛朗氏らによる東京都、東北大学医科学研究科、国立感染症研究所の合同チームは、東京都に報告されたコロナ感染者4万4,054例を対象として、保健所での積極的疫学調査による情報を用いた後ろ向き解析を行った。

ChatGPTが医師の代わりに?抗菌薬処方の助言を求めると…

 人工知能(AI)言語モデルを用いたチャットサービス『ChatGPT』は、米国の医師免許試験において医学部3年生に匹敵する成績を収めるなど、注目を集めている。そこで、抗菌薬への耐性や微生物の生態、臨床情報を複合的に判断する必要のある感染症への対応について、8つの状況に関する質問をChatGPTへ投げかけ、得られる助言の適切性、一貫性、患者の安全性について評価した。その結果、ChatGPTは質問の状況を理解し、免責事項(感染症専門医へ相談することを推奨)も含めて一貫した回答を提供していたが、状況が複雑な場合や重要な情報が明確に提供されていない場合には、危険なアドバイスをすることもあった。本研究は英国・リバプール大学のAlex Howard氏らによって実施され、Lancet infectious diseases誌オンライン版2023年2月20日号のCORRESPONDENCEに掲載された。  臨床医がChatGPTに助言を求めるという設定で、以下の8つの状況に関する質問を投げかけた。

リファンピシン感受性肺結核、8週レジメンが標準治療に非劣性/NEJM

 結核の治療において、8週間のベダキリン+リネゾリドレジメンによる初期治療を含む治療戦略は標準治療に対して非劣性であり、治療期間の短縮にもつながり、安全性に明らかな懸念はないことを、シンガポール・シンガポール国立大学のNicholas I. Paton氏らがアダプティブ第II/III相無作為化非盲検非劣性試験「Two-Month Regimens Using Novel Combinations to Augment Treatment Effectiveness for Drug-Sensitive Tuberculosis trial:TRUNCATE-TB試験」の結果、報告した。結核は、通常6ヵ月間のリファンピシンベースのレジメンで治療されるが、初期治療期間の短縮を含む治療戦略により同様の治療成績が得られるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2023年2月20日号掲載の報告。

5類移行後も「コロナ特例はすべて継続」求める/日医

 日本医師会会長の松本 吉郎氏は3月1日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更後の発熱外来診療体制の維持・充実に向けて、日本医師会の取り組みや意見を述べた。  「類型の変更後には、新規感染者数が過去の感染拡大を大幅に超える事態も想定される。新規感染者数の把握方法が定点報告に基づくことになり、これまでとの比較も困難になるため、入院や外来の医療逼迫度合いが最も重要な指標になる。日本医師会では、外来の医療提供体制、とりわけ現在の約4万2,000軒の診療所・病院による発熱外来診療体制の維持が重要」と前置きした上で、「これまで季節性インフルエンザの検査・診療を行ってきた医療機関の新規参画、かかりつけ患者のみを受け入れてきた医療機関の幅広い患者の受け入れが重要である」と協力を求めた。

コロナ感染による免疫、変異株ごとの効果は~メタ解析/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)既感染のその後の再感染に対する予防効果は、デルタ株までの変異株に対しては非常に高く40週後も高いままであったが、オミクロンBA.1株については時間と共に急速に低下した。一方、再感染での重症化予防効果は、オミクロンBA.1株までの変異株すべてにおいて、既感染1年後まで比較的高いレベルで維持されていた。米国・保健指標評価研究所(IHME)のCaroline Stein氏らCOVID-19 Forecasting Teamが実施したメタ解析の結果で示された。著者は、「今回の解析から、過去の感染による変異株別ならびに経時的な予防効果は、mRNAワクチン2回接種と同等以上であることが示唆された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年2月16日号掲載の報告。

