世界におけるがん罹患、がん死の詳細な現状と格差をもたらす要因が明らかにされた。世界のがん疾病負荷(Global Burden of Disease Cancer:がんGBD)共同研究グループが、1990~2017年における29種のがんについて調べ、世界・地域・国別のがん罹患率や死亡率などを発表。がんGBDは国によって大きくばらつきがあり、背景にはリスク因子曝露、経済、生活習慣、治療アクセスやスクリーニングの差があることが示されたという。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月27日号掲載の報告。
研究グループは、がん対策計画に必要なデータを提供するため、1990~2017年の195ヵ国29種のがんについてがん負荷の実態を明らかにした。GBD研究評価方法を用いて、がん罹患率、死亡率、障害生存年数(YLD)、損失生存年数(YLL)、および障害調整生存年数(DALY)を算出。結果は、国別、社会人口統計指標(SDI)別、複合指標(収入、教育レベル、合計特殊出生率)別に示した。また、がん罹患への疫学的な影響と人口転換(多産多死型から多産少死型へ、さらに少産少死型へと変化すること)の影響の比較も行った。
主な結果は以下のとおり。
・2017年において、がん罹患は世界で2,450万例(非メラノーマ皮膚がん[NMSC]を除外すると1,680万例)、がん死は960万例であった。
・2017年において、男性で最も多く発症したがん種はNMSC(430万例)で、次いで気管・気管支・肺(TBL)がん(150万例)、前立腺がん(130万例)であった。また、死亡およびDALYが最も高値であったのはTBLがん(死亡130万例、2,840万DALYs)で、次いで肝がん(死亡57万2,000例、1,520万DALYs)、胃がん(死亡54万2,000例、1,220万DALYs)であった。
・女性で最も多く発症したがん種はNMSC(330万例)で、次いで乳がん(190万例)、大腸がん(81万9,000例)であった。また、死亡およびDALYが最も高値であったのは乳がん(死亡60万1,000例、1,740万DALYs)で、次いでTBLがん(死亡59万6,000例、1,260万DALYs)、大腸がん(死亡41万4,000例、830万DALYs)であった。
(ケアネット)