泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:55

化学療法抵抗性膀胱がんへのラムシルマブは有用か?/Lancet

 プラチナ製剤化学療法で病勢進行が認められた、進行性・転移性尿路上皮がん患者に対し、抗VEGF-R2抗体ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)+ドセタキセルの併用療法は、ドセタキセル単独に比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが示された。米国・イェール大学のDaniel P. Petrylak氏らが、530例を対象に行った第III相無作為化二重盲検試験「RANGE」の結果で、Lancet誌オンライン版2017年9月12日号で発表された。結果を踏まえて著者は「ラムシルマブ+ドセタキセルレジメンは、われわれが知る限り、プラチナ療法抵抗性の進行性尿路上皮がん患者において化学療法よりも優れたPFSを示した、第III相試験では初となるレジメンである」と述べ、「今回のデータにより、抗VEGF-R2抗体は、尿路上皮がん患者の新たな治療選択肢となりうることが確認された」と、まとめている。

HIV-1の初回治療レジメン、bictegravir vs.ドルテグラビル/Lancet

 未治療のHIV感染成人患者において、新規インテグラーゼ阻害薬(INSTI)のbictegravirとヌクレオチド逆転写酵素阻害薬(NRTI)エムトリシタビン(FTC)/テノホビル・アラフェナミド(TAF)の配合薬による48週時のHIV抑制効果は、ドルテグラビル+FTC/TAFに対して非劣性であることが確認された。どちらのレジメンも治療下で治験薬に対する耐性は確認されず、bictegravirレジメンはドルテグラビルレジメンより忍容性が良好であった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul E. Sax氏らが、第III相多施設共同無作為化二重盲検非劣性比較試験(GS-US-380-1490)の結果を報告した。INSTIとNRTI 2剤の併用投与は、HIVの初回治療として推奨されているが、アドヒアランス向上のためには固定用量の配合薬が好まれている。Lancet誌オンライン版2017年8月31日号掲載の報告。

HIV-1感染患者への初回治療、bictegravirレジメンが有用/Lancet

 未治療HIV-1感染患者に対する、新規の強力なインテグラーゼ阻害薬(INSTI)bictegravirを含むエムトリシタビンとテノホビル・アラフェナミドとの配合薬(B/F/TAF)の、48週後のウイルス学的著効率は92%で、ドルテグラビルとアバカビルおよびラミブジンの配合薬(DTG/ABC/3TC、商品名:トリーメク配合錠)に対する非劣性、および安全性、消化管系の忍容性が良好であることが示された。米国・Southwest CARE CenterのJoel Gallant氏らが、631例を対象に行った実薬対照無作為化非劣性試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2017年8月31日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「B/F/TAF投与は、事前のHLA-B*5701検査が不要で、HIVとB型肝炎の複合感染患者に対するガイドラインの推奨治療である。臨床における迅速または初回治療に向いたレジメンと思われる」とまとめている。

がん診断後の禁煙、生存率への効果は?

 がん患者が禁煙することで死亡率が低下するかはわかっていない。今回、英国・オックスフォード大学のConstantinos Koshiaris氏らが、喫煙関連がんの患者において禁煙と予後の関連を検討した結果、肺がんと上部気道消化管がんでは禁煙した患者は喫煙し続けた患者より死亡リスクが低いことが示された。British journal of cancer誌2017年9月12日号に掲載。

飲酒でのフラッシング反応別の膀胱がんリスク~JPHC研究

 わが国の多目的コホート研究(JPHC研究、主任研究者:津金昌一郎氏)において、飲酒量と膀胱がんの関連を、アセトアルデヒド代謝能の代用マーカーであるフラッシング反応を含めて検討した。その結果、フラッシング反応のある男性では、飲酒量と膀胱がんリスクとの間に逆U字型の関連を示した。また、飲酒とフラッシング反応との交互作用は有意傾向を示し、飲酒によるアセトアルデヒドが膀胱がんリスクと関連するという仮説を支持する可能性を示した。International journal of cancer誌オンライン版2017年9月5日号に掲載。

陰茎移植で自然な生理機能は回復するか/Lancet

 南アフリカ共和国の若い男性では、儀式として行われる包皮切除からの壊疽が、陰茎損失の主な原因になっているという。この文化的行為は社会に深く根ざしており、やめさせることは容易ではない。同国ステレンボッシュ大学のAndre van der Merwe氏らは、従来の遊離皮弁を用いた陰茎整形術は、社会経済的に課題がある集団には好ましくないが、陰茎を損失した若い男性の精神社会学的影響は甚大であり、同一臓器に置き換えることが最大の便益をもたらす可能性があるとして、同種陰茎移植を実施。24ヵ月間のフォローアップの結果を報告した。Lancet誌オンライン版2017年8月17日号掲載の報告。

前立腺全摘は意味のない治療?(解説:榎本 裕 氏)-724

根治的前立腺全摘術(RP)は、無治療経過観察(watchful waiting:WW)あるいは監視療法(active surveillance:AS)と比較して生存ベネフィットがあるのか? この問いに対して、これまで3つのRCTが報告されている。SPCG-4(N Engl J Med, 2014)ではRPはWWに対してOS、CSSの改善を示した。ただし、PSA検診が本格導入される前の研究であり、非触知がんは12%に過ぎなかった。ProtecT(N Engl J Med, 2016)ではRPはASに対して生存ベネフィットを示すことができなかった。今回の研究(PIVOT)は、PSA検診導入後に開始されたRCTで、RPのWWに対する生存ベネフィットを調べたものである。今回の報告は、2012年の報告(N Engl J Med, 2012)の続報であるが、前回同様、RPはWWに対する優位性を示すことができなかった。

PDE5阻害薬で皮膚がんリスク増大か

 ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬とメラノーマとの関連が議論の的となっているが、米国・インディアナ大学のHuilin Tang氏らは、観察研究のメタ解析を行い、PDE5阻害薬の使用がメラノーマおよび基底細胞がんの発症リスク増加とわずかだが有意に関連していることを明らかにした。なお、結果について著者は、「潜在的な交絡因子のコントロールが一貫していない、異質性のある観察研究のみが解析対象となっていることに、研究の限界がある」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年7月17日号掲載の報告。