5~11歳へのファイザーBA.4/5対応2価ワクチン承認/厚生労働省

 厚生労働省は2月28日、5~11歳を対象としたファイザーの新型コロナウイルスmRNAワクチン「販売名:コミナティ筋注5~11歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」について、追加接種(追加免疫)として承認したことを発表した。本剤は、5~11歳の初回免疫に使用することはできない。  本剤の追加免疫の用法および用量は、同社製の5~11歳用1価ワクチンと変わらず、添付文書に以下のように記されている。 6. 用法及び用量 本剤を日局生理食塩液1.3mLにて希釈する。 追加免疫として、1回0.2mLを筋肉内に接種する。

妊婦の感染、オミクロン株でも重篤化や妊娠合併症増加と関連(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は妊娠中に母体および胎児への有害事象を引き起こすことが示されており、妊娠前および妊娠中にはワクチン接種が強く推奨されている。一方、現在主流となっているオミクロン株について、妊娠経過や胎児への影響およびワクチンの有効性についての大規模かつ多施設からの報告はなかった。今回の研究(INTERCOVID-2022試験)は18ヵ国41病院を通じて行われ、世界保健機関(WHO)がオミクロン株に対する懸念を表明した2021年11月27日から、2022年6月30日までに4,618人の妊婦が被験者として登録された。

eGFR30未満でもレムデシビルの安全性に影響なし―国内単施設での後方視的研究

 腎機能が低下している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対するレムデシビルの安全性を検討した研究結果が報告された。eGFR30mL/分未満と以上の患者群を比較した結果、死亡率や有害事象発生率に有意差はなかったという。公立陶生病院薬剤部の梅村拓巳氏らによる研究であり、詳細は「Healthcare」に11月17日掲載された。  レムデシビルはCOVID-19治療薬として世界的に使用されている抗ウイルス薬。ただし、添加剤のスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウム(SBECD)の尿細管への蓄積により、腎機能の低下が促される可能性があるとの理由で、重度の腎機能障害患者への投与は推奨されていない。レムデシビルを用いた臨床試験の対象者も多くの場合、腎機能が低下している患者が除外されているため、腎機能低下症例での安全性に関する情報はいまだ十分でない。しかし実臨床では、腎機能が低下しているCOVID-19患者であっても同薬が必要とされることが少なくない。このような背景のもと梅村氏らは、同院入院患者での後方視的症例対照研究により、同薬の安全性を検討した。

コロナ罹患後症状別、持続しやすい患者/国立国際医療研究センター

 国立国際医療研究センターの森岡 慎一郎氏らの横断研究により、COVID-19回復患者の4分の1 以上で、ほとんどが急性期に軽症にもかかわらず、COVID-19の発症または診断から6、12、18、24ヵ月後に1つ以上の症状を有していることがわかった。本研究では、各症状の持続と関連する因子も検討した。Public Health誌オンライン版2023年2月13日号に掲載。  2020年2月~2021年11月に、COVID-19から回復し国立国際医療研究センターで受診した患者に調査を実施した。人口統計学的データ、臨床データ、COVID-19罹患後症状の存在と期間に関するデータを取得し、多変量線形回帰分析を用いて、症状持続の関連因子を調べた。  主な結果は以下のとおり。

世界初のRSVワクチン誕生へ向けて、下気道疾患の予防効果80%超/NEJM

 多くの人は2歳までにRSウイルス(RSV)に感染する。生涯を通じて再感染することがあり、通常は症状が軽いもしくは無症状とされている。しかし、高齢者や合併症を有する患者では、下気道疾患が引き起こされ、基礎疾患の増悪、入院、死亡につながる可能性がある。先進国の60歳以上の成人においては、2019年にRSV感染が約520万例の急性呼吸器感染症、約47万例の入院、約3万3千例の院内死亡をもたらしたと推定されている。しかし、現在までに承認されているRSVワクチンは存在しない。そこで、宿主細胞との膜融合に関与するfusion(F)タンパク質について、立体構造を安定させた融合前(prefusion)Fタンパク質を含有するワクチンが開発され、60歳以上の成人を対象とした第III相試験において、RSVに関連する下気道疾患および急性呼吸器感染症の予防効果が示された。本研究はAReSVi-006 Study Groupによって実施され、結果はイタリア・フェラーラ大学のAlberto Papi氏らによって、NEJM誌2023年2月16日号で報告された。