外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:123

乳がん患者の心房細動リスク

 乳がん患者においては、がんにより誘発される全身性炎症や治療の副作用により心房細動を罹患する恐れがある。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMaria D'Souza氏らが、乳がん患者の心房細動罹患率を検討した結果、診断後6ヵ月以上の長期罹患率が増加し、6ヵ月未満の短期罹患率は60歳未満の患者で増加したことを報告した。Heart Rhythm誌オンライン版2019年1月24日号に掲載。  本研究では、デンマークの全国患者登録を用いて1998~2015年に乳がんと診断された患者を同定し、年齢および性別でマッチさせたコントロール群と比較した。心房細動の長期罹患率は、累積罹患曲線および多変量Cox回帰モデルで推定した。

非代償性肝硬変を伴うC型肝炎に初の承認

 平成元年(1989年)に発見されたC型肝炎ウイルス(HCV)。近年、経口の直接作用型抗ウイルス薬(direct acting antivirals:DAA)が次々と発売され、C型慢性肝炎や初期の肝硬変(代償性肝硬変)の患者では高い治療効果を得られるようになったが、非代償性肝硬変を伴うHCV感染症に対する薬剤はなかった。そのような中、平成最後の今年、1月8日にエプクルーサ配合錠(一般名:ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠、以下エプクルーサ)が、「C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」に承認された。また、DAA治療失敗例に対する適応症(前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善)も取得した。ここでは、1月25日に都内で開催されたギリアド・サイエンシズ主催のメディアセミナーで、竹原 徹郎氏(大阪大学大学院医学系研究科内科学講座消化器内科学 教授)が講演した内容をお届けする。

世界初、IgG4関連硬化性胆管炎診療ガイドライン

 世界で初めての「IgG4関連硬化性胆管炎診療ガイドライン」が完成した。  本症は、2003年に神澤 輝実氏(東京都立駒込病院)が提唱した、新しい全身性疾患であるIgG4関連疾患の胆管病変と考えられ、その特徴として、胆管狭窄を来し、黄疸や肝機能障害するほか、画像所見上では、胆管がんや原発性硬化性胆管炎との鑑別が非常に困難で診療に苦慮する例があるとされる。  本症では、ステロイドが奏効するため確定診断がなされれば治療に問題ない例が多いが、診療上、先の2つの疾患との鑑別が非常に重要となる。

転移を有する乳がんの生存期間、1990年以降20年で1.8倍に/JNCI Cancer Spectr

 近年、転移のある乳がん(MBC)の治療は著しく変化したものの、転移後の生存期間の改善については明らかになっていない。そのような中、1970年以降の2つの時期における、再発(MBC全体、ER陽性再発MBC、ER陰性再発MBC)およびde novo Stage IV MBCにおける生存期間(OS)をロジスティック回帰モデルを用い経時的に検証した米国のシステマチックレビューが、JNCI Cancer Spectrum誌2018年12月24日号で発表された。

配偶者ががんと診断された人、1年以内の死亡率が2倍

 がん患者と一緒に暮らす配偶者において、心理社会的健康への悪影響だけでなく死亡リスクも増加する可能性が指摘されている。今回、東北大学の中谷 直樹氏らは、日本人集団の大崎コホート2006研究で、配偶者のがん診断と死亡率との関連について前向きコホート研究デザインにて検討した。その結果、配偶者のがん診断に起因する死亡率が診断後早期に有意に高いことが示され、がん治療の集学的チームが配偶者の死を防ぐために重要である可能性が示された。Acta Oncologica(Stockholm)誌オンライン版2019年1月21日号に掲載。

食道がんのハイブリッド低侵襲食道切除術、重大な合併症を低減/NEJM

 食道がんに対するハイブリッド低侵襲食道切除術は、開胸食道切除術に比べ術中・術後の重大な合併症の発生率が低く、3年時の全生存率および無病生存率は低下しないことが、フランス・Claude Huriez University HospitalのChristophe Mariette氏の検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年1月10日号に掲載された。ハイブリッド低侵襲食道切除術は、腹腔鏡を用いる経腹的アプローチと開胸食道切除術を組み合わせた手術法で、肺合併症が少なく、手技の再現が容易などの利点があるとされる。開胸食道切除術では、半数以上の患者で肺合併症を主とする術後合併症が認められるが、合併症に関してハイブリッド低侵襲食道切除術との比較はこれまで行われていなかった。

最新のがん統計:男性では前立腺がんが上位に

 厚生労働省は、2016年に開始した「全国がん登録」による初めての結果を公表した。それによると、2016年において、新たにがん(上皮内がんを除く)と診断された患者は99万5,132例で、男性が56万6,575例(56.9%)、女性が42万8,499例(43.1%)だった。  部位別のがん罹患数は、男性では胃(16.4%)、前立腺(15.8%)、大腸(15.8%)、肺(14.8%)、肝(5.0%)の順で多く、女性では乳房(22.1%)、大腸(16.0%)、胃(9.8%)、肺(9.7%)、子宮(6.6%)の順で多かった。

術前化学療法を施行したHER2陽性乳がんにおける術後T-DM1の有効性(解説:矢形寛氏)-996

ドイツのKATHERINE試験結果が2018年サン・アントニオ乳癌シンポジウムで報告された後、すぐに論文化されたものであり、まだ最終結果ではないものの、われわれの臨床を変える情報であった。全体として3年無浸潤病変生存率の差が10%以上と大きな改善をみている。全生存率は境界域ではあるものの、より長期に追跡することにより十分な有意差が出てくることを期待させる内容である。現時点でも十分臨床応用するに値する結果であり、HER2陽性進行乳がんで、術前化学療法により十分な効果があったものの、浸潤がん残存が認められるもの、HR陰性例などで、とくに有用性が高いものと思われる。

残業年960時間、特例2,000時間の中身とは~厚労省から水準案

 医師の時間外労働の上限について、厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会(第16回)」が1月11日開かれ、事務局案として2つの上限水準が示された。この水準は罰則付きの時間外労働規制として2024年4月から適用予定のもので、今後は事務局案を基に議論を進め、今年度中に結論を出す見通しとなっている。  一般労働者においては、2019年4月から適用される時間外労働の上限時間は年360時間・月45時間とされており、年6ヵ月に限定した例外措置が設定されている。医師における時間外労働の上限として、検討会では下記3つの枠組みを設けることを検討している。(C)については水準を別途設けるべきかを含め今後議論される予定で、今回は(A)(B)について具体的な数値案が示された。なお、(B)は地域医療提供体制確保の観点から、やむを得ず(A)の水準を超えざるを得ないとして特定の医療機関(2024年4月までに検討・決定予定)に適用される形が想定されており、2035年度末を目途に解消を目指すとされている

高齢入院患者におけるせん妄と抗コリン薬に関する観察研究

 せん妄は、高齢入院患者において平均5人に1人が発症する神経精神症候群であり、認知および機能の悪化、患者および介護者の負担増加、死亡率の上昇を含む多くの悪影響と関連している。抗コリン作用を有する薬物療法は、高齢入院患者におけるせん妄症状の臨床的重症度と関連しているといわれるが、この関連性はまだよくわかっていない。イタリア・Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario Negri IRCCSのLuca Pasina氏らは、累積抗コリン作用性負荷がせん妄リスクを増加させるという仮説を検証するため、せん妄と抗コリン作用性負荷との関連性を評価した。Drugs & Aging誌オンライン版2018年11月27日号の報告。